27話 sit-ups
「本日もご来店頂きありがとうございまーす」
ワッカフィットアドベンチャーは断固たる決意でやらないと決めているが・・・僕の配信に来てくれている例の3人はどうしても僕に運動をさせたい様で・・・。
「今日の企画は森男カートで順位の数字分だけ腹筋する配信です」
1位なら免除。2位なら2回、最下位の12位なら12回。
1ゲーム5分くらいは掛かるから最悪でも5分置きに12回。
まぁ、それくらいなら?と、思ってこの企画を実行した。
[DTick]足腰立たなくしてやるぜ
「足腰立たなくしてやるぜ。腹筋だから足腰は関係無いですね」
[T-中]防音室の中でやるの?
「防音室の中でやるの?いやぁ、流石に無理なんで腹筋する時は防音室から出てやります」
[DTick]マイク持ってって
「マイク?防音室の外にですか?」
[DTick]じゃないと腹筋してるか分からないし
「あー、確かに・・・固定してあるんで取り外せる様に一旦ミュート!」
[DTick]あきなちゅの吐息・・・
[T-中]楽しみ
[DTick]ハァハァハァハァ
[T-中]ディーティックさんだいぶアウトだけど分かる
[DTick]同士よ
[T-中]ガシッ
「戻ったらコメ欄がキモい事になってる・・・」
[DTick]ほら、おじさんにあきなちゅの吐息聞かせてごらん
「ディーティックさんいつからおじさんになったんですかっ」
[T-中]ディーティックさん・・・それは流石に・・・
[DTick]すみません、やりすぎました・・・
[T-中]分かる。もっとやれ
「いや、分かるんかーい。ディーティックさんの暴走をティーナカさんが止めてくれると思ったのにっ」
[T-中]キャッキャ
[DTick]キャッキャ
「キャッキャしてないで、そろそろ始めますよー。パスワード言いますね」
部屋のパスワードを告げるとまず真っ先に入室してきたのはまるたさん。
相変わらず無言だけど観てくれている。
[mrt]よろしくお願いします
[DTick]よろしくー
[T-中]よろしくお願いしまーす
「よろしくお願いします。このまま4人でやっても良いんですけどね・・・」
4人なら罰ゲームの腹筋も最大で4回で済む。
[DTick]ダメー
[T-中]開放してー
「ですよねー・・・」
部屋を開放すると世界中のプレイヤーがなだれ込んで来た。
「まぁ・・・でも、僕もこのゲームはそこそこやり込んでますから?そう簡単には負けないですよ」
[DTick]立った
[T-中]フラグが立った
「フラグじゃないですよっ!あ、始まりますね!」
結果から言うと惨敗だった。
見事なまでに12位。
「ズルくないですか・・・?」
[DTick]なにが?
「僕の後ろを3人で追尾して・・・」
[T-中]戦術だし?
「代わる代わる僕をスピンさせて・・・」
たった3周の間に何度スピンさせられたか分からない・・・。
[DTick]で、毎回腹筋する?後でまとめて?
「毎回やります」
[T-中]頑張ってー
[DTick]マイク忘れずにねー
[T-中]次のレースまであんまり時間無いよ?
「あ、そうだった・・・急ぎますっ」
スタンドからマイクを外し防音室の外に出る。
「手でマイクを持ったまま腹筋するんで音量バランスは諦めて下さい。いーち・・・にぃーい・・・」
普段、腹筋なんてしないけどまだまだ余裕がある。
「ふぅ・・・12回やりました」
[T-中]もう始まるよー
「もう!?」
次レースの待機時間だけで12回やるのは時間的にギリギリで休んでいる暇は一切無かった。
「あぶっ・・・ギリ間に合った・・・」
2レース目も僕の後ろを3人がピッタリとマークしている。
甲羅をお尻にくっつけても即座に剥がされるし、大きくなっても即座に攻撃を喰らって元の大きさに戻される。
「ちょっと思ったんですけど」
[DTick]うん?
「え?プレイしながらコメント打ってるんですかっ!?」
[DTick]短文なら
「短文なら・・・って、コントローラーから手離してるとか・・・どうやってるんだ・・・」
[T-中]わたしはむりだー
「普通、無理ですよ・・・って、打ってますね・・・」
[DTick]で、どうしたの?
「いや、あの・・・毎回やると間に合わない可能性があるんで後でまとめてやった方が良くないですか?」
[DTick]5戦したら60回だよ?
「5戦で60回・・・まぁ、そうなんですけど・・・いや!勝ちますからっ!!」
[T-中]まとめてがいい
「ティーナカさんはまとめてですか」
[DTick]私はどっちでも
「ディーティックさんがどっちでも。だったら、後でまとめてやりますね」
ゲームしながら普通にコメント打ってるディーティックさんは異常だと思ったけど、ティーナカさんも打ってるし・・・この2人が凄いのか、そこまでの舐めプをされてる僕が弱すぎるのか・・・。