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17話 ストーカー

この間、僕がバイトしているコンビニにクラスメイトの伊達さんが来てVtuberとコラボしているお菓子を爆買いしていった。

元々、用事でも無ければ喋ったりしないような関係性ではあったけど、今は明確に避けられている。


まぁ、気持ちは分かる。

逆の立場だったとしても避けると思う。


ただ、その事があって以降、伊達さんの事を目で追ってしまう。

別に恋愛感情とかではなく興味が湧いてしまったというか何というか・・・。


普段はお昼になると小さいお弁当を食べて、後の時間は本に目を落としていたと思う。

でも、ここ最近はお昼になると教室から姿を消す。

そんな怪しげな行動が僕の好奇心を刺激してしまった。


イジメられていているとか、一人で食べている所を見られたくなくて便所飯をしているとかではない。

流行り病以降は机を合わせて食べるのを禁止されているし皆一人で前を向いて食べているからそういうのではないはず。



伊達さんを探す為に急いで弁当を掻っ込み教室を出た。


ストーカーじみているのは自覚している。

ただ、そんな変態行為なんてしてませんよー?という体を為すために極々自然に散歩している風を装ったりどこか目的地がある風を装ったりと・・・余計に変態っぽい行動をしている事に気付き自分に萎え始めた。


とはいえ、ここまで来て諦めるというのも悔しい。

なのでこんな変態行為は今日が最後にしようと思い、高い所から探す為に屋上に来た。


「あ・・・」


すると、予想外に伊達さんが屋上でお昼を食べていた。


「ん?あ・・・」


膝の上には小さな弁当・・・ではなく、チャック付きのビニール袋。そして、手にはウエハースがあった。


「て、天気良いね・・・」

「う、うん・・・」

「それ、この間の・・・?」

「うん・・・」


なるほど。

あれだけの数だから普通には消費出来ないからお昼ご飯代わりにも食べて消費しているのか。

そして、そんな姿を見られない様に人気(ひとけ)の無い屋上で食べていた。と・・・。


「んと・・・欲しかったの出た?」

「う、うん、出たよ・・・あ、買い占めちゃったけど後で何か言われたりしなかった?」

「え?誰に?」

「えと、店長さんとか?」

「売り上げになって喜んでたよ」

「そ、そっか。なら良かった」


果てしなく話が盛り上がらない。

それもそのはず・・・話す事が目的ではなく、お昼休みにフッと消える伊達さんがどこに行ってるのか気になっただけでそれ以外には考えていなかったのだから。


ポケットからスマホを取り出し、位置情報ゲームをやっているフリをして「うーん、居ないなぁ」と伊達さんに聞こえるか聞こえないかくらいの声量で呟いた。


「それじゃ僕はこれで」

「あ、うん」



よし、なんとか上手く逃げ出せた。

いや、上手いか・・・?ま、まぁ、とにかく逃げ出せたのだから良しとしよう。


因みに、位置情報ゲームなんてやってないのでモンスターをハントしないし、ボールに閉じ込めたりもしない。





この間、コンビニで石神君に会ってしまってから石神君の視線が気になる。

自意識過剰なのかもしれないけど、常に私の事を目で追っている様な気がしてならない。


開封配信の負の遺産を消費する為にチャック付きのビニール袋に小分けにして普段から持ち歩いているし、お昼ご飯もウエハースにしたけど全然減らない。


お昼ご飯がウエハースだとクラスメイトから突っ込まれそうなので屋上に避難してきた。

ついでに石神君の視線からも逃れられるから。


ついには屋上まで追い掛けて来てちょっと・・・いや、かなり怖い。

買ったその日に開封配信した所為で身バレしたとか・・・?

石神君には買った個数もバレてるから配信で全部開けたのは失敗だったかもしれない。


元々、私のリスナーだったのか。それとも、買い占めを怪しく思って調べたのか。

Vtuber伊達ごっこの中の人が・・・私、伊達依知子だと石神君にバレてしまったのだと思う。


知らない振りをするべきか、口止めをするべきか・・・。


とにかく明日からは人気の無い屋上じゃなく人目のある教室に居ようと思う・・・。


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