第102話
翌日、リュウジンバーガーでのことだった。客はいなかったその時、クルトが来店して、コウガをカウンターに、呼んだ。クルトは、コウガに、マロングラッセの入った箱を差し出した。
クルトは「父親が送ってきたものです!食べてください!みんなにも、配ってるんです!」
コウガは「そんな高いもの、いただいていいんですか?」
クルトは「ええ。どうぞ!」
クマタンは「うまそうですね!楽しみです!」
フローラは「美味しそう!」
クマタンは、フローラを見た。2人の目は、火花が散っているようだった。
エレノアは、そんな2人を見て「まあまあ。仲良く食べよう!」
そこへ、フェリックスとヘルムートが2人で、現れた。ヘルムートは、リュウジンバーガーの配達後だった。フェリックスは、リュウジンバーガーで、コーヒーを飲むためだった。
ヘルムートは、コウガに「はい!代金だよ!」
コウガは「お疲れ様です!」と受け取った。
フェリックスは「あっ!クルトさん!さっきは、マロングラッセ、ありがとうございます!それに、みんなのために、いただいて、申し訳ありません!」
クルトは「いいえ。父親が勝手に送ってきたんですよ。パソカが記憶喪失になって、行方不明になってから、僕のことまで、うるさくなってきました。」
フェリックスは、コウガに、ホットカフェラテを頼んで、飲んだ。
ヘルムートは「クルトが大金持ちの坊ちゃんで、驚いたよ!でも、お金持ちも大変だね!自由がなさそうだね。」
クルトは「僕は、自由を満喫したいだけなんです!好きなドーナツを作るのが楽しいんですよ!家に帰ったら、商売を継げとうるさいんですよ!最近、電話ばかりしてきて、困っています!」
続けて、クルトは「たくさん、送ってきたので、まだ、ありますよ!食べてもらっていいですよ!」
タイミングよく、ジュリエットが現れた。「クルト様様だよ!マロングラッセ、大事に食べるからね!」
「ジュリエット!」という呼びかけがした。
ジュリエットは、振り返ると「ああ!お父さん!」
声をかけたのは、ジュリエットの父親だった。
父親は「ジュリエット、たまには、家に、帰ったらどうだ?」
ジュリエットは「帰ってもいいけど、お父さんが忙しくなるだけじゃない?お母さんも、元気?」
父親は「元気だよ!」
ジュリエットは「いつも通り、用事して、ここに来たの?」
父親は「そうさ!そうしないと、気が済まないんだ!洗濯は家族全員の分で洗濯物のシミのチェックをしてから、洗剤、柔軟剤を投入して、洗濯して干す!掃除は玄関のほうき掃きから、水まきはもちろんのこと、家の中の掃除は、ハタキ、ほうき掃除、水拭きは、もちろんのこと、水まわりや火のまわりに至るまで、完璧にやらないと、気が済まないんだ!」
コウガは「へぇー。マメなんですね!」
クマタンは「几帳面そうですね!僕と気が合いそうです!」
コウガは「クマタンと一緒だね!」
ジュリエットは「お父さんは、潔癖症で、こんな調子だから、私の出る幕はないわ!これだから、家に帰ると落ち着かないわ!」
コウガは「ほんとにね。」
父親は「今日は帰るが、今度は一緒に家に帰ろう!」
ジュリエットは「考えておくわ!」
父親はとりあえず、この日は帰って行った。
そして、フェリックスは、飲んだカップをトレーごとカウンターに戻した。
フェリックスは「コウガさん、美味しかったよ!」
クマタンは「アレキサンダーもこんなお客さんだったら、いいのに・・・。やっぱり、この前みたいにあんなワルのやつは、どこまでも長生きするなあ。憎まれっ子世に❘憚るを地で行ってるやつだね。今頃、くしゃみしてるだろうな。あんなやつ、いろんな人に悪口いわれて、くしゃみ止まらないだろうね。」
コウガは「クマタン、ボロカスだねえ。ま、ほんとのことだけどね。」
この頃、アレキサンダーは、本屋にいた。
「おじい、おやつの石焼き芋を買うためにワシに店番させやがって、何してやがるんだ!どこをほっつき歩いてやがるんだ!鬼の居ぬ間に洗濯で楽したいが、今日、コンビニに新しい❘娘のグラビアアイドル写真集が入るので、早く行きたいぜ!おじいもボケて、帰り道がわからなくなってもまずいしなあ。はっはっ・・・はっくしょん!!!クソ!誰か噂してやがるな!あっ!パソカの父親か?あの息子、頼りないので、ワシを養子にしたいなあなんて、勝手に思っているのかもしれないなあ。困っちゃうなあ・・・。ワシは、ルックスもいいし、頭もいい。それに、ワシほど、頼りになる犬はいないしなあ。あぁ・・・頼りにされる男はつらいねえ。」
自画自賛するアレキサンダーだった。




