第1話
「お母様、体調はいかがですか」
「アンリ、ありがとう。」
ベットで横になったお母様の手が、私の頬に伸びる。
母の腕は細く、酷く衰弱していた。
「今日はとても体調がいいわ。
アンリは今日何をしたの?教えてちょうだい?」
お母様は最愛の息子を見る瞳に涙を滲ませながら、
にっこりと微笑んだ。
「本日はデュプイ先生に乗馬を学びました。」
「そう、それは偉かったわね。
ルシアとセシリアは元気にしているかしら。お父様を困らせてはいない?」
言葉に詰まる...。
「...大丈夫ですよ。2人は元気に過ごしていますし、特にセシリアはいい子で...」
お母様は嬉しそうに頷きながら私の話を聞く。
「今日もヴィヴィエ先生にテーブルマナーを教えてもらったそうです。」
「そう。2人もきっと素敵な女性になるわね...。」
お母様は遠くを見つめた。
私にもわかる。お母様はきっと長生きできない。だから私は...
コンコン
静かな部屋に扉をノックする音が響いた。
お母様が「どうぞ」と声をかけると、メイドが1人入ってきて一礼をした。
「奥様、そろそろお休みくださいませ。体に触られます。」
お母様は深い息を吐いて「わかったわ」と返事をし、宝物を触るように私の手に触れた。
「アンリ、また来てちょうだいね。」
「はい、お母様。」
はじめまして、たなかです。
思い立って書きはじめました。
慣れないことで、色々と足らぬこともあるかと思いますが、思い描いたものを残そうと思います。
ルシアを暖かく見守っていただけると幸いです。




