第93話
翌日、リュウジンバーガーのイートイン席にアレキサンダーが、イートインしていた。いつものチーズバーガーセットをとっくに完食して、イートイン席で我が物顔で、居座っていた。イートイン席の客は、アレキサンダーのみだった。
調理していたコウガにクマタンは「アレキサンダー、1番乗りで、ここに来て、すぐに、完食したくせに、ずっとダラダラして、グータラしてるよ。」
コウガは「それぐらい、うちは居心地がいいのかな?」
クマタンは「よし!喝を入れてやる!」
クマタンは、紙コップに冷たい水を入れて、それをトレーに乗せて、アレキサンダーのいるイートイン席に運んだ。
クマタンは「アレキサンダー!よく来たな!これは、サービスの冷水だよ!」
アレキサンダーの座っているテーブルの上に紙コップを置いた。
アレキサンダーは「お前、ずいぶんと古典的な技だな!茶店で、居座る客に水を提供して、帰るのを促すテクニックだな!」
クマタンは「気づいているなら、帰るのか?」
アレキサンダーは「ワシだって、帰りたいさ。本屋のおじいがワシをタダ同然で、朝から晩まで、馬車馬のようにこき使ってやがるんだ!おまけに、ワシは、足が痛い上に、今日の朝食は、ふりかけご飯のみだったので、力が出なくてな。ここで、一息入れるようにチーズバーガーセットを食ったら、なんとか、1日、やれる気になった。こんなチーズバーガーセットでもな!」
クマタンは「お前の言うことを聞いてたら、うちのチーズバーガーセットを褒めてるのか、けなしてるのか、わからないような、モノ言いだ!ケンカ売ってるのか?」
アレキサンダーは「思いついたまま、語っているだけだ。昔、おばあちゃんに、正直に生きろって教育されたからだ。」
クマタンは「能書きばっかりたれずに、とっとと帰ったらどうだ?本屋のおじいがお前のこと、早く帰るように、一日千秋の思いで、待ってるんじゃないか?おじいのためにも、さっさと、帰ってやったらどうかな?」
アレキサンダーは「痛いところを突くなあ!おじいのことは、憎たらしいが、あんなおじいでも憎めないところがあるんだよな。」
アレキサンダーは、クマタンに“さっさと帰れ”と促されたので「さっささっさ。」と言いながら、リュウジンバーガーを出ていった。
クマタンはコウガに「やっと、アレキサンダー、帰ったよ。いつも通り、トレーには、散らかしっぱなしだったよ。たまには、きつく言ってやらないとね!示しがつかないよ!」
コウガは「まあ、ほどほどにしておいてよ。あんなのでも、客の1人だからね。」
クマタンは「それもそうだよね。」
アレキサンダーは、クマタンによって、退去をしたが、実際のところ、アレキサンダーは、グラビアアイドル写真集を入荷する他店の大型書店の時間待ち調整をしていただけだった。もちろん、立ち読みが目的だった。
次に、マサムネとムゲンが現れた。
この時、応対は、フローラだった。「いらっしゃいませ!いつも通り、チーズバーガー、お持ち帰りですか?」とマサムネに尋ねた。
マサムネは「いつもは、そうなのだが、チーズバーガーセットをイートインしようと思う!ムゲンもだ!」
フローラは「ありがとうございます!」
コウガは、常連客のマサムネが来店しているのに気付き、カウンターに走り寄った。
コウガは「マサムネさん!いつもありがとうございます!」
マサムネは「拙者こそ、いつも、すまないね!」
コウガは「今日は、イートインですか?」
マサムネは「食品扱いセンターの店長に、忙しいので、頼まれたんだよ!それで、拙者とムゲンが、そこのバイトに行ってるんだ!ケーキやパンの切り方を褒められてね!日本刀とソードを肉切り包丁と牛刀に代えて、肉や魚を切っているんだよ!」
コウガは「なんだか、恐ろしい刃物の名前ですね~。」
マサムネは「ハッハッハッハッハ!拙者たちの刃物の切れ味を見込まれてね!短期バイトだけどね!あくまでも、片手間なんだけどね!」
コウガは「お疲れ様です!さすが、有名人は違いますね!」
マサムネは「いやぁ~。ありがとう!自分の店が忙しくても、依頼に応えないとね!ファンをむげにできないからね!」
マサムネとムゲンは、代金を支払って、イートインして、帰って行った。
実際のところ、マサムネとムゲンの店は、ここのところ、暇だったので、自分たちから、バイトに行っていた。どこまでいっても、自尊心は、強かった。そして、口は、かたかった。
次に、こんにちはバイバイにいちゃんがやって来た。来店するなり、いつものノリで、コーラをイートインすると、最後は「こんにちはバイバイ!!!」とキメて、帰って行った。
次々と、客が来て、いつもの気を付けてにいちゃんが来店した。アップルジュースをイートインすると、今日は「気を付けて帰ります!」だった。
その次は、ありがたいばあちゃんだった。
ありがたいばあちゃんは、フローラに「おねえちゃん、また会えたね!ありがたい!いらっしゃいませを言ってもらえて、ありがたい!ありがたい!」とフローラに、ありがたいを連発した。
フローラは「おばあちゃん、ありがとう!私こそ、ありがたい!」
ありがたいばあちゃんとフローラは、ありがたいを連発し合っていた。
ありがたいばあちゃんが、帰った後だった。
フローラは、ある常連客が来店したので、コウガを呼んだ。




