第106話
フローラの配達に行った帰りのことだった。
何気なく見ると、道路の向こう側に、おもろい顔のアレキサンダーが歩いていた。
フローラは「あっ!アレキサンダーだ!なにやってるのかしら?」
フローラは、何気なくアレキサンダーの動向を探ろうとした。
アレキサンダーは、ドラッグストアに行くと、店の前に置いてある子供用のお金を入れて動く、車の乗り物を見ていた。
この機械は、ドラッグストアに頼まれて、フェリックスが作ったものだった。
アレキサンダーは、しばらく考え込むと、飛び乗って、乗り物にまたがった。そして、お金を投入口に放り投げると、乗り物は、動き出した。
アレキサンダーは、笑いながら、またがっていた。気持ち悪いようなデレデレ顔だった。
時間切れで、機械が静止したにもかかわらず、アレキサンダーは、ずっとまたがったままだった。しばらくすると、アレキサンダーは、乗り物に向かって「あんた、偉いね。」となぜか褒めて、その車を撫でていた。
フローラは、見ていて、笑いをこらえるのが、大変だった。
アレキサンダーは、乗り物から降りて、乗り物に「ご苦労さん!」と言うと、歩き出した。
“どこに行くのだろう?”とフローラは、思った。
アレキサンダーは、警備団の詰所に通りがかった。
詰所は日本の交番のようなものだった。
その時、1人の若い女性が警備団員に道を尋ねた。男性の警備団員は、若い女性が可愛いせいか地図まで提示して、丁寧な応対だった。
女性は、深々と頭を下げて、礼を言うと立ち去った。
アレキサンダーは、その様子を見ていて、急に思い立ったらしく、警備団員の男性に声をかけようとした。
それに対して、さっきの女性の応対とは180度違って、荒々しく「どこかに行け!このクソ犬め!シッシッシッシ!!!」と追い払った。
アレキサンダーは「親切にするのが当たり前じゃないか!フン!!!」
アレキサンダーは、ムカついた!
次に、アレキサンダーは、すぐに、目に留まった電信柱に「こんなとこにあったら、邪魔だ。」と言って、電信柱を蹴っ飛ばした。
アレキサンダーは「イテテテテテテ!!!痛いじゃないか!!!電信柱!!!コノヤロー!!!バカヤロー!!!」と電信柱に八つ当たりのように抗議した。
アレキサンダーは「今日は、ツイてないな!けったくそ悪い!いや、こんな時こそ、やるぞ!!!」
「ホイー!!!」と仕切り直しのホイーをかました!
アレキサンダーは、ここでも、メンタル面が強かった。
フローラは、笑うしかなかった。
アレキサンダーは「よーし!じゃあ、リュウジンバーガーだな!」
この後、アレキサンダーは、客として、リュウジンバーガーを訪れて、いつも通り、コウガたちを不愉快な気分にさせて、それを自覚できないまま、本屋に戻って行った。これが、アレキサンダーというものだった。




