第42話
昼食の時間になった。
コウガは「じゃあ、みんな、サンドイッチと飲み物のグレープジュースをどうぞ!」
みんな、各々、礼を言って、コウガから受け取った。
昼寝から目覚めたアレキサンダーは「ワシの分、おくれー!」
クマタンは「おい!お前!なにもしていないじゃないか!」
アレキサンダーは「場所を特定する情報を提供したじゃないか!ある意味、君たちより、役に立っているのに、気が付かないのか!サンドイッチよこせ!グレープジュースよこせ!」
クマタンは「場所を教えて、本を持ってきたが、前回の砂金採りは、完璧にガセだったじゃないか!今回も怪しいもんだな!」
アレキサンダーは「つべこべ言わず、腹が減っているんだから、食べ物、飲み物よこせ!今よこしたら許してやる!」
アレキサンダーは、どこまでいっても、横柄な態度は、やめなかった。
どうしたっても、やめられないやつだった。
クマタンは、アレキサンダーの相手をしているのに夢中になっていた。手に持っていたレジ袋のような袋の中には、サンドイッチとグレープジュースが入っていた。そのクマタンの袋をアレキサンダーは、2本足歩行をしながら、マジシャンのように素早く奪い取り、袋のもち手のところに右足を通して、足首に引っかけた。
アレキサンダーは、日頃、ダラダラしているくせに、このように、奪い取る時には、人一倍、素早い行動ができる犬だった。
アレキサンダーは、右前足をへそに当てて、左前足をパーにしながら上にあげて、「ホイー!!!」
そして、高速で逃げ去った!
クマタンは「返せぇぇぇぇぇ!!!!!」
追いかけたが、アレキサンダーは俊足で逃げたので、逃がしてしまった!
トボトボと戻ったクマタンに、コウガは「僕の分もあるので、半分個して、食べよう!」
クマタンは「コウガ・・・。優しいねえ・・・。」
クマタンは、目をウルウルして、うれしさを隠せなかった。
コウガは「クマタンのサンドイッチ、うまいねえ!ミックスサンドは、ハムやマヨネーズ味のみじん切りのゆで卵に、スライスピクルスが入っていて、味は、マヨネーズやわずかなマスタード、それに、ほんのり香っている塩気の有塩バターが、決め手になっているね!本当に、食欲をそそって、うまいねえ!」
続けて「甘酸っぱいグレープジュースが、ミックスサンドに合うねえ!」
クマタンは「ありがとう!!!」
フェリックスは「クマタン!いい仕事してるよー!」
シャーロットは「もっともっと食べたいわ!」
アルフレッドは「美味しくて、もっとリクエストしたいぐらいよ!」
みんな、大絶賛した!
クマタンは、あまりにも褒めてもらえて、この上なく、うれしかった。
クマタンが、うれしくて、余韻に浸っていた時だった。アレキサンダーが戻ってきた。
クマタンは「あっ!!!アレキサンダー!!!なんだ今頃!!!僕の作ったサンドイッチ、美味かっただろう!」
アレキサンダーは「まあまあだな!うっ、ゲブゥゥゥゥゥ!」
クマタンは「なんだとぉぉぉぉぉ!?みんな褒めてくれたのに!お前だけだ!そんなこと言うのは!じゃあ、なぜ、ゲップするまで食べたんだ!」
アレキサンダーは「食べたのは、他に、なにも食べるものが無かったので、あんなものでも食べられたんだ!他に何かあったら、あんなものは食べなかった!」
クマタンは「な・な・な・なんだとぉぉぉぉぉ!!!!!お前!そんなことばっかり言ってたら、しまいには、命ないぞ!!!それだけ、ひねくれていて、今まで、よく、生きてこれたな!!!」
アレキサンダーは「へぇー。そうですか。ワシは、一族の中で、1番優秀で秀でたのがワシなんだ!」
クマタンは「お前が一族の中で、1番とは、終わってる、一族だな!!!」
アレキサンダーは「やんのか!」
クマタンとアレキサンダーは、向き合って、今にも戦おうという雰囲気だった!
コウガは「クマタン!そんなことより、埋蔵金探しだよ!そんなやつ、ほっとこう!」
クマタンは「それもそうでした!」
再び、埋蔵金探しは、再開された!
アレキサンダーは「さあ、諸君!埋蔵金が君たちを呼んでいる!ベストを尽くせ!」
みんなは、無視した。
すぐに、アレキサンダーは、再び昼寝を再開した。
夕方になった。埋蔵金は、掘っても、掘っても、見当たらなかった。
フェリックスは「やっぱり、見つからないなあ・・・。この調子では、何時間やっても、何日やっても、無駄なようだなあ・・・。」
ジュリエットは「やっぱり、また騙されたんだよ!」
クルトは「大金持ちの道は険しいなあ!」
みんなは、アレキサンダーを見た!手には、クワ、スコップ、シャベルを持って、アレキサンダーに向かって、構えていた!
アレキサンダーは殺気を感じて、飛び起きた!
そして「ワシは、情報提供しただけだ!ワシは、被害者だ!」
そう言うと、アレキサンダーは、2本足歩行で、超スピードで逃げ去った!
みんなは、砂金採りの時と同様に、とても落胆した・・・。そして、かなり重い足取りで、この世の終わりのように、憔悴しきっていた。馬車まで戻り、乗って帰った・・・。
こうして、一獲千金の夢は、過ぎ去った・・・。