第38話
砂金採りの日がやってきた。
この日、バージルアパート&バージルモールのみんなは、全員で、バージルアパートの前で、集合した。
全員、建設現場の作業着姿だった。洋服屋のジュリエットが調達したものだった。
本の袋とじを開けると、砂金の在り処の場所が地図で記してあった。オーナーたちは、事前に、しっかりと念入りに、場所を特定していた。場所は、隣町から少し外れた場所だった。近道をすれば、歩いても行けない距離ではなかった。それで、歩いて行くことにした。みんなハイキングやピクニック気分でもあった。この日、アレキサンダーも参加していた。4本足が痛いと言って、歩こうとしなかった。見かねたアルフレッドやヘルムートが、背負おうとしたが、アレキサンダーは、贅沢にも、可愛いフローラを指名した。フローラは、断ろうとしたが、みんなの夢がかかっていて、アレキサンダーのお手柄もあるので、仕方なく、背負おうとした。フローラも、この砂金採りが成功したら、自分も、おこぼれがもらえて、そのうえに、バージルアパート&バージルモールが再建できるので、これぐらいのことは、してもいいかなという気になっていた。
しかしながら、アレキサンダーの足の痛みは、全くの作り話だった!楽したい&フローラに接近したいための工作だった!
場所は、商店や市場を通り過ぎ、野道を歩いて行った。道の沿いには、花や草が生えていた。かなりの野草もあった。
ジュリエットは「お花がいっぱいで、綺麗ね!そういえば、この近くに、みんなで行った温泉があるよね!」
コウガは「へぇー!温泉が出るんですか!?」
ルイーゼは「コウガさんは、まだ行ったことないのね。そこの温泉の近所は、お祭りのような屋台が出る日があるのよ!」
コウガは「是非とも、1度、行ってみたいですね!」
クマタンは「僕も、行ったことないよ!」
フローラは「私、行ってみたいよ!」
エレノアは「私は、何度か行ったことあるわ!屋台は、いろんな店があって、楽しいよ!いつか、休みの日に、みんなで行ってみましょうよ!」
コウガは「じゃあ、いつか、行こう!」
しばらく、みんなで歩いていた。
コウガは、クマタンに「のどかだね!暖かいし、天気もいいし、気持ちがいいねえ!クマタンと一緒で、楽しいよ!」
クマタンは「僕も、コウガと一緒で、楽しいよ!ところで、あのアレキサンダー!すっかりフローラに甘え込んでるな!足が痛いのも絶対、噓だよ!嘘は泥棒のはじまりだよ!フローラを指名したのが怪しい!」
コウガは「確かに、胡散臭いよ!よく考えたら、今日、大丈夫かな?」
コウガは、一抹の不安を隠せなかった。
クマタンは、フローラに背負われているアレキサンダーに「おい!アレキサンダー!今日、砂金採り大丈夫だろうな?本当に、砂金、採れるんだろうな?」
アレキサンダーは「は~いよ!」と鼻から抜けるような声で、応えた。
クマタンは「ホントかよ?」と疑い深いクマタンだった。
かなり歩いた。すると、地図に記されている場所に来た。
コウガは「この本の地図からすると、この辺に間違いない!早速、砂金採りをやりましょう!」
フェリックスは「じゃあ、始めようか?この辺が当たりだよ!」
ヘルムートは「その前に、腹ごしらえをしよう!」
クルトは「早く、探した方が、いいと思うけどね。」
ヘルムートは「腹が減っては戦が出来ぬ!急いては事を仕損じる!ということもあるから、昼食にしようぜ!」
シャーロットは「早く砂金採りしましょうよ!」
ヘルムートは「とにかく、先に、食事にしようぜ!」
結局のところ、ヘルムートは、早く昼食を食べたいだけのことだった。
ヘルムートに押し切られるような形になり、ひとまず、昼食になった。
コウガは、みんなのために、2種類のホットドッグを用意していた。ウインナードッグとコロッケドッグだ。最近、リュウジンバーガーでも販売している。
ウインナードッグは、ホットドッグのパンの真ん中を切り開き、ケチャップ、少量のマスタード、キャベツの千切りに焼いたウインナーソーセージを乗せたものだ。
コロッケドッグは、やはり、ホットドッグのパンの真ん中を切り開き、ケチャップ、少量のマスタード、レタスの千切り、揚げたコロッケに、とんかつソースをかけたものだ。
サラダは、クマタンが作った。エビサラダだった。レタス、紫キャベツの千切りに、茹でたエビだ。フレンチドレッシングは、食べる時に、かけるようにした。最初からかけておくと、びちゃびちゃになるので、そのようにした。クマタンの粋な計らいだった。
飲み物は、ドーナツ店のクルトが、ホットコーヒーを用意した。
シートを敷き、みんなで食べることにした。
時計屋のフェリックスは「このホットドッグ、どちらも美味いねえ!」
運送屋のヘルムートは「本当だね!」
アロマ店のシャーロットは「今度、リュウジンバーガーで、このホットドッグを注文しようかしら?」
美容院のアルフレッドは「本当、サラダも美味しいわ!癖になりそうだわ!お肌にもいいみたい!」と、ここでもオネエキャラだった。
手芸店&洋服屋のジュリエットは「このホットコーヒー、いい香りだわ!」
マッサージ屋のルイーゼは「美味しいホットドッグやコーヒー、ピクニック気分で、楽しいわ!砂金採りも成功すればいいなあ!」
コウガは「クマタンのサラダ、マジで、美味いねえ!砂金採りも、うまくいくといいなあ!」
クマタンも「コウガの作ってくれたホットドッグ、どちらも美味いよ!」
アレキサンダーは「足が痛いので、エレノア、あんた食べさせてよ!」と甘えていた。
エレノアは「仕方ないわね!」
アレキサンダーは、すっかり有頂天になっていた。今日の情報提供者として、ふんぞり返っていた。




