100話 UC
100話達成です(`・ω・´)v
連日の寝不足だろうがそんな事はお構いなしに学校は毎日ある。
教室に入り、席に着くと伊達さんが駆け寄って来た。
「ねぇ」
「ん?」
「なんで返信くれないの?」
「え?あ、ディスコ?」
「LIMEも」
「あー、ごめん。ちょっとゴタゴタしてて見る余裕無かった」
「そうなんだ」
すると相変わらず空気を読まずに僕達の会話にKY山田が割り込んで来た。
「朝から痴話喧嘩か?」
「そんなんじゃないよ」
「石神さー」
「なに?」
「お前、配信やってんだろ?」
「は?」
「なんだよ?」
「誰に聞い・・・」
誰って1人しか居ないな。
「クラスLIMEで回って来たんだよ」
そんなグループ、僕は入ってない。
「で、なに?」
「俺、出てやろうか?」
「要らない」
「なんだよ?どうせお前の配信なんてツマンネーだろうから俺が面白くしてやろうって言ってんのによ」
「良いよ、そういうの」
「石神くんってアレだよね?いたちちゃんとコラボしてたよね?」
と、厄介な事に渡辺さんまで混ざって来てしまった。
僕が直接聞いた訳じゃないけど、どうも・・・渡辺さんは伊達ごっこのファンらしい。
「あー、えっと渡辺さん?」
「あ、違うの分かってるから!」
「うん?」
「Vの中身とか無粋な事だってのは分かってるんだけど」
「うん・・・」
「いたちちゃんと会った事ある!?」
「え・・・っと・・・渡辺さんって僕の配信観た事は?」
「ない!あ、いたちちゃんとコラボしてたのは見たよっ」
「あー、うん」
「で!実際に会った事ある!?」
「あー、まぁ、あるよ」
「かわいい?かわいかった?あー、もー、絶対かわいいよねっ」
「ええー・・・」
「サイン!そうだっ、サイン!!」
「え?」
「貰って来てくれない?」
「いや、そういうのはちょっと・・・」
「あー、んー、でも、そっかー・・・そーゆーズルはやっぱダメかー」
「あー、うん・・・」
「でも、これだけ教えて!?」
「な、なに・・・?」
「いたちちゃんってカレシは!?」
「ど、どうなんだろ・・・?そういう話は聞いた事無いから居ないんじゃないかな・・・?」
「良かったああああああああああああああああ」
それまでの勢いも凄かったけど・・・。
突然の咆哮には流石にドン引きした。
「う、うん、もう良いかな・・・?」
「いやー、ウチってさー自分で言うのもアレだけどユニコーンだからさー」
「え?あ、うん・・・」
「もし、いたちちゃんにカレシ居たらマジで萎えるって言うかー」
「う、うん・・・」
「その男殺して」
「え?」
「いたちちゃんも殺してウチも死ぬって感じー?」
「う、うん・・・ってくらいのファンが居るって伝えとくね・・・?」
「マジ?」
「うん・・・」
「ありがとー!!!」
そう言い残し自分の席に渡辺さんは戻って行ったけど、その後も何故か僕に向かって拝んでいる。
そして、KYを極めし男、山田も渡辺さんの圧に負けたのか。いつの間にか自分の席に戻っていた。
「おーい、席着けー。授業始めるぞー」
と、先生が教室に入って来た。
あれ?絶対になにか言ってくるだろうと思っていたけど。田中のクソヤローは登校してきていない。
遅刻して来るのかとも思ったけど。結局この日、田中を見る事は無かった。
「それで何だったの?」
「え?何って?」
「昼休みも渡辺さんに捕まってたから話せなかったけど・・・」
「あー、うん・・・」
昼休みも渡辺さんの猛攻を受けた結果・・・伊達さんに話をするヒマが無かったけど。おかげで他のクラスメイト達が寄って来る事も無く済んで逆に良かったのかもしれない。
そして、放課後恒例のワクドでようやく伊達さんに事のあらましを話す事が出来た。
「そんな事になってたんだ・・・」
「何か・・・こないだそんな話してたのがフラグになっちゃった感じ。ははは・・・」
「笑い事じゃないでしょ!」
「え、うん・・・だね・・・」
「なんで?なんでそんな普通なの?怒らないの?」
「いや、怒ってはいるよ?でも、一晩経ってある程度落ち着いたというか・・・」
今日、その怒りの対象に会ってないってのも大きいと思う。
「あの女といい・・・人に迷惑掛けないと死んじゃう家系なの?」
いや、シュウさんには振り回された事はあっても、別に迷惑掛けられたとは思って無い。
どちらかと言うとシュウさんよりも伊達さんの方が・・・。
「あ、伊達さん・・・」
「うん?」
「シュウさんには僕から言っとくから」
「うん?」
「伊達さんはシュウさんに何も言わなくて良いからね?」
「なんで?」
なんでかって?それは、喧嘩になるから。
しかも、シュウさんは今回の事で負い目があるだろうから一方的な感じになってしまうし。




