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第3話

そこから私は髪を短く切り、シャツにタイを結び、ズボンにベルトをしてお母様に会いに行くようになった。


ロワイエ公爵家は皆ゴールドの髪だったので髪の毛は問題なかった。ただ、瞳の色はアンリがブルーで私はブルーグリーンだったのでお母様も気づくのではないかと心配していたが、衰弱しきったお母様は、私が会いに行くと「アンリ!」と泣いて私を抱き寄せたのだった。


事故のショックからか、お母様はアンリお兄様に会うことを強く望むことはあっても、私自身やセシリアに会いたいと口にすることは、ほとんどなかった。

また体調が安定しないこともあり、セシリアの面会は控え、私がアンリお兄様としてのみ面会するようになったのだ。


私が学校に通う年になると、学校をどうするか話し合いが設けられたが、お母様はまだその頃ご存命で、私もセシリアも初等学校の間は家に先生を呼び勉学を励むこととなった。



「セシリア、お待たせ。寒くなかった?」

「ルシアお姉様!私は大丈夫ですよ。お茶を飲みますか?」

「では一杯頂こうかな。」


セシリアは私をルシアと呼ぶ数少ない人間の1人だ。

アンリお兄様が亡くなったのは、セシリアが赤子の頃の話で、私がアンリと呼ばれる理由もあまり分かっていないのかもしれないけれど、それでも私を姉として接してくれる優しい女の子なのだ。


「そういえば、クロヴィス様がまた遊ぼうってお手紙が届いておりましたよ。」


セシリアは私にティーカップを渡しながら、嬉しそうに報告しくれる。


クロヴィスはヘンリエタ伯母様のご友人のご子息で、近所に住んでるらしく、よく友人のロイストンと遊びに来るのだ。


「いつも手紙もなしに遊びに来るのに、手紙なんて珍しいね。」

「ふふ、クロヴィス様はお姉様と遊びたいのですよ。クロヴィス様は私がお茶会しかできない女の子だと思ってらっしゃるんです。」


先日、私が出かけてる間に遊びにきたらしく、わざわざ私宛に筆を(したた)めたらしい。


「私だって刺繍や読書もできますのに...。」


セシリアは真剣にいじけていてとても可愛らしい。


なるほど。

普通、女の子は馬術も剣術も学ばないのだけど、クロヴィスは私のことを馬術も剣術も学ぶ変わった女の子だと思ってるのだろう。


「クロヴィスは刺繍はしないし、読書も苦手なようだからね。でも、ロイストンは一緒に本を読んでくれるし、必ずお茶会に付き合ってくれるし優しいね。」


セシリアは少し頬を赤くした。


ロイストンは、遊びに来ると必ずセシリアとお茶を飲んで帰るのだ。私はクロヴィスに連れ回されることも多く、セシリアを1人にするのは心苦しいし、お茶の相手をしてくれるのは有り難い。


「ヘンリエタ伯母様が今度、王都で今人気のお菓子屋さんからお菓子を持ってきてくれるって言っていたから、2人をお茶会に招待しよう。私はクロヴィスに返事するから、ロイストンへの招待状を頼めるかな。」

「分かりました。楽しみですね。どんなお菓子でしょう。」


セシリアは目を輝かせた。


ヘンリエタ伯母様はよく王都にお出かけされるので、私たちにお土産を買ってきてくださる。

私の髪は短くズボンを履いてるので王都へは出かけられないけれど、セシリアはヘンリエタ伯母様と一緒に出かけられるのに、私と一緒が良いと言って王都へは出かけようとしないのだ。

それでもセシリアは王都への憧れが強いのか、話を聞くたびに目を輝かせ、その度に私は必ず「大きくなったら2人で出かけよう」と言ったものでした。



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