第45話
ある昼間のクマタンだった。クマタンは、白のカッターシャツを着て、白いネクタイを締めて、白のタキシードを着ている。上着の胸のポケットには、ポケットチーフが入っている。お花が花瓶に生けられて、あちこちに飾られている。白色、ピンク色、オレンジ色、青色、紫色、素晴らしい色とりどりの花だった。
クマタンは、牧師の前に立っている。どうも、教会のようだ。赤のじゅうたんが長く敷かれている。ふと見ると、白いウエディングドレスを着た女性が父親のような男性にエスコートされて、歩いてくる。
女性は、ウエディングベールを被っている。顔が見えない。しかし、その女性に扮しているのは、誰なんだろう?クマタンは、思った。“ひょっとしたら、その女性は、コウガかもしれない。そうに違いない!僕とコウガは結ばれる運命なんだ!そうか!僕とコウガの結婚式なんだ!僕とコウガが結ばれる日がついにやってきたんだ!運命の日なんだ!感激ものだな!”
クマタンの近くに、近づいてきた!クマタンは、いよいよクライマックスだと思った!
そのコウガと思われる者のベールが外された!
フローラだった!
クマタンは「ギャアアアアアアア!!!!!」と叫んだ!
そして、飛び起きた!夢だった!
一緒に添い寝しているコウガは「クマタン、どうしたんだ?」
クマタンは「恐ろしい夢を見たよ!」
コウガは「オバケか、マンモスに追いかけられたとか?魔物に出っくわしたとか?魔女に魔法をかけられて、アレキサンダーに姿を変えられたというような夢かな?」
クマタンは「それに匹敵するぐらいのもんだよ!魔法をかけられて、アレキサンダーにされるのも最悪だよ!いや、それ以上かもしれない!」
大層なクマタンだった。
コウガは「恐ろしい夢もあったもんだね!ちなみに、どんな夢だったの?」
クマタンは「フローラが出てきて、僕の花嫁になってるんだ!アレキサンダーは、フローラのことがお気に入りなんだから、アレキサンダーとフローラが結婚したらいい!」
コウガは「クマタンも、フローラだったらいいじゃないか?」
クマタンは「なぜ、あんなのが!僕は、コウガと結婚するよ!その時は、コウガがタキシードを着て、僕が、ウエディングドレスを着るよ!とにかく、あんな悪夢を見たんだから、今日は、気を付ける日にしておこう!」
コウガは「そんなに、想ってくれてるんだなあ!ありがとう!クマタン!」と礼を言った。
そして、クマタンは、いつも通り、闘魂のエプロンを付けて、洗濯や掃除をしてから、料理命のエプロンに付け替えて、朝食の用意をした。
ほうれん草のお浸しを作り、鮭の塩焼き、玉子焼き、漬物、ご飯を用意した。今日の朝食は、日本風だった。
その時、フローラとエレノアがやって来た。
クマタンは、豆腐の味噌汁を用意した。味噌汁をよそって、テーブルに運んだ。
「あっ!玉子焼き、2切れずつだったのに、1切れずつになっている!」とクマタンが叫んだ!
フローラが、口をモグモグとしていた!
クマタンは「フローラの仕業だな!こんなことするのは、お前しかいないぞ!」
クマタンとフローラの追いかけ合いが始まった!
クマタンの悪夢は、内容は、違っていたが、フローラに迷惑をかけられるのは、ある程度、当たっていた!




