第36話
コウガは、アレキサンダーのイートイン用のチーズバーガーセットを調理すると、それをトレーに乗せて、テーブルで、待っているアレキサンダーに持って行った。クマタンもついて行った。
コウガは、「お待たせしました!チーズバーガーセットです!冷めないうちに、お召し上がりください!本屋さんのお客様にも、リュウジンバーガーのことをそれとなく、お伝えください!よろしくお願いいたします!」
コウガは、チーズバーガーセットをフローラやエレノアに任せてもよかったが、アレキサンダーが本屋に従事しているので、宣伝の意味を込めて、オーナー直々に持って行く方が、賢明だと判断した。コウガは、リュウジンバーガーの売り上げのことを考えていた。
アレキサンダーは、一口、チーズバーガーを口に入れた。そして、すぐに、チーズバーガーを完食した。
コウガは「いかがですか?お味の方は?」
コウガは、客が犬だったので、参考のために、味の評価を尋ねてみたいと思った。
アレキサンダーは「まあまあだな!」
コウガは「はあ?・・・そうですか・・・。力を込めて、作ったんですが・・・。」
クマタンは、コウガが作ったチーズバーガーが、その程度の感想では、納得いかなかった。
クマタンは、アレキサンダーに「もうちょっと、何か思わないの?」
アレキサンダーは「まあ、ちったあ、うまいな。チーズバーガーが温かかったから食べれた。食材がよかったから食べれた。腹が減っていたから食べれた。」
クマタンは、それを聞いて「他に、何かないの?」
アレキサンダーは「あっ!あった!」
クマタンは「それ!それ!どうなの?」と身を乗り出して尋ねた。
クマタンは、今度こそ、コウガの作ったチーズバーガーを褒めるのだと期待した。
アレキサンダーは「自分で作ったら、匂いをかいで、不味いけど、人が作ったもので、匂いをかがなかったから食べれた。」
クマタンは、キレた!「それじゃあ、褒めてないじゃないか!誰が作っても、一緒みたいじゃないか!お前!怒らせてるのか!?」
アレキサンダーは「何も、けなしてないよ!」
クマタンは「褒めてもいないじゃないか!おまけに、お前のコメントを聞いていたら、腹の立つことばかりじゃないか!」
アレキサンダーは「思い過ごしじゃないか?」
クマタンは「お前!ひねくれ者だな!」
アレキサンダーは「いけませんかね~?」
クマタンの怒りは頂点に達していたが、アレキサンダーは、居直るだけだった。
クマタンは、アレキサンダーを殴ろうとした!
アレキサンダーは、応戦のために、身長が低いため、椅子から飛び降りて、2本足で立ち、ボクシングのワンツーの構えに転じた!
かなりの緊迫状態だった!




