3話 配信
「ご来店ありがとうございまーす!本日はリズムゲームGrooveStreetをやっていきますっ!!」
今日も僕は石神望ではなく春夏冬中というVtuberとして配信をやっていく。
「まずは~・・・やっぱりガチャ配信からですかねっ。この日の為に貯めてきましたよ。3万個!!」
本来ならメインはもっと人が集まってからやるのが普通なんだろうけど、僕の配信は常連の3人で成り立っている。
そして、その3人は配信の30分前、待機所を立てた時点で既に待機してくれている。
なので、まずはメインのガチャ配信から。
「まぁ・・・3万個って言っても1回300個。10連で3000個だから100連しか出来ないんですけどね~」
因みに配信環境としてはPCはそこそこマイクもそこそこ。後は最低限って感じだ。
「それでもピックアップをしっかり引いちゃうのが人気配信者たる所以・・・おっと、人気はまだ無かったか。いずれね、いずれ人気になる配信者として引きの強さを見せていきたいなー。と思ってます」
機材回りはバイトを頑張れば何とかなる範囲の物が多いが・・・問題は防音対策。
しっかりした防音室は数百万もして手が届かないし数万円で買える程度だと性能も値段相応でわざわざ買う必要が無いと思ってしまう。
「それではまず最初の10連を回していきまーす」
なので、近所のスーパーで貰ってきたダンボールで簡易の防音室を作り。更には遮音シートや吸音材を貼って安価な防音室を作った。
まぁ、それでも数万円掛かってはいるんだけど・・・。
「ダメかー。まぁ、ね。でも、最初だしまだ10連」
防音効果を高める為にダンボール防音室の上から毛布を被せたりもしたけど・・・ただでさえ暑いのにアレはもう完全に暑くて無理だった。暑いっていうか熱い。
「次ですよ、次。はい、20連目いきまーす」
暑いのは正直まだ我慢が出来る。
配信終わった瞬間にお風呂に行けばいいだけだし。
「くっ・・・30連目いきます・・・」
でも、毛布を被せると密閉率が上がって防音効果は爆上がりする。
その代償として酸欠になって倒れそうになった事がある。それで毛布を止めて遮音シートを買った。
「40連目・・・もダメか・・・」
それだけじゃなく部屋の壁や窓にも吸音材は貼ってる。
そのおかげかご近所さんはおろか家族からも騒音の苦情は入っていない。
「50連もダメ・・・ちょっと気分転換に雑談でもしますか。コメ読みますねー」
[DTick]え?じゃあ、今までのは読んでなかったって事?www
「今までのは読んでなかったって事?いやいやいや全部読んでますよっ。配信終わってからも読み返してますしっ!」
[T-中]必死に言い訳するあきなちゅ可愛い
「必死に言い訳する・・・ひ、ひ、ひ、必死じゃねーしっ。全然必死じゃないんだからねっ」
[DTick]全然引けなくて不憫なあきなちゅもかわいい
[T-中]かわいそうはかわいい
「全然引けなくて・・・これから引くしっ!連チャンするからっ!よぉし、ガチャに戻ります!」
[DTick]ディーティックさんと[T-中]ティーナカさん。この2人ともう1人[mrt]まるたさんが常連の3人だ。
まるたさんは基本地蔵でたまにしかコメントはしてくれないが配信には欠かさず来てくれている。
「見てて下さいよ?60連目いきまーす」
[T-中]メシウマ
[DTick]爆死する未来しか見えない
「くっ・・・ま、まだ石はありますからね。70連目・・・爆死はしないっ!」
[DTick]プークスクス
「80連目。絶対にメシウマにもさせないっ」
[T-中]キャッキャ
「90連目・・・」
[DTick]話聞こか?LINEやってる?
「ふぅ~・・・いやいやいや、まだ後10連いけますから。最後に出せば勝ちですからね?」
[T-中]そう言って出た事あったっけ?
「そう言って出た事は・・・無いっ!!よし・・・視聴者の皆のガチャ運を吸い取るっ!うおおおおおおおおおおおおお」
[DTick]吸えるモンなら
「吸えるモンなら?いやいやいや、これでもう皆さん年内は何も出ないですからね?」
何も出てないけど意外と盛り上がってる。
これもコメントしてくれてる2人のおかげだなぁ。
「それじゃあ、最後の10連いきますっ!」
[T-中]wktk
[DTick]wktk
「ワクテカすんなっ。お・ね・が・い・し・まーーーーーーーす!」
と、予定通り爆死した。
出るなら2-3枚は出ないと面白くないから・・・だったら1枚も出ない方が良いしっ・・・。
全然、予定通りなんだからねっ・・・。