選挙結果
結局、決め手に欠く戦いのまま討論会は終わった。
「校長、何たる失態だ。おかげで恥をかいた。なんとしてでも息子を勝たせろ。出来ないときにはわかっているだろうな。」
移動中、議員は校長を叱責した。
「こんなところでそういった話はいけません。壁に耳あり、障子に目ありっていうでしょ。」
ふたりは、校長室へと逃げるように入っていた。
しかし、その会話はしっかりと放送委員のメアリが聞いていた。
翌日は、投票が始まった。投票は午前中で締め切られ、昼休みには結果が発表される。
投票は各自のタブレットから行う。画面には候補者の名前とその上に空欄がある。
『候補者名の上に○印を記入すること。』
この学校では、候補者も選管も関係なく全員が等しく投票権を持つ。僕は、自分名前の空欄に○を付けた。
人気は相変わらず、僕の1弱だ。開票は不正がないようにAIのアポロンが行う。
ぼくは昼飯もろくに喉を通らない。講堂で、ひたすら開票結果を待った。
「選挙結果発表。」
結果は、談合坂の圧勝。談合坂10票。ハブ0票。ぼくが1票。随分と得票が少ない。よくよく数字をみるとほとんどが無効票となっている。
当然、選挙管理委員会には苦情が殺到した。しかし、アポロンの判定に彼らとしても理解がおいつかないのが現状だった。
壇上にいた校長が
「静かに。」
と一喝する。
「残念な結果だが、ほとんどは記入ミスによる無効票となった。候補者名の上に丸を付けるよう注意書きされていたにもかかわらず、違うところに付けた生徒がほとんどだった。」
校長の説明によると、今年は厳密に判断できるように、上段の空欄ではなく氏名に上書きするように丸を付けないと無効だというのだ。
日本選挙では通常、氏名の上の欄に○をつけるのが一般的だ。
「汚いぞ!」
生徒たちからの怒号が飛ぶ。
「黙りたまえ。これが入試だったらみな落ちているぞ。」
校長の言葉と同時に、教師たちが生徒の前に立ちはだかった。
「システムは絶対だ。逆らうなら、評定が下がるだけだ。」




