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十九話 〜新たな自分〜

これまではその場のノリで書いていたのですが、ある方に教えて貰って全体の構想を考えてきました!

これからはもっと濃密で細かいお話を皆様に届けられるように努力しますのでぜひよろしくお願いします!

八月二十五日、おれ達が通っている札幌市立蔵前高校は夏休み期間を終えて新たに二学期が始まった。


「それでは私は先に行きますから空くんも遅刻しないように家を出てくださいね?」


二人で話し合った結果、同棲してることがバレるととても面倒なことになるので、朝は別々に登校することが決まった。


「わかってるよ。車に気を付けてね、行ってらっしゃい」


そんな他愛もない会話をしてまなが玄関を出たことを確認するとおれは洗面所へと足を向ける。

これからは毎日身だしなみを整えることにした。

理由は色々あるけど、一番はやはりまなに釣り合う男になるためだ。

こんな芋くさい男が彼女の夫なんてありえないからね。

休日に一緒に出かける時だけでもいい気がしたけど、ヘアセットはとても難しく週一でしかしないとなるとあまり上手くいかないのだ。

だから毎日セットして練習するって訳。

洗面所に到着し、電気をつけて、アイロンの電源をつける。

温まるのを待っている間にドライヤーで髪を乾かすのだが、ここから既に戦いは始まっている。


「確か、ドライヤーで乾かす時点である程度の形を作るんだったよな」


そんなことを呟きながら美容師さんの教えを思い出して髪を乾かす。

今日はセンターパートにしたいので分け目を取っておでこがあまり見えないように慎重に乾かしていく。

ドライヤーが終わる頃にはすでにアイロンが温まっていてここからセットの本番って感じだ。

ダッカール(ヘアピンの大きい版のようなもの)で髪を段に分けて丁寧に熱を加える。

少量の束を取って後ろに流していくだけの単純作業だがこれがなかなか難しい。

アイロンを終えて電源を切ったらついに主役のワックスの登場だ。

俺が使っているのは美容師さんがおすすめしてくれたluppsの青色、濡れ感を出すのに向いているワックスだ。


「枝豆一個半ぐらいの量を取って手のひらで伸ばしてってと、前髪以外をペラペラめくっていくんだよな」


全てめくり終えたら髪を揉んでワックスを馴染ませて、アイロンの形が取れないように優しく振り下ろしていく。


「よし、完成!我ながらセンスあるよな」


美容師さんにも言われたが、初心者でここまで上手にセットできる人は居ないらしい。

っと、そんなことはいいからそろそろ家を出よう。

今何時だ?って!もう八時過ぎてるじゃないか!早くしないと遅刻しちゃう!

急いでブレザーを着てカバンを持ち靴を履いて家を出る。もちろん鍵は閉めたよ。


「やばいな、ちょっと走らないと間に合わないぞ、、これからはもう少し早く始めよう、、」


そんな後悔を胸に残し、おれの二学期がスタートした。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

ギリギリ遅刻せずに学校に到着することができた。

急いで靴を履き替えて教室へ向かう。


・・・なんだろう、周りから視線を沢山感じる。

もしかしてセット失敗した?いや、走ってきたから崩れてるのかも。教室に行く前に確認しよう。

そうしておれはトイレに向かい、そこで思わぬ人物に遭遇する。


「あれ?空くん?どうしたんですかその髪は!」


丁度女子トイレからまなが出てきてしまい、早くもバレてしまった。

教室で見せて、話しかけたくても話しかけられなくてモヤモヤするまなが見たかったのに、、。なんて意地悪なことを考えつつ、


「ん?あぁ、これはねまなと釣り合う男になるためにこれから毎日セットすることにしたんだけど、似合ってる?」


少し距離を近づけてそう質問するとまなは顔を少し赤めて静かに答える。


「とても似合ってますけど、、これからは毎日その髪型なんですか?」


あれ?なんか思ってた反応と違うな。もっと褒めてくれると思ってたのに。


「うん、そのつもりだよ。どうしたの?」


まなの様子が少しおかしい。機嫌を損ねてしまったのだろうか。


「とても似合ってますけど、この姿の空くんは私だけしか見れないものだと思っていたのに、、」


なるほど、つまりはおれに独占欲を抱いていたわけか。

うん、今日もまなさんは安定に可愛いな。愛おしすぎて今すぐ抱きしめたい。


「じゃあこれからはこの格好するのはやめようかな」


「いえ!それはそれでなんか嫌です、、毎日格好いい空くんを見たいとも思っていますし、、」


「ねえまな?確かにこれからはこの姿をみんなに見られるわけだけどさ、一番に見れるのはまなだよ?それじゃダメ?」


少しいじけたふうに言ってみた。

するとまなはもう一度顔を赤くして今度は下を向いてしまう。


「それじゃあ、許します、、」


「ん、ありがとね。これからもまなの隣にいられるようにいっぱい努力するね。それじゃあおれはちょっとトイレ寄って行くから先に教室に戻ってて?」


「はい、空くんも急いでくださいね」


そう言っておれ達は別れておれはトイレに入る。

すぐそこにある鏡をみて乱れた髪を整えるが、おれの予想ほど髪は乱れていなかった。

それならばなぜあんなに見られていたんだろう。

まぁいいか、そんなこと考えても仕方が無いよね!

と、思考を一区切りさせておれは教室へと向かった。


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