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第23話

この日も、リュウジンバーガーは、盛況だった。


常連客の男性が来た。コウガたちは、“こんにちはバイバイにいちゃん”とニックネームを勝手に決めていた男性だ。いつもオレンジ色のTシャツか上着を羽織っていた。そして、黒眼鏡をかけている。人見知りのしない、にいちゃんで、いつも小走りだ。神出鬼没で、すれ違う人や対面する人に、何かにつけて、“こんにちはバイバイ”と妙に覇気が良い人だ。人畜無害だが、得体が知れないので、周りの人たちは、すぐに散っていく。それにもめげず、いつもこの行為を繰り返している。今日は、ホットコーヒーを注文して、持って帰った。もちろん、帰り際には、いつも通り、“こんにちはバイバイ”をかました。やはり、この日も、人々は逃げ去った。


次に、ショルダーバッグを肩にかけた男性、“気を付けてにいちゃん”がやってきた。このにいちゃんもやはり、こんにちはバイバイにいちゃんと同じく、勝手にネーミングしていた。このにいちゃんは、その日によって、“気を付けて行ってきます。”もしくは“気を付けて帰ります。”を選択していた。基本的にバージルモールの近くに住んでいる人で、一体、出かけるのか、帰って来たのか、定かではなかった。今日は、フライドポテトを買って帰った。


この日は、帰り際には、“気を付けて行ってきます”を選択していた。


店は、ごった返していた。


エレノアは、イートイン近くで、客用のゴミ箱からゴミを袋ごと出して、掃除していた。


家族連れがいた。10歳ぐらいの男の子と母親と、おばあちゃんが来店して、イートインしていた。


男の子は「ハンバーガーとフライドポテト、美味しいね!こんなの今まで食べたことないよ!ミルクもあるし、おまけのチョコレートも最高だよ!また連れて来てよ!」


母親は「今日は、来てよかったね!いい記念になったね!」


おばあちゃんは「私まで、一緒に連れて来てもらって、すまないね!私は、うれしいよ!いい孫と嫁さんに当たったよ!」と言うと、おばあちゃんは、2人に頭を下げた。


母親は「そんなあ。やめてください!当たり前のことなんですから!」


おばあちゃんは、ハンカチで涙をぬぐって、喜んでいた。


その3人の様子を間近に見て、エレノアは感動した!


リュウジンバーガーが仲を取り持っている。私たちの仕事は価値のあるものだと認識できた。


この出来事は後で、コウガたちに伝えた。コウガとクマタンとフローラの3人も、笑顔になった。

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