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1話 クラスに僕以外にも配信者が居た

検索して既存の配信者さんと名前が被らないように気をつけていますが見落としもあるかもしれません(´・ω・`)

もじった名前も登場しますが基本的に関係無いものと思って頂けると助かります┏◯

「達也。昨日の配信も面白かったなー」

「おい、やめろよ~」

「えー、田中君配信してるのー?」

「おいぃ。声デケーよ」

「コイツの配信めっちゃオモシレーよ?」

「そうなの?何て名前でやってるの?youtube?」

「そうそう、名前は~」

「いいってー。面白くないからー」

「えー。観たーい」


と、クラスの陽キャ達が盛り上がっているのを尻目に僕はスマホのリズムゲームをポチポチと叩く。

今晩の配信に向けての準備として。


「ゲームしながらテキトーに喋ってるだけだし」

「でも、面白いんでしょー?」

「普通だって」

「オモシレーよ、マジで」

「ID教えてよー」

「そのまんまだぜ?」

「おい、いいって」


知ってる。

達也だからta2yaだろ?


「そのまんま達也」

「そうなの?」

「でも、ちょっとヒネってて「た」が半角小文字のtaで「つ」が数字の2。「や」がまた半角小文字でya」

「へぇ~。調べよ」

「このちょっとヒネってるのが」


ダサいよな。


「オシャだよな」

「あ、あったあった」

「もー、いいってー」

「登録しとこっ」

「登録者増えて良かったじゃん」

「いや、別にそんなんでやってねーから」

「増えて損はねーだろ。収益化したら奢ってくれよなー?」


収益化なんて夢のまた夢だろ。

登録者数二桁のクセに収益化なんて口にするのも烏滸がましい。


「収益化なんて無理に決まってんだろ」

「オモシレーから絶対いけるって」

「私、皆にも教えとくねっ」

「いや、マジでホントに止めてっ」

「いいじゃん。登録者増えんだし」

「だーかーらー、そーゆーのでやってんじゃないんだって」

「だったら何で配信なんてやってんだよ」

「親戚に一式貰ったから。試しにやってみただけなんだよ」


な・・・なんだと・・・?

僕なんて・・・必死にバイトしまくってやっとの思いで揃えたのに・・・。

しかも、まだまだ欲しい機材はいくらでもあるのに・・・。


「へぇ~。なぁなぁ」

「ん?」

「今度、俺も出してくれよ」

「えー、ヤダよ」

「なんでだよー。登録者増やすのに協力してやってんじゃん」

「だから、そーゆーのはいいって」


配信経験の無い素人とコラボとか何言い出すか怖いし。

何よりも、空気とか流れも読まずに場を掻き乱すか緊張して喋れないかのどっちかだろうから絶対にやりたくないな。


「仲間内でやってるから無理だよ」

「俺は仲間じゃないってのかよー?」

「ゲーム仲間って意味だよ」

「アレあんじゃん。雑談配信?そーゆーのに出してくれよ」

「マジで無理だって。雑談配信とかしないし」

「大丈夫だって。俺、オモシレーから絶対に盛り上げるし」


自称面白いヤツに面白いヤツが居た試しが無いんだよなぁ。

身内ネタで受けて、それを自分が面白いと勘違いしてるヤツ程寒いものは無い。


「あー、もー、この話はこれで終わりっ」

「そういや駅前にタピオカの店出来たんだけど皆で行かね?」

「えー、今更タピオカー?」

「えぇ・・・古い?」

「古ーい」


配信の話から別の話題へと移行したので意識を上から降って来るノーツへと戻したが・・・完全に集中を掻き乱されてコンボは途切れに途切れていた・・・。


今はそんな事よりも石を少しでも稼がないと・・・。

無償ガチャ配信なんて地味な企画だからピックアップを引くか盛大に爆死するしか成立しない。その為には少しでも多くの石を集めておかなければ・・・。



春夏冬中 (@ataru_akinai)

本日21時よりリズムゲームGrooveStreetのガチャ配信を開店します!

ガチャの後には参加型でVSもしますので奮ってご来店下さい!



と、告知をツイートした事に依り、後には退けなくなってしまった。


放課後にはバイトのシフトが入っているから、それまでに貯められるだけ石を貯めておかないと。


彼の生活の中心は配信活動であり授業中も次の企画を考えたり企画の準備をする時間に充てられていた。

成果はそれほど実を結んではいないが・・・。


はぁ・・・。

さっきは登録者二桁のクセにとかバカにしたけど、登録者数が二桁なのは僕も同じで・・・。

向こうは不定期に配信でその数字。僕は毎週月水金と週3で配信をして登録者数二桁で同接は基本一桁。

瞬間的に二桁になる事はあっても皆無言で抜けていく。

企画も流行りのモノから独自のモノまで色々と意識してやっている。


でも・・・一向に数字は伸びない。

何故か毎回どんな時間に配信をしても絶対に来てくれる視聴者が3人居るが、最近はその3人の為だけに配信をやっている気がしないでもない。

いっその事、この3人に見限られた方が諦めもついて良い気がしている。


でも、さっきの田中君の言葉じゃないけど数字の為にやっている訳ではない。

何の気無しに観た配信に救われた気がして、自分も誰かの救いになりたいと思ってしまった。

もしかしたら、その3人の救いに自分もなれてるんじゃないかと思うと辞める訳にはいかない。



気を取り直して夜の配信に向けて上から降ってくるノーツをリズミカルにタップしだした。


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