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調査開始

 マリの資料を持ち帰り、分析していて気が付いた。サッカー部と将棋部にはここ数年多額の予算がついている。たしかに、実績をあげているし、一件不自然なところは無い。しかし、人数比にすると他とは約倍の差がある。決算書を眺めていると、やたら交通費がかかっている。対外試合が増えたこともあるだろう。

「サッカー部は、やたら草津合宿が多いな。しかも冬。」

 草津と言えば、ザスパの本拠地だ。しかし、なんでわざわざ冬に群馬の山奥で合宿なんだ。

「将棋部は天童で冬合宿か。」


「温泉だな。」

 エレンが一言いった。なるほど、それなら合点がいく。

「温泉で、忘年会と新年会。費用は学校から出る特定クラブ強化費。レイ、調査に行くぞ。」

 僕とエレンは校庭に向かった。


「コラ、みつかるだろ。」

 大きなマスクをしたあやしい二人組みがもの影から校庭を眺めている光景は異常だ。

「なんで、こそこそするの?」

 僕はあたりを気にしながらエレンに小声で尋ねた。

「探偵ってのは隠れて見張るものだ。」

 いや、それドラマの見すぎ。かえって怪しまれるだけ。それに、お前の金髪、一発でばれるだろう。


「あのキーパーがツバサ。」

 中学のサッカーはキーパーによって決まるといっても過言ではない。

「なんだ、エースとかいってたが背番号10番って補欠か。」

「それは野球。サッカーは10番がエースなの。昔はキーパーは1番固定って時もあったらしいけど。」

 エレンのやつ、ときどき常識はずれなことを言う。ゴールポストの周りには一年の女子生徒が集まっている。

「なんで一年だけなんだ?」

 急いで、マリの資料を見返す。成績は2年最下位。単なるサッカー馬鹿。と記されている。現実を知らない一年だけが騒いでいるわけだ。


「不審者発見!」

 一年の女子がこっちに気付いた。

「やばい、エレン逃げ・・・。」

 振り返ると、エレンは校舎のすでに入り口まで逃げていた。置いてかれた。必死で逃げる僕。捕まりかけたその時

「校庭にいるIDゼロ、インフルエンザの検査結果が出たので至急もどりなさい。」

 構内放送が流れた。僕を追いかけてきた女子は

「インフルですって。うつる。逃げろ。」

 そう、叫びながらあわてて逃げていった。


 放送はマリの声だ。あいつ放送委員だったのか。おそらく、構内カメラで僕たちの様子を見ていたんだろう。

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