表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

66/137

第65話

コウガとクマタンは、少し離れた商店街に行った。


クマタンは「夕食は、醬油ラーメンと野菜炒めにしようと思うんだ!軽食として、食後に、さっきの食パンで、オープンサンドにしたいんだよ!」


コウガは「いいねえ!じゃあ、買うとするか!」続けて「じゃあ、まず、肉屋に行こう!」


小さな商店で、コウガとクマタンは、豚肉とハムを買った。店主が福引券の補助券をくれた。福引券は、補助券をためて、くじ引きを引けるものだった。


次に、八百屋に行った。八百屋では、キャベツ、もやし、ネギを買った。ここでも、福引券の補助券をもらった。


調味料店で、醬油、味噌等を買い、やはり、補助券をもらった。


夕食の材料は、アパートにある手持ちの食材を使う算段をクマタンはしていた。


コウガは「福引券の補助券、だいぶたまったよ!1回分引けるから引いて帰ろうか?」


クマタンは「コウガが引くの?」


コウガは「クマタンが引いてよね!」


クマタンは「ええっ!?僕が!?責任重大だね!でも、やってみるよ!」


クマタンは、本気を出して、福引を引こうとした。


福引所という文字が書かれた横に長い布の横断幕があった。その前に、おじいさんが小さな机に座って、福引の世話係をしていた。おじいさんは、見るからに、固まっていて、枯れているようだった。


おじいさんは「福引を引くのかね?」


おじいさんは、一応、しゃべった。


おじいさんは、おとなしそうで、口数が少なかった。おまけに、愛想も全くなかった。クマタンは、“ちょっとぐらい客に対して、お愛想をするもんだ!”と内心思った。


気を取り直して、クマタンは「1回分、引けると思うよ!」と、おじいさんに補助券を差し出した。


おじいさんは、補助券を数えて「ああ!確かに1回引けるよ!この箱の上に穴が開いているから、手を突っ込んで、1回だけ、1枚くじを引いてよね!」


クマタンは「わかりました!」


クマタンは、直立不動で、箱に一礼して、「たのんます!!!」と気合を入れた!


クマタンは、手が伸びて、箱の中から、1枚のくじを引いた。


クマタンは、その閉じられたくじの端を切って、開いた!


“1等大当り”と記されていた!


クマタンは「えええええええ!!!!!本当なのぉぉぉぉぉ!?」と言って、おじいさんに、くじを見せた。


椅子に座っていたおじいさんは「おめでとうございます!!!!!」と、さっきまでとは打って変わって、大きな声を上げた!


そして、立ち上がると、おじいさんは、いきなり、ハンドベルを景気良く鳴らして、「レストラン・ベラコスタのコース料理4名様ご招待券ゲットです!!!」と言いながら、その抽選場付近を走り回った!さっきまでとは、違って、別人のように、まるで、水を得た魚のように、元気ハツラツで、繰り返し、叫びながら、しばらく、商店街を走っていた!今まで、静止していたのを取り戻そうと言わんばかりに、動き回っていた!恐ろしいパワーだった!


あまりの勢いで、やめることをしない、おじいさんを商店街の2、3人が止めた。


おじいさんは「まだまだワシは、現役じゃぞ!若い者には、負けないぞぉ!ワシは、この商店街のために一役買ってるんじゃ!」と、まだ叫んでいた!


しかし、止めた人のおかげで、やっと静止したおじいさんは、クマタンに「レストラン・ベラコスタのバイキングの目録です!」と付け加えた。


ようやく、目録をもらえる時がやってきた。


クマタンは、頭を下げて「ありがとうございます!」と、うやうやしく目録を受け取った!


コウガとクマタンは、抱きしめ合って、喜び合った!


それを見て、おじいさんは、もらい泣きをした。


おじいさんは「最近、涙腺が弱ってのう・・・。」と、むせび泣いていた。


おじいさんは、コウガとクマタンをハンカチで、涙を拭きながら、見送った。


こうして、コウガとクマタンは、アパートに戻った。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ