29話 サービスサービスゥ
「望ー、居るー?」
「なに?」
次の企画を練っていると母親からメッセージが着た。
「前に半額にする代わりに~って話あったでしょ?」
「うん。決まった感じ?」
「それはまだなんだけど」
「うん」
「追加でサービスしてあげようかと思って」
「え?なに?」
「まぁ、それも直ぐにって訳じゃないんだけど」
「うん」
「壁紙用の1枚絵とスマホの待ち受け用の絵、描いてあげようかと思ってね」
「絶対、高いじゃん」
「サービスだって」
「え?タダって事?」
「うん。今回だけ特別にね」
「怖いんだけど・・・」
「なにがよ」
「何やらされるのか」
「だから、それも心配しなくて良いって」
「信用出来無い」
「じゃ、要らない?」
「待って」
「ふふふ」
「お願いします」
「承りましたっ」
いや、本当に怖い・・・一体、何をやらされるのか・・・。
この間の腹筋森男カート配信を観ていて、ボイスやグッズの話になってどちらの気持ちも分かるだけに何とかしてあげたいと思ってしまった。
ボイスは畑違いだから分からないけど、グッズ販売にはお金が掛かる。
3人しか買わないからって3個ずつしか作らないという訳にもいかない。
在庫を抱える覚悟で大量に作るのはお金を払えば済む話だけど、その在庫をどこに保管するのかという問題も大きい。
お嬢さん方の思惑としてはボイスやグッズが欲しいという気持ちも大きいだろうけど、お金を落としてあげたいって気持ちもあると思う。
望がどう動くかは分からないけど、それで多少はお嬢さん方の気持ちも落ち着くんじゃないかな?と、思う。
スケジュールはパツパツだけど・・・愛する息子と、そのファンの子達の為と思えば睡眠時間を削るくらい何て事は・・・無い・・・よね・・・?
寄る年波には勝てないってヤツかな・・・睡眠時間確保の為に集中してお仕事片付けていきますかっ!
ピロン───。
「ん?お仕事の催促かな?」
と、思ったらめるとの・・・いや、みぃのマネージャーさんからのメッセージだった。
「お疲れ様です」
「お疲れ様でーす」
「この間の件ですが」
「はい」
「上から許可が下りました」
「おぉー、みぃが喜びますね」
「そこで相談なんですが」
「はい」
「実は同じ内容をみぃからも打診されたんですよ」
「へぇ」
「なので、今回もサプライズにしようかと思ってるのですがどう思われますか?」
「いいですねぇ」
「社内でも意見が分かれてるのですが」
「はい」
「そろそろ頃合いだという意見とまだ時期では無いという意見に分かれてまして・・・」
「なるほど」
「この間の3Dお披露目でのサプライズが石倉先生のおかげでかなり好評でして」
「いえいえ、こちらもかなり仕事が舞い込んできたのでありがたい限りです」
「勢いに乗っている今こそ。という派とある意味爆弾でもあるので時期を見た方が良い派という感じです」
「私としてはー」
「はい」
「やっちゃえば?って感じですね」
「軽いですね・・・」
「出し惜しみしてチャンスを逃すくらいならやるだけやった方が良い派ですねぇ」
「なるほど」
「経験上・・・置きに行くと想定の20%オフって感じになるんですよね」
「はい」
「全力でやった時は想定の70~120%って感じで振れ幅はあるけど、やれる事はやった方が後悔も無いですし」
「分かりました。その方向で動きます!」
「って事は、全ブッパな感じですか?」
「私としては。ですが」
「これから上と相談ですね」
「はい。石倉先生のおかげで決心が付きました」
「頑張って下さいね」
「はい!企画が固まり次第、台本も送りますのでよろしくお願いします!」
「かなり気が早いですね」
「あ、たしかに・・・」
「こちらも何か案があれば送りますね」
「是非!!」
家族内でめるとが配信やってるのを知ってるのは私だけだし、望がやってるのも私しか知らない。
因みに旦那はネットリテラシーが皆無だから詳しくは教えてない。
教えたら絶対に配信に要らないコメントをして炎上させるから・・・。
兄妹で配信をやってる事を知った時の2人の反応が今から楽しみだ。
それにしても、あの子達の秘密主義は誰に似たのやら・・・って、私か!




