14話 暗躍
今回、マッマ視点です(`・ω・´)
「これから通話宜しいでしょうか?」
「はい、大丈夫ですよ」
私の実の娘石神めるとが演じるVtuberぬいぐるみぃの担当マネージャーとメッセージでのやり取りを続けてしばらく経ったタイミングでの申し出だった。
通話の方が作業しながら出来るのでありがたい。
ピロリロリン───。
「はい、もしもし」
「お疲れ様です」
「はい、お疲れ様です」
「メッセージでも申し上げたんですが」
「はい」
「石倉先生にデザイン担当して頂いてるぬいぐるみぃの3D化イベントに参加頂けませんか?」
「でも、どのタレントさんも絵師って伏せてますよね?」
「そうですね。当初の方針では担当されたイラストレーターさんの名前を伏せた方が。という話だったんですが、最近は公開していく流れになってまして」
「へぇ~、そうなんですね。でも、どうやって出るんですか?」
「画面上では石倉先生のアイコンを出させて頂いて。後は声での参加を考えております」
「実はですねぇ」
「はい」
「Vの体作ったんですよ」
「えっ?」
「まだ使った事無いんですけどね」
「そちらで参加頂けるんですか?」
「お披露目になっちゃうとみぃの邪魔になっちゃったりしませんか?」
「いやいやいや、話題性もあって全然良いかとっ」
「それに、作ったって言ってもLive2Dですよ?」
「十分です!」
「それとですねぇ」
「はい」
「あー、これはやっぱり・・・んー・・・どうかな・・・」
「何ですか?気になるじゃないですか・・・」
「私のVデビューなんて全然霞む・・・というか・・・」
「はい」
「みぃの3Dさえも全然霞む様なサプライズなんで」
「いや、めちゃくちゃハードル上げますね・・・」
「なんで、いつ出すべきか悩んでるんですよ」
「そんなにですか?」
「それはもう・・・」
「ちょっと待って下さい」
「はい。ごゆっくりどうぞ」
「あ、そういう意味じゃないですっ。ここでは言わずに本番でいきなり言うとかは勘弁して下さいよ?」
「あー、だったらお伝えしておきますね」
「は、はい・・・」
「みぃって私の娘なんですよ」
「え?はい」
「だから、私の娘なんですよ」
「はい、そうですね」
「あー・・・」
「あぁ、あれですか。自分をおじさんだと思い込んでいる女児だから・・・あれ?」
「いや、実の娘なんですよ」
「いや、そりゃそうですよ。石倉先生が生み出したぬいぐるみぃですから」
「じゃなくて・・・」
「はい?どういう・・・?」
「石神めるとは私の娘なんですよ」
「あ?あれ?なんで本名をご存知・・・え?あれ?」
「私、イラストレーターの石倉の本名は石神あかりです。公表してないのでオフレコでお願いしますね」
「え、あ、はい、え?」
「そして、ぬいぐるみぃの中の人。石神めるとは私の娘です」
向こうでは絶叫に近い声を発して吃驚しているみたいだけどノイキャンで声が消えていて何を言ってるのか聞き取れない。
因みに、この事は娘も知らない。
なので、バラした時にはマネさん以上のリアクションを期待したい所だ。
それにしてもマネさんのリアクションが良くて笑いが止まらないっ・・・。
「す、すみません・・・取り乱しました・・・」
「落ち着きました?」
「はい・・・すみません・・・」
「流石にこれはサプライズが過ぎますよね?」
「本当ですよ!!ビックリしすぎて死ぬかと思いましたっ!」
「いやいや、マネさんへのサプライズじゃないです」
「え?」
「3D化イベントでこのサプライズはって話です」
「あ、あーーーー、どうでしょう・・・いや、でも、どうなんだろう・・・いや・・・う~~~~ん・・・」
「ネタとしては面白いと思うんですけど」
「はい・・面白いとは思います・・・」
「でも、みぃが使い物にならなく可能性もありますよね?」
「あー・・・そうですね。って、もしかしてみぃも知らないんですか?」
「知らないですねぇ」
「ちょっと待って下さい」
「ごゆっくり」
「違いますって。もしかして偶々(たまたま)なんですか?」
「です」
先にデザインの依頼が来て、その後でめるとがオーディションに合格して契約したから本当の本当に偶然でVの親子が実の親子というレアな状況を生み出した。
「みぃは未成年ですから契約の時に石倉先生もいらしてますよね?」
「まぁ、その時はイラストレーター石倉ではなくめるとの母親の石神あかりとして伺ってますから?」
「なんで黙ってたんですか?っていうのはその反応で分かります」
「分かりますかぁ」
「バラした時の反応が見たくてですよね?」
「正解っ!」
「石倉先生・・・」
「はい?」
「やりましょう」
「え?」
「3Dイベントの時にみぃの膝から崩れ落ちる様を全世界に届けましょう」
「マネージャーさん」
「反対ですか?」
「貴女もこっち側の人間ですねぇ」
「否定はしません」
なんていうか・・・めると、ごめんNE☆ミ