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二十一話 〜異変〜

学校が終わり掃除をして家に帰ると、先に帰ってきていたまなが出迎えてくれた。


「おかえりなさい」


エプロン姿で髪を後ろで縛った、まるで本物の主婦のようだ。いや、本物の主婦なのか。


「ただいま、ご飯作ってる途中なら来なくても良かったのに」


「来たかったんですよ。それに聞きたいこともありますし」


聞きたいこと?


「どうしたの?」


「今日一日、空くんの雰囲気が違う気がして。あ、外見的なのも変わりましたよ?でも私が言いたいのは性格的な意味です」


自分で言っておきなが少し赤面させるまな。

なんでこんなに可愛いんだろう。


「それはね〜、自分で変えたんだよ。これまでは人との関わりを避けようと思ってきて実際に友達もいなかったわけだけどさ、これからは自分に自信を持って人との関わりを増やしていこうと思ったんだ」


少し驚いた顔をしながらも納得した様子で、


「なるほど、そういう事でしたか。確かに普段は誰かに話しかけられても基本返事だけでしたね。納得です」


「そっか、納得できたなら良かったよ。それじゃあ髪洗いたいし、先にシャワー入ってくるね」


「分かりました」


靴を脱いでシャワー室へ向かうと、すでにバスタオルが準備されていた。


なんて手際がいいこと。おれの行動より先に用意しておくとは。

とてもありがたい。

ご飯を作っていたみたいだし、早めに上がって手伝うことにしよう。


四十分後、髪を乾かし終わったおれは台所へ向かっていると、ある違和感に気づく。


あれ?料理しているはずなのに物音がひとつもしない?

作り終わったのかな。


そんなことを考えつつも少し嫌な予感がして急いで台所へ向かう。


リビングのドアを開けて見ると、そこには誰の姿もなく、換気扇だけが音を立てて動いていた。


「まな〜?」


と、声をかけながら台所に入ると、そこにはまなが倒れていた。


「まな?!どうしたの!」


急いでまなを抱える。


すごく熱い。顔も赤くてどうやら熱があるようだ。


「んっ、、、空くん?すみません。なんか体がだるくて。すぐにご飯支度しますね」


無理矢理体を起こそうとするまなを急いで止めて力を最大限入れて持ち上げる。


「え?空くん?」


「ダメだ、熱があるみたいだし今すぐ休んで。こんな状態ならなんで早く言ってくれなかったの」


「体調管理ができていないのは自分の責任なのに、空くんに迷惑をかける訳にはいかないです、、」


「そんなの関係ないよ!それともおれのことが信用出来ないの?」


まなは少し黙ってこちらを見あげた。


「ごめんなさい」


「ん。分かったらいいんだ。おれは無理やり頑張るまなじゃなくて元気なまなが見たいからね」


まなを抱いて寝室へ向かい、ベッドに降ろす。


「お粥作ったら食べれる?あと、コンビニでゼリーとスポーツドリンクも買ってくるよ」


「はい、、ありがとうございます」


まなのおでこに濡れたタオルを乗せてゆっくり頭を撫でる。


「とりあえずゆっくり寝て休んでね。家のことは考えなくていいから。それじゃあコンビニ行ってくるよ」


「お言葉に甘えさせて貰いますね、おやすみなさい」


まなが目を閉じたことを確認して静かに部屋を出る。

もうパジャマを来てしまっていたので、クローゼットを開けて服を取り出して着替える。


「さて、コンビニ行くか」


家から最寄りのコンビニはマンションを出て少し歩いた所だ。


店に入り必要なものをカゴに入れてレジに向かう。


「こちらどうぞー」


その声に従って前へ進み、そこで見知った顔を見つけた。


「あれ?新村さん?」


今朝質問攻めをしてきた女子たちの中にいた新村さんだ。


「え、天心くん?どうしてここに?」


「そこの角を曲がったとこのマンションに住んでるんだ。新村さんここでバイトしてたんだね」


「そうなの。私もここら辺に住んでるんだよね。ていうかそこのマンションって確か家賃高めのマンションじゃない?それにあそこ若井ちゃんも住んでるはずだし」


「え?」


「こないだあそこに入っていくとこ見たんだー。だから多分間違いないと思うよ」


「そ、そうなんだ〜」


そんな会話をしつつも商品を読み込んでいく新村さん。

とても手馴れているようだし、ここではそこそこ長くやっているようだ。


「こんなもの買ってどうしたの?家族の誰か熱出しちゃった?」


「そうなんだよね、だからこれから看病する感じ。普段健康管理とか怠らない人だから結構心配」


「そっか〜、頑張ってね。あ、そうだ。あそこに住んでるなら今度遊びに行ってもいい?」


急になんだ。


「いや、遠慮しておくよ。そんなに親しい訳でもないしね」


「そっか〜、振られちゃった、悲しいな〜。ふふっ」


会計をしてる途中になんという爆弾を落としてくるんだ。これ以上居たらほんとに遊びに来ることになってしまいそうだ。


「それじゃあバイト頑張ってね」


「うん、ありがと」


おれは急いでコンビニを後にした。

それにしても新村さんがここら辺に住んでいるとは。

この街って意外と狭いんだな。

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