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ひとりぼっちのVRMMO冒険譚  作者: 鹿田 丸男
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初めての野営とアロンの話

ナイト・アーミーオーガ。別名:深紅鬼軍(しんくきぐん)。アーグラナイトダンジョンにおいて、深層に出現する強力な魔物の一種だ。通常の昼行型のオーガの生活を抜け出した異種達だ。恐らく、元は群れでの生活からあぶれた存在達だったが、他の深夜種との戦いにより、群れから軍のように訓練された、もはや別の種族達になった存在のオーガ達だ。他の種族から奪い、作り、そして進化したオーガ達だ。深紅鬼一体でSランク相当の難易度を誇る。なぜなら彼らは奪う事だけでなく、スキルや技術を磨き、進化した魔物だ。そんなオーガ達が軍のように活動している。そんな軍隊の討伐何度はSSランク、もはや討伐は不可能と言われている。

今俺が来ているのはそんな深紅鬼軍の中でも上位種と言われる深紅の鬼将軍の装備だ。深紅鬼の中でも鍛冶ができるオーガが作った一級品の鎧だ。ナイトアダマンティアと言われるナイトゴーレムからドロップした鉱石と、ナイトアラネクイーンと呼ばれる深夜種のアラクネの女王から奪った糸で編まれた至高の鎧である。一般的なオーガ族、ナイトと深夜種以外の全てのオーガはその鎧を見ただけで服従し、従属するだろう。実際シリーズ効果でオーガをサモンする効果や装備してる間だけオーガをテイムする事もできる。破格の効果だ。なぜそんな装備をしているかというと、あったかいからである。そう、装備効果の中に、<自動体温調節>という効果があり、周囲の環境に合わせて暖かくしたり涼しくしてくれるのだ。


「薪を、取ってきました」

「おお、助かります」


流石に一日中一緒にいるので、依頼主さんも俺に慣れてくれた。持参した食事を終え、依頼主は何やら魔道具を取り出した。


「それは?」

「魔よけの結界です」


はー、そんなものもあるのか。<鑑定>したところ、レベル50以下のモンスターを遠ざける効果があるが、これで深夜種を果たして遠ざける事はできるのか。いやまあこんな浅いところには出ないか。そんな事を考えていると、依頼主は先に寝たようだ。俺は夜の番をする予定だったが、必要ないようなので、俺も寝る事にした。


***


翌日、目を覚ますと、依頼主はもう朝食の準備を始めていた。折角なので、何か肉を取ってくることにしよう。


「肉、取ってきますわ」

「えっ、はぁ、お気をつけて」


先ほど近くの茂みにウサギがいたのが見えたので、<隠れる>で接近し、素手で捕まえた。

二人分の為に、二匹捕まえてくると、依頼主が嬉しそうにその場でウサギをさばき出した。すげぇ、俺がやろうと思ったけど、なんなら俺より手際がいい。流石だな。


「いやぁ!ありがたい!まさか旅の途中でウサギが食えるとは!いやぁありがたい!」

「いえいえ、あっ、ついでにこちらも」


アイテムボックスから牛乳も取り出して渡した。簡単ながらウサギのシチューにするようで、依頼主が上機嫌そうでなによりだった。


***


「いやぁ!ありがとうシエルボさん!最初はめちゃくちゃ怖かったけど、あんたいいやつだな。また頼むよ!」

「いえいえ、では」


依頼主に達成の証を貰い、アロンの冒険者ギルドで達成報告をすることにした。


鍛冶の街アロン、煙と火と鉱石で栄えた街だ。多くのドワーフが住んでおり、街の近くには多くの鉱石がある鉱山や、鉱山系のダンジョンがある街だ。ここに来た理由は、もともとは武器や鎧を調達するためだったが、今はもう必要なさそうなので、数日滞在したら次の街に行こうと思っている。主に滞在する理由の一つは、酒だ。ドワーフが多く住まうこの街では、鍛冶屋と同じくらい酒も多く作られている。酒だ酒!現実では下戸なせいであんまり飲めないが、ステータスの影響で全然酔わないのでじゃんじゃん飲める。あっ、クッションも粗品も結局あげるの忘れた。まあいっか。という事で、早速酒場をかたっぱしから巡る事にした。


***


数時間後、あらかた酒場を巡って、ギルドに依頼達成の報告をした後、宿屋の一室で休憩をしていた。

そういえば、全然ログアウトしてなかった事を思い出して、宿屋で誰もいない事を確認した後、ログアウトした。


***


ふぅ。ヘッドギアを外して、外を見てみると、もう深夜だった。どうやら一日中やっていたようで、どっと空腹を疲れが出てきた。数少ない親友からは、ゲームどこまでいった?などと聞かれ、アロンまで行ったよ。というと、おけ。とだけ返信が来た。


軽く飯を作り、風呂に入って、今日は夜に散歩に行くことにした。ゲームをしているときはずっと寝たきりなので、体をほぐしがてらコンビニ行くことにした


「あしゃしゃしたー」


相変わらず何を言っているかわからないコンビニ店員に見送られ、アイスとカップラーメンを買って帰る事にした。


部屋に入り、また簡単に体をほぐすと、ヘッドギアを装着し、またゲームを再開した。


***


アロンの宿屋で目を覚まし、どうやら時刻は早朝のようだ。正直昨日夜に酒はあらかた飲み散らかしたので、もうアロンに用はない。次は海辺の町か山の町に行くか、つまり海の幸か山の幸か。迷っていると、ピロンという音がした。どうやら昨晩、お互いのIDを教えあった親友が、俺にフレンド申請をしてきたようだ。承諾すると、早速ボイチャに招待された。完全にソロでプレイしていたので、そういえばこのゲームパーティ推奨なのド忘れしていた。えーと、こいつの職業は...魔導殲滅家?なんじゃこりゃ。魔法で広範囲の敵を吹き飛ばすのかな?ストレス溜まってるのかな?可哀そう...


「おいおい、なんだよこの死将軍って、お前魔物になったんか?」

「魔物言うな、お前もなんだこの魔導殲滅家って、ミサイルか何かかよ」

「そうだよ」

「えぇ...」


こいつレベル200超えてるし、俺に紹介しただけあってめっちゃやりこんでるな。100レベルを超えると取得できる第二職業や<限界突破>スキルなど俺が欲しいスキルも軒並み持っている。くぅ~、俺もレベリングしようかな。もうしてるけど。


「お前今どこにいるん?」

「アロン」

「アロン?まだ初期大陸かよ」

「おん」

「今俺ら前線組はもう西大陸よ?」


俺がいるのが東大陸、いわゆる初期大陸だ。それからレベルが一定を超えると、大陸間テレポーターを使用できるようになるからだ。西大陸には強力な魔物が多く出る。なので多くのプレイヤーも西大陸にいる。そうして西大陸の、まだマップに登録すらされていない場所を探索するプレイターを前線組と呼んでいたりする。むしろ俺のようなプレイヤーは数少ない方だ。うーん迷う。このままゆっくりここにいるのもいいし、東大陸には深夜の赤色魔物域という特殊な領域がある。赤色魔物と言われる肌の色が赤色に変異した強力な魔物が群生している場所だ。そんな赤色魔物は通常種に比べて、数十倍の経験値があるが、それでも通常種に比べて数十倍に強いので、Aランクの冒険者ではゴブリン程度しか相手にできない。当然そんな場所にも夜は訪れる。そして言えば深夜種。赤色の深夜種ともなれば経験値はさらに数十倍、つまり百倍近くになる。が、いかんせん強すぎてもう誰も討伐できないのである。


「あーどしよ、前線とか興味ないけど、西大陸にまだいけないって言われるとなんかムカつく」

「おーそうだそうだ、大陸間テレポーターが使えるくらいのレベルにはしとけよ、100は超えとけよ」

「わかったわかった、そのうちそっちにいく」

「おけ、待ってるわ」

「じゃ、レベリングしてくるわ」

「おけ、じゃあまたな」

「おっけー」


そういって俺は悪魔のささやきをしてきた親友とのボイチャを切った

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