第66話
アパートに戻った、コウガとクマタンは、福引で、1等大当りを当てて、うれしさで、いっぱいだった。2人は、当てた時のうれしさの余韻に浸っていた。
コウガは「よかったね!なるべく早く、休みの日に行こうか?」
クマタンは「もちろんさ!ところで、4名限定なので、あと2人は、あの2人でしょ?」
コウガは「もちろんさ!仲間は、大事にしないとね!」
クマタンは「エレノアは、可愛くて、無口で、いいんだけどね。問題は、あのフローラだよ!一応、可愛いんだけど、どうも、小うるさいんだよねえ。でも、あのフローラがエレノアのように、無口になっても、気持ち悪いしなあ。」
そう話している時に、フローラとエレノアがやってきた。
フローラは「そろそろ、夕食だと思って、来たよ。クシュン!」と、くしゃみをした。
エレノアは「フローラ、大丈夫?ついさっきも、くしゃみしたね!」
フローラは「誰か、噂しているんじゃないかなあ?」
クマタンは、自分がフローラの悪口を言っていた矢先だったので、少し驚いた。“こいつ、感がいいな。侮れないな。”と心の中で思った。
コウガは、フローラとエレノアに「今日、商店街に行って、クマタンが福引の1等のレストランのコース料理ご招待券が当たったんだよ!4名ご招待だよ!すごいよね!」
フローラは「えええええ!?すごいね!ところで、どこのレストラン?」
コウガは「一流のレストラン・ベラコスタだよ!」
エレノアは、身を乗り出して「レストラン・ベラコスタ!?一流レストランじゃない!」
フローラは「私、絶対!絶対!是非とも、行ってみたい!」
エレノアは「私だって、行きたいわ!」
フローラは「クマタン!よくやったわ!クマタンなら、いつか必ず、何かやってくれると思っていたわ!さすが、クマタン!クマの中のクマ!ちなみに、アレキサンダーとは、えらい違いよ!」と拍手も付け加えた。
フローラは、レストラン・ベラコスタに行きたいがために、クマタンを必要以上に大絶賛した。
クマタンは「ありがとう!しかし、アレキサンダーなんかと比べるなんて、比較対象が低すぎるんじゃないの?」
フローラは、心の中で、“しまった!ここで、怒らせては、レストラン・ベラコスタに参加できない!ここは、汚名挽回を兼ねて、クマタンの自尊心をくすぐるしかないな!フローラ!落ち着いて、何か考えろ!クマタンを喜ばせる一手を考えろ!それが、今、お前に与えられた使命だ!”
フローラは、自分自身に、そう言い聞かせていた。
フローラは「クマタンは、いつも、料理がうまいなあ!私なんて、足元にも及ばないよ!おまけに、クマタンは、頭がいい!ジョセフィーヌさんの時でも、クマタンの活躍があったからこそ、うまくいった!素晴らしい!おまけに、今回は、くじ引きが1等とのこと、おめでとうございます!運もいいですねえ!さすが、クマタン!素晴らしいです!是非とも、レストラン・ベラコスタにお供させてください!お願いいたします!」
フローラは、“よしよし!これだけ褒めたら、いいだろう!打てる策は打った!鉄は熱いうちに打てというからな!褒めておくのは、今だな!”
フローラは「クマタンの歩く時には、1歩下がって、歩くべきですねえ!」
フローラは、一目置いているような表現で、褒めのトドメを刺した。
クマタンは「フローラ!褒めてくれて、ありがとう!でも、フローラ!料理は、足元にも及ばないと語っているけど、全然、作らないじゃないの?」
フローラは、痛いところをつかれた。
フローラは、クマタンの後ろに回り、「クマタン!日頃、なにかとお疲れですね!たまには、私が、肩をマッサージします!よろしいでしょうか?」
クマタンは「じゃあ、頼むよ!」
フローラは「かしこまりました!」
フローラは、思った。“これで、ゲットできたようだな!しめしめ!”
クマタンは、“どうせ、今だけだな。まあ、騙されていると思わせておいてやろう。”
クマタンとフローラの攻防だった。しかし、クマタンの方が、役者が上だった。




