第51話
アレキサンダーは、イートイン席で、ふんぞり返っていた。
クマタンは「本屋に帰らないといけないんじゃないのか?」
アレキサンダーは「あの本屋は、いつでも暇で、開店休業状態なんだ!」
クマタンは「要するに、暇を持て余しているんだな!」
アレキサンダーは「ま~あな!」
クマタンは「ふざけたやつだ!」
コウガは「まあ、お客さんなんだから・・・。でも、ムカつくな!」
そこへ、酒屋のてっちゃんがやってきた。
てっちゃんは「毎度!お酒、配達に来たで!」
てっちゃんは、偉そうな態度で、椅子に座っているアレキサンダーを目にした。
てっちゃんは「あれ?可愛いワンちゃん、おるな!可愛いな!なんちゅう名前やのん?」
アレキサンダーは、うるさそうに「ワシか?ワシは、アレキ・・・。」
最後まで聞かない、てっちゃんは「ああ!!!そう言えば、あんた、どっかで見た!そうや!そうや!掲示板に貼ってあった犬や!迷子犬やろ?」
アレキサンダーは「はあ?」
その時だった。ハンバーガーの配達からヘルムートが戻ってきた。
ヘルムートは「ただいまー!コウガ!配達料だ!はい!」と、たった今、配達の終わって徴収した、ハンバーガー代金をコウガに渡した。
コウガは「ありがとうございます!お疲れ様です!」
ヘルムートは、アレキサンダーに気が付いた。
ヘルムートは「なんだい?あっ!この前の犬!よくも騙したな!お前のために、夢が崩れたじゃないか!」
コウガは「それはそうと、今、込み合ったことになっているんです!」
てっちゃんは「このワンちゃん、ひょっとしたら、迷い犬かもしれんで!」
ヘルムートは「え?なんだいそれは?」
てっちゃんは「ラスタン街の掲示板の貼り紙の犬に似ているで!懸賞金もかかってるで!」
ヘルムートは「本当か?じゃあ、俺が、確かめに行ってくる!このシャンタン街からラスタン街なら、馬車ならすぐさ!」
そう言うと、同時に、ヘルムートは走って行った。
入れ替わりに、エレノアが配達から戻ってきた。
エレノアは「あれ?どうしたの?」
客がいなかったので、フローラも近寄った。
クマタンは「アレキサンダーが、迷い犬らしいんだ。」
エレノアは「ええっ!?そうなの?」
すぐに、ヘルムートが戻ってきた。
ヘルムートは「貼ってあった紙を破って、持って来たぜ!なんだか少し、紙は古ぼけていたようだったがな。それがこれだ!」
『迷子になった犬を探しています!
私の可愛い犬が迷子になっています! 白いチワワ犬の犬です!オスで、3歳です!
心配しています!アレキサンドリアを見つけてくれた人には、50000ジオを差し上げます!
依頼人:マルゲリータ
住所:ラスタン街○丁目✕番地△号』
コウガは「やっぱり、チワワ犬か!でも、名前が、アレキサンドリアになっているなあ!」
ヘルムートは「本当のところ、お前、どっちの名前なんだ?」
アレキサンダーは「・・・・・・。アレキサンドリア。」
フローラは「じゃあ、あんた、アレキサンドリアなんだあ!アレキサンダーは、世を忍ぶ仮の名前なの?」
クマタンは「信じられないことが起こったなあ!事実は小説より奇なりだなあ!」
エレノアは「人は見かけによらないとか言うよねえ!この場合は、犬は見かけによらないということかなあ。」
コウガは「アレキサンドリアのドリアとか依頼人のマルゲリータとか、うまそうな名前だなあ!」
てっちゃんは「それにしても、事件やで!早速、モールの各オーナーの人たちに、知らせて来るわ!ほんじゃ!」と、急いで、突っ走っていた!
てっちゃんの知らせで、バージルモールの各店舗のオーナーたちが、リュウジンバーガーに集結した!
てっちゃんは、仕事のために、帰って行った。
フェリックスは「思わぬことになりましたね!」
シャーロットは「まさか、悪いアレキサンダーが!」
アルフレッドは「そんなことがあるのかしら?」
ジュリエットは「わからないものね!」
ルイーゼは「世の中不思議なことがあるものよねえ!」
クルトは「棚からぼたもちみたいなもんだよね!」
当のアレキサンダーは、無言のままだった・・・。




