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第8話

コウガはじめ、嫌な予感がした。“あのお客さん”が来店すると、いつも、このような雰囲気がする。しかし、いつもより、一段と、尋常ではない暗さが漂っている。この感じは、コウガ他、3人も、以前から肌で感じていたものだ。


コウガの予感は的中した。常連客の女性のクラインさんだった。クラインさんは、独身で、事務職の触れ込みだった。身長160センチメートルあまりで、髪の毛は黒髪で、腰以上に長く、見るからに暗そうだった。服もよく変えてくるが、いずれも、めっちゃ地味で、めっちゃダサかった。おまけに、悩みを抱えている人だった。人見知りする割には、自身のことを時々愚痴っていた。


フローラは「いらっしゃいませ・・・。」


フローラはクラインに合わせる気もないが、その調子に引き込まれた。


クラインが「こ・ん・に・ち・は・・・。私・・・クラインです・・・。あ・の・ね~・・・。今日はチーズバーガーセット・・・。お・ね・が・い・・・。持って帰るわ・・・。」


クラインは、いつも、名乗っていた。


フローラが聞いてもいないのにクラインが「今日はね・・・、ズルして、休んだの・・・。仕事場に連絡したけど、誰もお大事にって言ってくれなかった・・・。なぜなのかな・・・?あ・な・た、わ・か・る・・・?コウガ君なら、わ・か・る・か・し・ら・・・?」


厨房にいたコウガは「ええ・・・?僕・・・?なんでそこで僕にふるんだ・・・。っていうか・・・、僕の名前、なぜ知ってんだ・・・?」


応対しているフローラは、クラインの質問に対して、


フローラは「なぜなんでしょうか・・・?」


フローラは完全につられている。


横にいるエレノアも立っていられなくなり、しゃがみ込んだ。


この時、厨房にいたコウガとクマタンも、同様に座り込んだ。完全にやる気をそがれた。


しかし、コウガは、気合を入れ直して、傍にあった椅子に座って根性で調理した。


それを見ていたクマタンもコウガを見て、やる気を取り戻したものの、這いつくばりながら、コウガの作るハンバーガーの調理を懸命に補助した。


命がけとも思えるコウガたちの尽力により、チーズバーガーセットは、やっと完成できた。


コウガは、それをカウンターに持って行った。


クラインはお金を支払うと戻って行った。


4人共、フラフラな状態だった。やる気を吸い取られていた!


ヨタヨタするコウガは、同じバージルアパートの住人で、バージルモールでアロマ店を経営している女性のシャーロットに電話して、事情を話した。


シャーロットはすぐにリュウジンバーガーに到着した。


シャーロットは18歳で、セミロングの髪の毛は紫色で、シルバーのロングドレスを着ていた。錬金術師でもある。


シャーロットは店内に入るなり、不穏なオーラを感じた。


シャーロットは「なんなの?この妖気!ただものじゃない!途方もないこの暗さ!」


コウガは「なんとかなりませんか~?助けてください~。」と命乞いのようでもあった。


シャーロットは「一旦、店に取りに帰るから、死ぬんじゃないわよ!」


シャーロットはコウガたちを笑わせるつもりの冗談だった。しかし、全くウケなかった。というより、逆効果だった。余計、コウガたちはビビった。


シャーロットは店に戻って、1本のスプレーを持ってリュウジンバーガーに戻った。


シャーロットはスプレーをあちこちに撒いた。


すると、コウガたち他3人は、驚くことに、元の状態に回復した!


コウガはシャーロットに「一体、なんだったんでしょう?」


シャーロットは「やる気を吸い取られてたのよ!これは、ソージという魔除けのスプレーなのよ!」


そう言うと、シャーロットは、店のあちこちにボトルに入っているスプレーをまいた。


しばらくすると、コウガたちは、元に戻り、立ち上がれるぐらいに回復した!


コウガはシャーロットに感謝の言葉を言った。


それにしても、常連客の今日のクラインの暗さは、異常なものだった。クラインの仕事場のみんなの対応で、クラインが悲観したことが原因だったのだろうか?とコウガは思った。


クラインの騒動の後、コウガたちはハンバーガーショップを再開した。

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