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演説

 僕の番になった。すると、いきなり、

「生徒復権。」

 の言葉は流れた。

「え?!そんなこと言った?」

 ぼくは耳を疑った。

「事前準備のテープが破損したため、急遽推薦人ヘレナが生放送で代理を務めます。アスカレイ。彼の公約はただひとつ。生徒と教師は対等であるべきだという信念のもと、全ての校則を廃止。そして、唯一絶対の行動規範の実現であります。


 君は自分の行動に自信を持てるか。


 これこそが、彼の目指す理想の中学であります。押し付けではない、自分の信念に基づいた恥じない行動を生徒一人ひとりが実践する。それこそが、生徒復権であります。自身の考えで教師の忠告に従うもよし。あるいは己の主張を貫くもよし。すべては自己責任。自分の利益のための行動は否定されるものではない。しかしながら他者に不利益を与えるならば制裁を受ける。

 問題が生じれば、生徒と教師から選ばれた裁判員が生徒会の仲裁の元、判定を下す。これこそが、本当の自治というものではないでしょうか?みなさん、カレーは好きですよね。そうみんな大好きカレー、あすカレー。アスカレイと覚えてください。」


「あ、データが修復できたようです。」

「今の、言葉にうそはありません。みなさんの希望に応えるべく全力で生徒会の運営にあたりたいと思います。」

 時間がなくなり僕の発言は最後の部分だけが流れた。


 エレンのやつ、やってくれた。もうだめだ。そう思って落ち込む僕のところにエレンがやってきた。

「何かこそこそやってると思ったら、部費と食だと。こんなチンケな公約で戦おうなんて。」

 恨めしそうに見上げる僕の目の前に彼女はタブレットを差し出した。そこには僕の気持ちとは裏腹に、僕の票が伸びていく様子が映し出されていた。

「だからでっかい花火を打ち上げろっていったんだ。」

「すまん、令。」

 マリからのメッセージだ。

「しかし、エレンのいうことももっとだ。僕の兄の留学先でも基本校則はない。問題があれば当事者を交えて徹底的に議論する。本場の民主主義とはそういうものだ。」

 なるほど。って感心してる場合か。公約はいいが、これ実現できるのか?

「どうするかは受かってから考えろ。まずは票を集めなきゃ話にならん。」

 どこまでもお気楽なエレンめ。

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