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第26話

次に、客が現れた。


男性だった。身長は190センチメートルはあって、高身長だ。頭には、黒い布製のハットを被り、四角いサングラスにマスク、マントを羽織り、見えているパンツも全て黒色の()で立ちだった。


見るからにダーティーだ。


フローラは「す、少しお待ちください。交代の時間がきました。」と言って、厨房にいるコウガに駆け寄った。


そして、フローラは「コウガさん、またクラインさんに続いて変なのが来たよ。代わって!お願い!」と、ささやいた。


コウガは、ここで断ったら、嫌われて、フローラに店を辞められてもマズイと思い、カウンターに行った。


間近に見ると、一段と恐ろしそうな雰囲気を(かも)し出している。クラインとは、また違った恐ろしさだ。これでは女の子のフローラでは、太刀打ちできないと思った。恐ろしさを感じるコウガだったが、気を取り直して、対応することにした。


調理場内では、心配するクマタンが祈っていた。どこまでも、コウガを気にかけていた。そして、万が一のために、コウガを救うため、手元にフライパンと包丁を用意するクマタンだった。


コウガは「お待たせしました!代わりの者です!僕が、オーナーです!店内で、お召し上がりですか?それともお持ち帰りですか?」


男性は「なんだそれ?ワシはな、今、流行りのこの店のハンバーガーとやらを欲しいんだ!どうやって買うのか、このワシに説明しろ!」


男性は高圧的な態度だった。


コウガは「申し訳ありません。では、この店の商品のメニューの一覧をお見せします。そして、店内でお召し上がりか、お持ち帰りか選んでください。」


男性は「初めから、ちゃんと言わないとわからんではないか!若造!勉強不足も(はなは)だしいぞ!今日は、見逃してやるが、手討ちのところだ!」


クマタンは、それを聞いて、用意しているフライパンと包丁では役者不足と判断して、トンカチとノコギリを武器として、補充した。強化モードだった。


クマタンは「コウガ!何か用事があったら、呼んでね!」


クマタンは、コウガに、いつでも、自分が、スタンバイしているのを気付かせるために、声を掛けた。コウガは、すぐに、クマタンの心遣いに、気が付いた。以心伝心だった。


男性は、不満そうな、顔を続けていた。


コウガは「僕が、至らないことばかりで、不束者(ふつつかもの)で、申し訳ありません。」


男性は「まあ、1つずつ直していけ!ちょっとずつ直していけばいい!ワシは、お前をいじめているんではなく、可愛い娘のために、ハンバーガーを買いに来ただけなんじゃ!」


コウガは「お客様(男性)が、可愛いとおっしゃるので、よほど、可愛い方なんでしょうね。」


男性は「そうじゃ!目に入れても、痛くも(かゆ)くもないくらい可愛いんじゃ!どうだ?羨ましいだろう?嫁に欲しいと、お前が望んでも、やらないぞ!」


「パパ!」と男性の背後から、若い女性の声がした。


男性は振り返った。


男性は「レティシア!!!なぜここに来れたんだ?」


声を掛けた若い女性は男性が今さっき語った可愛い娘だった。年齢はフローラと同じ13歳で、茶髪で、肩まで髪の毛をカールさせて、瞳はブルーだった。オレンジ色のロングドレスだった。名前は、レティシアだった。


レティシアは「パパ!いじめちゃダメじゃないの!」


男性は「レティシア!ここまで、どうやって来れたんだ?」


レティシアは「パパのカレーポットで、ここまで来れてよかったわ!いくつもあるから、その1つを使ったわ!」


レティシアは、特殊なカレーポットを使用して、ここ、リュウジンバーガーに、来れた。


男性は「ワシはな、お前のために、わざわざ漆黒の世界から、こんな遥か下界までハンバーガーを買いに来たんじゃ!家来どもが止めたが、ワシは直々、レティシア、お前のために、買いに来たんだ!下界に、来るときは、変装して、いつも通り、地味な格好で、来たんだからな!家来が買いに行くより、ワシの方が、レティシア、うれしいだろう?」


コウガは「十分に目立ってますよ!」


男性は「え?そうかなあ?いつも通り、地味なはずだけど・・・。美味かったら、またリピするぞ!」


コウガは「また、ご来店していただけるんですね。ありがたいんですが、しかし、ちょっと刺激的ですよね。」


男性は「まあ、ご愛敬だ!許せ!ワシはな、漆黒の世界の帝王のヒルデグランドだ!覚えておくがいい!」


レティシアは、父親ヒルデグランドに「ちゃんと、謝ってよね!」


ヒルデグランドは、仕方なくコウガに「ごめんな!」と形だけ謝った。


レティシアは、コウガに「こんな人なので、許してやってください!」


ヒルデグランドは「レティシアが謝ることではない。」


ヒルデグランドは、メニューの一覧を見て、チーズバーガーセットを目にした。


ヒルデグランドは「とにかく、そこにいるハンバーガー屋!レティシアのために、チーズバーガーセットを3セット、所望する。それは、ワシと奥さんの分もだ!」


そして、レティシアに「買って帰って、おてて洗って、パパとママと3人で、食べようね~!」


レティシアは、とにかくハンバーガーを食べれるので、一応、怒るのをやめた。


ヒルデグランドとレティシアは、チーズバーガーセットを3セット買って、ルンルン気分で、漆黒の世界に帰って行った。


ヒルデグランドは、子煩悩で、異常なほど、娘のレティシアを溺愛していた。


コウガは「やっと帰ったよ・・・。クマタン!とても、心強かったよ!ありがとう!」


クマタンは「コウガ!よかったね!どうなるかと心配したよ!あいつなら、あと、槍、斧、牛刀包丁なんかも、必要だったかもね!」


恐ろしい、クマタンだった!

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