#13 これからは朝ごはんは私が作りたい
玲ママのお誕生日前日。
バウンドケーキは、初めてだったけどとても上手に焼けたと思う。
アーモンドのスライスや干し葡萄を入れた。
僕は味見したくなって少しだけでも食べてみたかったが、玲と母に止められた。
手を伸ばした僕からケーキを守っていたときの玲の顔は怖かった。
長い付き合いで玲に睨まれたのは初めてかもしれない。
ごめんなさい。もうしませんと謝ったら許してくれたけど、ケーキは玲と母の手でさっさとラッピングされて、僕から遠ざけられてしまった。
当日は、朝からカレースパゲティの材料を持って、玲の家を訪ねた。
材料とか玲の家に置いていたら、バレちゃうからね。
洗濯や掃除器で掃除をしていた玲ママにあいさつをし、今日のことを僕の方から説明した。
前々からウチで料理の練習をしていたこと。
玲ママをビックリさせたくて内緒にしていたこと。
今日の玲ママの誕生日を、玲の手料理でお祝いしたいこと。
玲ママは「ウソ!ホントに!どうしよ!嬉しい!」と目をキラキラさせながら感激していた。
感激する玲ママは、大人なのに子供のようで可愛らしかった。
カレースパゲティは予定通り玲が調理した。
僕は玲の横で、野菜の皮剥きを手伝ったり、使い終わった器具を洗って片づけたりして助手に徹した。
玲ママはそんな僕たちをケータイでパシャパシャ撮影していた。
一通り料理が終わり僕は用済みになったので、後は親子水入らずでと引き上げようとしたら、玲と玲ママに全力で引き留められた。
玲ママからは「ジンくんは玲ママの誕生日を一緒にお祝いしてくれないのかな?」と軽くお説教された。
カレースパゲティもバウンドケーキもとても美味しかった。
玲ママも「美味しい!美味しい!」ととても喜んでくれていた。
食事中は、これまで練習した料理や、練習中の失敗談や苦労したことを色々話した。
玲ママは「これからは玲の料理が色々食べられるのね!」と凄く楽しそうに眼をキラキラさせていた。
それを聞いた玲が「これからは朝ごはんは私が作りたい」と言い出した。
これには玲ママも僕もビックリした。
僕の後ろを黙って着いてくるだけだったあの玲が、自分の言葉で自己主張したのだ。
それを聞いた玲ママはとうとう涙腺が崩壊してしまい、玲と僕を力一杯抱きしめて「うんうん、朝ごはんお願いね!」と涙声で玲にお願いしていた。




