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ひとりぼっちのVRMMO冒険譚  作者: 鹿田 丸男
4/18

街に帰ると宿屋の話

夜の11時くらいに街の出入り口の門まで帰ってきた。そして衛兵に宿屋の娘さんを引き渡すと、少し話があると言われて、すぐ近くの衛兵の詰め所に連れていかれた。どうやら事情聴取のようだ。


「それで、何があったんだ?」


目の前にいる衛兵の衛兵長と言われるライツさんに真剣な顔でそういわれた。


「えーと、常設クエストのゴブリン退治をしていて、アイギス平原の深部?かなまで言ったら、司祭ゴブリンがこの子を何かの魔法陣?儀式陣?の上に載せていた。まだ発動していないが、やばそうだったので、全員倒して連れ帰ってきた」


大体の事情は全部話した。身分証明証としてギルドのネームタグをライツさんに見せ、司祭ゴブリンの討伐証明であるゴブリン司祭の頭飾りを見せた。


「うん、そこまで証拠を見せられたら俺も信じよう、この事は俺の方からきちんとギルドに話を通しておく、この娘も目が覚めたらきちんと親御さんの元に届けよう」

「ありがとうございますライツさん、ではこれで」

「ああ、ありがとう」


ライツさんに見送られながら、俺は冒険者ギルドの方に向かった。

事情聴取の件もあり、かなり夜遅くなってきたが、どうやらここは24時間営業のようだ


(コンビニかな?)


流石にシフト制だと思うが、24時間裏で解体作業を行っている解体師の人々に感謝した。


***


「こんばんわシエルボさん」

「セシルさん!?」


朝も受付してもらったのにこんな深夜になってまで仕事をしていた。


「あっ、薬草とかゴブリンとか倒してきました」

「はい、こちらに薬草とゴブリンの討伐証明をお願いします」

「はい」


セシルさんが何やらトレイのようなものを出してきたので、とりあえず溢れんばかりの薬草を取り出してみた。


「えっ!?」

「え?」


いやだって何本以上必要とか言われてないし、ちゃんとアイテムボックスの中で薬草って表示されてたし、もしやこの薬草じゃない?


「少々お待ちください...量が多すぎて、裏で少し数えてきます」

「あっはい」


なんだそういう事か、これはあれかな?10本って一束みたいな、野菜のまとめ売りみたいな感じなのかな?今後止め紐とか買っとこうかな...暇なので自分のステータスやスキルを新規取得したり割り振ったりしていた。それからしばらくして、小さな紙をもってセシルさんが買ってきた。


「シエルボさん、お待たせしました。本日、薬草490本を確認しました、しかし、通常の薬草に加えて、五月草や新月草、他にも三日月草などもあり、今回の買い取り金額は合計19万Gとなりました」

「!?」


えー?これはアイテムボックスさん様様なのかな?勝手に自分の近くにある薬草を採取するようにしてるから、それで勝手に色々収集したのか。うーんありがたい。ログアウトもいいけど普通に宿屋で泊まりたいので金が多い事に越したことはない。


「じゃあ、ゴブリンの方も」

「はい」


先ほどよりかなり大きめのトレイを持ってきたようだが、またあふれるほどのゴブリンの討伐証明をセシルさんに渡した。


「うっ」


流石に多すぎてセシルさんも少し嫌そうな顔をしていた。申し訳ないです。


「すいません...」

「あっ、いえ、では数えてきますね」


数分後


ギルドの裏からなんじゃこりゃー!?という声が聞こえてきて、セシルさん以外にもごっついおじさん達がぞろぞろこちらに歩いてきた。


「お、お待たせしましたシエルボさん。こちら、ゴブリン討伐報酬の、30万Gになります」

「なんで???」


2周くらい回ってそれは流石に予想できなかった。ゴブリン一体100Gくらいのはずなんだが?3千匹なんて倒してないはず。一週間アイギス平原で延々とゴブリンを倒しても圧倒的に足りない


「セシルさん?なんで?」

「えーと、夜のモンスターは非常に危険で、それことナイト・ゴブリンなどの討伐ランクCやBのモンスターも確認できました」


ナイト・ゴブリン、帰り道に適当に<斬波>を飛ばした赤いゴブリンや黒いゴブリンかな?少し強いけどあんまり差はわからなかった。


「ネームタグをお預かりいたします」

「え?あっはい」


セシルさんが俺のタグを平たい板のようなものにかざすと、チャリンという音共に俺の所持金がきちんと収入分増えていた。


「あっ、ゴブリンのドロップ品とかは」

「おう!俺らが買い取るぜ!」


セシルさんの後ろで見ていたおじさん達がずいずいっと身を乗り出してきた。


「俺たちはギルドで武器や武具の買い取りをしている査定屋もやってるんだ。見せてくれ」


セシルさんがトレイではなくなにやら布のバッグのようなものを渡してきた。


「こちらはマジックアイテムの拡張アイテムバッグです。想像の倍以上に入るので、どうぞ遠慮なくお使いください。というか今後はこれに色々入れて提出してください。ギルドアイテムの印もついているので、世界中どのギルドに持ち込み可能です」

「あっはい」


なんだがセシルさんがもうあきらめたようにこのカバンをくれた。鑑定してみると、布のバッグに<付与魔術:拡張LV5>が付与されていた。かなり入るようだ。いいものをもらった。

さっそくこの拡張バッグに魔石やゴブリンのドロップ品を入れいく。量が量だけにほぼ自分のアイテムボックスの中が空になった。


「では、いろいろ入れましたので、お願いします」

「おうよ、任せてくれや」


おじさん達が俺の渡した拡張バッグを受け取ってまた奥に行った。


数分後


「最高だぜ!あんな上物は久しぶりだ!がははははは」


バカ笑いをしながらおじさん達がまた帰ってきた。


「シエルボ、だったが!おら、うけとれ!」


そういうと、俺の目の前に査定額、180万Gと表示され、受け取りますかと表示されていた。


「180万!?」

「おうよ、お前さん、ミスリルソードとか、B級魔石とか入ってたぞ。こんなところでこんなレアアイテムを拝めるなんざ、幸運なこった。妥当な金額だ」


受け取ると押し、小金持ちになった気分だ。今日は一番いい宿屋に泊まろう。よし。一番高いホテルみたいな、ふわふわのベッドがいいな。


「それから、シエルボさんはCランクにあがりました」

「はや」

「ナイト・ゴブリン等の討伐を確認できましたので、ネームタグに夜間外出の許可を証明しました。これからは夜間も活動できます」

「おお、ありがとうございます。でも今日は宿屋を取ってもう休もうと思います」

「宿屋..あー...」

「え?」


***


「うげ、あんたは...無理だ、わりぃ」


ここで本日8件目

どうやらあの宿屋の娘は俺がとんでもない死神に見えるみたいで、衛兵長とライツさんがどれだけあの娘さんに説明しても、完全に俺がトラウマになったようで、しかも他の宿屋にも言いふらしているようだ。

はークソ。素直な感想が出てしまった。折角一番いいホテルや宿屋に泊まれると思ったのに....

ムカついてきたのでもうこんな所は出て行ってやる事にした。

アイギスから次の街へ行くとしたら、街を出てまっすぐ進んだ後、プレイヤーが一番最初につく商業都市アーグラ、そこから右に行くと鍛冶の街アロン、左に進むと魔道具の街アグリにつく。魔術や魔法の補助道具として魔道具があるが、正直魔力や魔力量が少なすぎてまともに使えないので行く意味無し。初期魔法の火の玉(ファイヤボール)に魔力200必要とか無理だろ。いやまあPSパッシブスキル取ってないせいだけど。


そういう事でまずは商業都市アーグラを目指す事にした。ゲーム情報をゲーム内部で調べてみるとアーグラには様々な商品や素材が集まる街で、特に魔物の素材を中心に買い取りをしているようだ。貴族や金持ちもいるようで、高レアアイテムはオークションにかけられて、一攫千金も狙えるらしい。これは行くしかない。早速大金握りしめて、閉店間際の雑貨屋で買えるだけ買い込んだら、衛兵にタグを見せて、<暗視(ナイトビジョン)>のスキルを使用しながらアーグラに向かう事にした。

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