戦い済んで
校長が言い放った瞬間、教師たちがクルリと反転し、校長のほうを向いた。
「評定が下がるのは校長のほうじゃ。」
そういって、教頭が一人のスーツ姿の男性を連れて現れた。
「教育委員長の代理できました。選挙システムに変更があったとの通報がありました。調査の結果、不当な変更と判断し、校長には聴聞会への出頭の要請が出ています。」
会場には、談合坂議員との会話の様子が流れた。
「システムの修正完了しました。再集計結果を発表します。」
空欄への丸印も有効票にした結果が発表された。結果はハブの圧勝だった。僕たちは談合坂にわずかに勝っただけだった。僕たちの完敗だ。
「待ってください。」
ハブが言葉を発した。
「不正とはいえ、元は明日香君にも負けている。再集計結果をそのまま受け入れるわけにはいきません。選挙のやり直しを。」
バカ正直なやつだ。
「必要ない。やり直しても結果は変わらない。」
僕は、負けを認めた。
その後、不透明な会計は是正され、談合坂たちの選挙違反の数々も明るみに出た。ただ、ハブの公約どおり、失敗に対して懲罰を課されることは無かった。そして、ハブは公約どおりに、学内での服装の自由化や、学校行事の見直しなど規制撤廃に向けた行動を押し勧めはじめた。
結局は面白い名前は見つけることができなかった。
「残念だったな。」
エレンにそういうと、
「努力はきっと報われる。おばあさんの口癖だった。」
そうつぶやいて彼女は空を見上げた。
「ぼくには生徒会長は重荷だ。ならなくてよかったよ。」
選挙も終わった、ある日の帰り道。もとはといえばエレンの気まぐれから始まったことだ。
「しかし、あの一票は誰だったんだろう。」
僕はかねてからの疑問を口にした。
「あれは、私だ。」
エレンの言葉は衝撃的だった。
「え?気づいてたのか?」
「日本語は難しいな。アメリカではほとんどマークシートだ。マーク欄が無かったから、書いてある通りにしたまでだ。」




