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39話 強風オールバックになったりオールフロントになったり

「石神くんちょっといい?」


お弁当を食べた後、いつかの企画に向けてソシャゲのデイリークエストを消化しているとディーティックさん・・・では無く伊達さんから声を掛けられた。


「うん、いいよ」

「ここじゃアレだから・・・」

「え?うん」


と、教室から連れ出され風が吹き乱れる屋上へとやって来た。

相変わらず人気(ひとけ)は無い。


「親子コラボ見た?」

「え、あ、うん、観たよ」

「羨ましいよねっ!」

「え、うん・・・」


なにが?


「私もあきなちゅをお兄ちゃんって呼んでみたいっ」


めるとにお兄ちゃんと呼ばれた記憶は無い。

ずっと望と呼び捨てにされている。


「でも、ぬいぐるみぃの方が姉なんじゃなかったっけ?」

「リアルの方!」

「あぁ~・・・」

「今までは、あんまり中の人って意識しない様にしてたけどあれだけリアルを意識させられるとさー」

「うん・・・」

「あきなちゅってどんなイケメンなんだろ?って、考えちゃうよねっ」


貴女の目の前に居ます。

そして、イケメンじゃなく地味めなフツメンですみません。


「中に人など居ないっ」

「まぁ、そうね・・・」

「概念だからね」

「うん、そうだね」


あまり触れてはいけないが某夢の国と同じで中に人など居ない。

と、中の人が言ってみる・・・。


「そういえばさ」

「うん」

「登録者数がめちゃくちゃ増えたけど、やっと見つかったって感じだよね」

「あー、うん、そうだね」


反応が芳しくない。


「あれ?微妙?増えて欲しくなかった?」

「増えたらあきなちゅが喜ぶから嬉しいけど、見つかって欲しくなかったかなぁ」

「あー・・・独占欲・・・的な?」

「うん」

「人気出たら推すの辞めちゃう感じ・・・?」

「辞める訳無いじゃん!」


良かった・・・これで辞めるとか言われたら本当に辛い・・・。


「でも・・・人が増えたらコメントも拾って貰えなくなるし」

「うん」

「名前だって呼んで貰えなくなるじゃん」

「あー、でも、そこは・・・3人しか居ない古参なんだからドンと構えてれば良いんじゃない?」

「それはそうなんだけどー・・・それはそれ、これはこれって言うか・・・」


複雑怪奇な乙女心ってヤツか。


「石神くんもあきなちゅのファン辞めないよね?」

「や、辞めないよ・・・?」


ん?僕がいつファンだと言った・・・?

そして、自分自身のファンとかどんだけナルシストなんだ・・・。


「あ、そうだ」

「うん?」

「石神くんもさ?あきなちゅの配信の時コメントしようよ」

「えー・・・」

「石神くんってROM専?」

「か、かな・・・」

「人生変わるよ?」

「そ、そんなに・・・?」

「名前呼ばれた事無いでしょ?」

「無いね」

「震えるよ?」

「そんなに?」

「うん。凄いよ?」


自分の配信にコメントはしないしある意味ROM専ではあるのか?

でも、自分が視聴者の時もコメントとかはしないから名前を呼ばれたりコメントを読まれた事は無い。


「そうなんだ?」

「1回してみよ?」

「えー・・・」

「ほら、怖くないから。ね?」

「いや、ほら、強要しないようにって言ってたじゃん」

「あ・・・そっか・・・でも!布教は強要したらダメって言われたけどコメントの強要は禁止されて無い!」

「屁理屈っ」

「ほら、ほら」

「でも、僕がコメントしたら伊達さんのコメント読まれる率下がるよ?」

「あ・・・」

「名前呼ばれる回数も減るかも」

「それは困るっ!」

「ね?」

「分かった!」

「分かってくれて良かった」

「配信後のアーカイブにコメントしよう!」

「分かってくれてなかった!」


キーンコーンカーンコーン───。


「あっ!教室に戻らないと!!」

「えー・・・」




チャイムに助けられて難を逃れる事が出来た。

なんならもっと早く助けてくれても僕的には全然良かったよ?



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