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四十四話 呼び出し

2024/3/2

四十三話を少し修正しました。

まなの状態を、車椅子でないと動けないという状態にしました。

話の内容は変わっていないので、読み直しはしなくても大丈夫です

「西田ー、とりあえず机は並べ終わったけど他にやることはあるか?」


「お! ありがとなー! もう殆ど準備は終わってるからやることはないかな。若井さんたちとゆっくりしてくれていいよ」


「そっか。じゃあまた何かあったら呼んでくれ」


俺と亮太は三十分ほどかけて与えられた仕事を終えて、西田から休憩をもらった。


「新村さん、まなのこと見ててくれてありがと」


「いいよそんなの。まなみんは私の友達なんだからさ!」


「そっか。なあ新村さん、それに亮太も。今日俺とまなは二人で教室を回ろうと思ってたんだけどさ、まなは車椅子に乗ってるから階段の移動が大変で、二人にも付いてきてもらうことはできないかな」


これは朝から考えていたことだ。


俺一人しかいないと、どうしても階段を移動することができない。


うちの学校は校舎が古くてエレベーターも付いていないから、二人の手を借りたい。

もし断られたら仕方がないけど、できれば手伝ってもらいたい。


「いいよ?」


「そっか、やっぱり二人で周りたいよな・・・・・・。え?」


「亮太もいいでしょ? 別に今日二人きりになれなくても、デートなんてこれからいくらでもできるんだし」


「まあそうだな。親友の頼みとあらば断るわけがない」


「いいんですか? 私なんかのためにお二人の時間を頂いても」


「当たり前じゃん! それに、最近まなみんとあえなくて寂しかったから、まだ一緒にいたいと思ってたんだ!」


「亮太も、ほんとにいいのか?」


「あ? だからいいよって。沙奈もああ言ってるし、他でもない空からの頼みだ。断るわけないだろ?」


そう言って亮太は俺の肩に腕を回してきた。


そして俺に耳打ちをする。


「それによ。多分今日は石井が絡んでくる気がするんだ。お前ら二人じゃきっと対処できないだろうしさ。まなさんには内緒だけど」


どうやら亮太はそう思っているらしい。


俺たちが休んでいた一週間、石井は誰よりも俺たちのことを噂していた。

それが今日、俺達が登校してきたと知ればあいつは絶対に俺たちにちょっかいを掛けてくるはず。


そのときに、俺達が逃げようとしても車椅子を押している状態では逃げ切れないだろうし、それをいいことにあいつが何をしでかしてくるかもわからない。


だから亮太たちが俺たちの壁になって、石井を撃退する、と。


「なるほど、たしかにな。あいつはまなに随分とご執心みたいだし、その可能性はありそうだ」


「だろ? だから俺としても無駄な心配をするより、一緒にいるほうが楽ってわけよ」


「わかった。それじゃあお言葉に甘えさせてもらうよ」


「おうよ、任せとけ」


亮太は胸を張って自信満々にそう言った。


そうだよな。


あの一件から石井はずっと俺に敵意を向けてきている。


それが、まなのこの状態を見れば、つっかかってきてもおかしくはない。


「それじゃあ改めて、ふたりとも今日はよろしく頼む。まなには今日を楽しんでもらいたいからさ」


「そういえば。私と空くんは今日、当番などはないのでしょうか」


まなの疑問に、新村さんがすぐに答える。


「二人はなにも入ってないよ。正直今日も来れるのかわからなかったからね。そして私と亮太も当日の当番は入れてないの! 私達は、毎日最後まで残って準備していたからね。その分当日は楽しんでくれってみんなに許可をもらったんだー。だから今日は一日中一緒にいられるよ!」


「そうなんですね。それは良かったです」


「そうそう。だから今日はいっぱい楽しもうね!」


「はい!」


まなはどうやら新村さんのことをだいぶ気に入っているようだ。


普段なら俺以外の人とあんなに親しくなることはないというのに。


多分新村さんが、俺達の秘密に気づいたということが関係しているのだろうが、それにしても珍しいな。


なんてことを考えていると、後ろから声をかけられた。


「天心、それに若井も。ちょっと職員室に来てくれ」


声をかけてきたのは担任の阿部先生だった。


「わるい、ちょっと行ってくるよ。またあとでな」


「あいよ、俺達はここで待ってるから」

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