第98話
パソカ騒動がひとまず終わり、この日、モールのオーナーたちは、休みの日だったので、花見に出かけた。
近くの野原に、全員、参加した。
ビニールシートを敷き、木に咲いている花々を楽しんだ。
火をおこし、バーベキューをすることになった。
料理人は、もちろん、料理命のエプロンを付けたクマタンだった。ただ違うのは、材料で、全て、お金持ちのパソカの父親から、もらったものだった。パソカ帰還のお礼だった。
クマタンが材料を焼きだした。穂先のタケノコ、穂先の松茸、ホタテ、車エビだった。
焼けた山海の材料の匂いは、とても、食欲をそそる良い匂いだった。
クマタンは「もうじき焼けるから、みんな、待っててね!」と言った時だった。
「よう!!!」という聞きなれた声がした。アレキサンダーだった!
クマタンは「まーたお前か!」
アレキサンダーは「良い匂いをさせて、焼いているから自然に足がこちらに向いたんだ!この前、トリュフを食べさせてもらってないから、今度は、ゴチになりますよ!」
クマタンは「トリュフのことや今日のこと、何でも知ってるんだな!」
アレキサンダーは「お前たちのことは、何でも把握しているんだぜ!ワシに隠し事なんて、通用しませんぜ!クマタンの秘密も知ってるんですぜ!」
アレキサンダーは、トリュフのことは、マリアンヌが注文した本の配達をした時に、聞いたことだった。花見のバーベキューのことは、パソカの父親にパソカ捜索のお礼をねだって、もらうために、パソカの家に行った際に、たまたま父親がメイドに、この日の材料を調達するのを小耳に挟んだものだった。もちろん、クマタンの秘密を知っているというのは、はったりだった。
クマタンは「秘密なんかねーよ!それより、なぜ、お前なんだ?ところで、お前!パソカさんのお父さんに、情報を小出しにして、気を引いていただろう!下心があって、お金儲けのために、先回しにしていたんだろう!」
アレキサンダーは「いいや!慎重を期していたんだ!天地神明に誓いまして、それだけは違います!嘘偽りなど、ございませんよ!」
クマタンは「噓つきの言い回しだな!お前、その割には、でこに冷や汗かいてるぞ!トリュフの時だって、探さずに、寝てたじゃないか!」
フェリックスは「まあ、いいじゃないですか。クマタン。アレキサンダーは、野牛の貢献度もありますし。」
アレキサンダーは「さすが!フェリックス博士!目の付け所が違いますね!」
クマタンは「まーた以前の野牛の時のようだな!」
アレキサンダーは「しっかり、いただきます!そして、スモールプレゼントのゆずのポン酢を持参しました!」
コウガは「アレキサンダー!一応、ありがとう!あっ!クマタン、焼けてきたよ!」
クマタンは「みんな、食べ頃だよ!」
コウガは「タケノコ、松茸、日本では、季節違うけど、異世界では、あるんだよね!ホタテ、車エビ、全部、高価で、夢のようだよ!アレキサンダーが持ってきた、ゆずのポン酢で、食べたら、素材が活きてるねえ!」
アレキサンダーは「お役に立てて、うれしいですよ!」
アレキサンダーにしては、下手に出ていた。
シャーロットは「こんな美味しいものが食べられるなんて、うれしいわ!」
アレキサンダーは「素材が良いから、食べられる!ワシが持ってきた、ゆずのポン酢がよかったから、食べられる!焼き方は、まあまあだな!」
クマタンは「はいはい、そうですか!」とアレキサンダーに、嫌そうに、ウザそうに、対応した。
アレキサンダーは、フェリックスに「博士!次は、どんな発明を考えてるの?」
フェリックスは「今、開発中です!秘密です!」
アレキサンダーは「楽しみですね~!」と揉み手をした。
アレキサンダーは、商売の糸口をいつも探していた。
クマタンは、アレキサンダーを、こすいやつだと認識していた。
アレキサンダーは、遠慮なく、タケノコ、松茸、ホタテ、車エビを何度も何度もおかわりした!
遠慮という言葉を知らないやつだった。アレキサンダーは、ゆずのポン酢で、豪華な食材を堪能しまくった。まさしく、エビで鯛を釣った。




