第85話
そして、コウガとクマタンは、マリアンヌに渡すプレゼントを買いに行った。
屋台の古道具屋に目がいった。机の上には、茶瓶や銅製のコップや皿も、所狭しと、言わんばかりに、数々並べられてあった。
コウガは「いろいろあるんだなあ。マリアンヌさんだったら、どれが好みかなあ?あれっ?日本的な花瓶があるぞ!横には、西洋的な花瓶だ!どれがいいか迷うなあ。」
クマタンは「この西洋的な花瓶なんかいいなあ。所々、金色で、花の絵があしらってある!これなんかいいんじゃない?1000ジオするよ!」
コウガは「マジで!?高いけど、割と大きく、見栄えはするねえ!屋敷に、招待してくれたり、トリュフを手に入れることになった発端の人だけに、こんな花瓶は、お礼としては、うってつけかもね!」
クマタンは「じゃあ、決めるの?」
コウガは「うん!」
そして、コウガは、古道具屋の店主に、「この西洋花瓶を欲しいんだけど!」
店主は、揉み手をして「いらっしゃい!この花瓶は、高いけど、お買い得ですよ!さっき、入手したところです!お金持ち風の奥さんが、急に金策を要するとかで、手放したものです!」
コウガは「ふーん。そうなんだ。じゃあ、買っていくとするか!これをください!」
店主は「ありがとうございます!」と言って、代金の1000ジオを受け取ると、西洋花瓶を紙袋に入れた。
コウガは、受け取ると、クマタンとアパートに戻った。
コウガは、失礼があっては、いけないので、念のため、西洋花瓶のチェックをした。どこにも、欠けたところもなく、欠損品ではなかった。
中を覗いたコウガは「あれ?なんか、底の方に、紙切れがあるような気がするけど、クマタン、どう思う?」
クマタンは「そういえば、なんか、見えるよ!僕が、花瓶の底に、手を伸ばして、取ってみようか?」
クマタンは、右手を伸ばして、花瓶の底を探った。いつも通り、便利な手だ。
クマタンは「張り付いているように、花瓶の底にくっついてるよ!もうちょっとだ!」
クマタンは、紙切れを花瓶の底から、うまく外した。
それをコウガに渡した。コウガは、折りたたまれている、紙切れを開いた。
楽譜の旋律が走り書きされてあった。最後の方に、ベントウボコとサインが、記してあった。
コウガは「ベントウボコと書いてあるけど、“弁当箱”みたいだなあ。」
クマタンは「この世界で、有名な音楽家のベントウボコじゃない?」
コウガは「へぇー。そんな人いたの?」
クマタンは「そうだよ!100年ぐらい前の伝説の作曲家だよ!」
コウガは「まさか、これ、本物じゃないよね?」
クマタンは「もしかしたら、事実は小説より奇なりかもね!」
コウガは「じゃあ、早速、美術商に行ってみようか?」
クマタンは「是非とも、そうしようよ!」
コウガとクマタンは、美術商に走った。
その美術商は、隣町のラスタン街にあった。
店主は、ルーペで、すぐに、紙切れを鑑定した。「これは、すごいお宝ですよ!!!本物です!!!サインは、間違いなく、音楽家のベントウボコのものです!!!是非とも、当店で、買わせてください!!!」
コウガは「マジのマジですか!?いくらになりますか?」
コウガは、興奮していた。
店主は「5000000ジオです!!!」
コウガは「えええええええ!?マジですか!?」
クマタンは「本当ですか?本当の本当に?」
コウガとクマタンは、あまりの金額に、腰を抜かしそうだった!
コウガは「是非とも、買い取ってください!!!」
コウガは、とりあえず、銀行に、入金を依頼した。
コウガとクマタンは、抱きしめ合って、大喜びした!
こうして、コウガは、5000000ジオを手に入れた!この世界では、物価が安いので、コウガは、大金を手に入れることになった!
ちなみに、花瓶は、この日の数日後、マリアンヌにプレゼントした。マリアンヌは、一目見るなり、気に入った。




