30話 ぴっぴ
閑話休題(`・ω・´)
前回行った腹筋森男カートの配信は思っていた以上に好評だった。
好評と言ってもその対象は3人だけなんだけど・・。
まぁ・・・その3人の反応が普段よりもすこぶる良かった。
盛り上がりを考えると似た様な参加型で罰ゲームありの企画をするべきだとは思うけど、擦り過ぎるのも良くない気はする。どうしたものか・・・。
「石神くーん、レジお願いー」
「はーい」
普段よりも忙しくてバイト中に企画を練る暇が無かった。
客足が落ち着いたスポットの時間帯にこれといった作業も無く、レジで店長と2人で雑談をする流れになった。
「石神くんってさ」
「はい」
「そこそこ稼いでるよね」
「いやぁ、どうですかね?もっと入りたいんですけど、なかなか時間が無くて」
「そんな稼いで何に使ってるの?」
「あー・・・ネット関係に・・・ゲームとか?」
「課金しまくり?」
「まぁ、そんな感じですかね」
「じゃあ、パソコンとか詳しい?」
「まぁ、詳しい方だとは思いますけど」
「私は全然」
「そうなんですね。まぁ、今はPCよりスマホの方が主流ですし」
「そう!スマホがあるのにパソコンが要る意味が分からないのよね」
「出来る事が違うんですよ」
「へぇ~」
「まぁ、ほとんど似た感じなんですけどね」
「だよね」
「だから、普通はスマホだけで事足りると思います」
「彼氏がね?」
「はい」
「配信?なんかyutuberみたいな事やりたいって言い出して」
「へぇ~」
「バーチャルがどうのって」
「へ、へぇ~」
「ゲーム実況とかしたいんだって」
「そうなんですね・・・」
「フツーの人がゲーム実況して誰が見るの?って感じなんだけど」
「デスヨネー」
「で!」
「!?」
「で!よ!!!」
「は、はい・・・」
「パソコン買うから貯金切り崩すとか言い出してさ」
「あー、はい・・・」
「どう思う!?」
「いや、まぁ・・・趣味の範囲でなら良いんじゃなかと・・・」
「その貯金って結婚資金よ?」
「あー、それは・・・」
「だよね?」
「はい・・・」
「でもさ?」
「はい」
「パソコンってそんな高いの?電気屋さんで売ってるのとか2-3万でもあるでしょ?」
「あー・・・配信ってなるとそこそこスペックが要るんで、もうちょっと高いヤツの方が良いかなー。って感じですかね」
「5-6万?」
「でも、出来無い事は無いですけど、もうちょっと・・・」
「10万!?」
「くらいのは欲しい所ですかね・・・最低でも」
「そんなに高いのが要るの!?無理無理、絶対無理っ」
「それに」
「うん?」
「配信ってなると他にも色々機材も要りますし・・・マイクとか」
「イヤホンに付いてるヤツじゃダメ?」
「ダメじゃないですけど・・・どうだろう・・・他にもミキサーとか・・・際限は無いですねぇ」
「へぇー、石神くん詳しいね」
「えっ、あー、流行ってるんで・・・」
「そうなんだ?芸能人の人とかやってるもんね」
「はい、そうです、それです」
「石神くん」
「はい?」
「配信ってのやってるでしょ?」
「えっ・・・」
「詳しすぎるし顔に出過ぎだもん」
「やってます・・・」
「バイトもその配信の為?」
「はい・・・」
「そんなお金掛かるんだ?」
「掛かりますね・・・無限に・・・」
「楽しい?」
「楽しいです」
「そっかー」
「まぁ、楽しいだけじゃないですけど、やっぱり楽しいですね」
「ふーん。でさ?」
「はい」
「彼氏が配信するのどう思う?」
「スマホ1台でも配信出来るアプリとかあるんで」
「そうなの?」
「はい。それで十分じゃないかな?って思います」
「じゃあパソコンは?」
「最初は要らないと思いますよ」
「そっかー、じゃあスマホだけでやらせよーっと」
「あ、でも」
「ん?」
「ハマったら沼なんで・・・」
「うん」
「最初、無料で始めて。どんどん良い機材が欲しくなってってパターンもあると思うんで・・・」
「よし。わかった」
「え?」
「しばいてでもやらせない」
「えぇっ」
「使いこなせないクセに色々最新の良いヤツを買いたがるからさ」
「あー、はい」
「しかも、買って満足して放置してる物ばっかだし」
「あぁ~・・・」
「揃えるだけ揃えて飾りになる未来しか見えない」
「あるあるですね」
「しかも、それがいっぱい種類あるんでしょ?」
「機材ですか?」
「うん」
「無限にありますね。しかも、金額は上限知らずって感じです・・・」
「じゃー、もう絶対にやらせられないな」
彼氏さんごめんなさい。
でも、店長から聞く限り無駄にしかならなそうだから・・・。