第74話
コウガたち4人は、レストラン・ベラコスタから、バージルアパートに戻ろうとしていた。
コウガは「食べ過ぎて、幸せだよ!腹ごなしに歩いたら、ちょうどいいなあ!こんな気分になれるのも、クマタンのおかげだよ!」
クマタンは「僕も、幸せだよ!こうして、コウガと手をつないで、歩けるので、うれしいよ!」
フローラは、レストラン・ベラコスの支配人に気を遣って、食事をしていたので、疲労困憊気味で、フラフラとした足取りだった。
エレノアは「フローラ、大丈夫?」
エレノアは、いつでも、気遣う優しい女の子だった。
そんな4人に、馬車が近寄ってきた。
馬車は、コウガたちの歩いている付近で停まった。「コウガさんやんか!どこ行ってたん?」
声の主は、てっちゃんだった。
コウガは「あっ!てっちゃんさん!商店街の福引で、レストランの食事券が当たったんで、みんなで、行ってきたところなんです!」
てっちゃんは「ふーん。そうなんや!ところで、おかしいことがあったんやで!アレキサンダーっていう犬おったやろ?それに似た犬が、大層、お金持ちの家の庭で、走っとったわ!よう似た犬かなあ?」
コウガは「チワワ犬は、他にもいるからね。迷い犬も、チワワ犬だったしね。」
クマタンは「まさかと思うけど、あのアレキサンダーってことあるかなあ?」
コウガは「どうでもいいことだけどねえ。」
クマタンは「でも、ちょっと見てみたいなあ。近くなの?」
てっちゃんは「ああ!そうやで!この近くやで!興味があるなら、馬車で乗せてったろか?今見たところやから、まだ、庭におるんとちゃうかな?」
クマタンは「じゃあ、見てみたいよ。」
コウガたち4人は、クマタンの意見に同意して、てっちゃんの馬車で、アレキサンダーを目撃した場所まで、乗せて行ってもらうことにした。4人は、馬車の荷台に乗り込んだ。
馬車は、すぐに、目的の場所に到着した。
コウガたち4人は、馬車から降りた。
大きな家があった。その家の庭は、かなりの広さで、色とりどりの花が咲いていた。とても美しい花々だった。
奥様のような女性が「アレキサンダー!どこー?」と叫んでいた。
「ワンワンワワン!」と白いチワワ犬が花畑を走り回っていた。
クマタンは「アレキサンダーだ!!!あいつ、何してるんだ?こんなところで!また、人に迷惑をかけているんじゃないのか?」
てっちゃんは「あの犬、幸せそうにやってんな!」
コウガは「このまま、この家で、ずっと暮らすのかなあ?」
クマタンは「アレキサンダー!!!なにやってるんだぁぁぁ?」と離れているアレキサンダーに届くように大声で叫んだ。
あまりにも、クマタンの声は、大声だった。
その声を聞いたアレキサンダーは、走っているのを制止すると、大声の主を探した。
アレキサンダーは、クマタンたちを見つけた。そして、次に、アカンベェをやった!それだけでは終わらず、後ろ向きになって、お尻ぺんぺんをやった!そのうえに、いつもの『ホイー!!!』をかました!
この時の『ホイー!!!』は、うれしさと、してやったりという優越感からきた『ホイー!!!』だった。
そして、家に入り込んだ。
クマタンは「チクショー!!!あいつ!人をバカにしやがって!」
クマタンは、カンカンだった!




