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マリ離脱

「マリはしばらく戦線離脱だ。放送委員として選管の手伝いをすることになった。」

 エレンは他のメンバーがいなくなたのを見計らって僕にいった。

「ネットに、ひどい書き込みもあったみたいだし、そのほうがいいかもな。」

 僕は少々さびしかった。あたかも最後に食べようと大切に取っておいた大好物を、となりのやつに取られた気分だ。

「なにいってる。あいつ選管の仕事ができるってうきうきしてたぞ。ヤマトのやつにマリの正体ばらしたら面白いことになるとおもわないか?」

 エレンはきらきらした目で僕を見つめる。

「や・め・と・け。」

 ぼくは、ゆっくりと彼女の目をにらむようにみつめながら一言だけ言った。

「わかってるよ。そんなやぼじゃない。そうそう、兄貴が一時帰国したって。今川焼き届けておいたって。」


 初秋に今川焼きってどんな感覚なんだ。しかも、毎年。ぼくとしては、今川焼きとかたい焼きとかは冬の食べ物というイメージだ。まあ、百歩譲ってたこ焼きは季節を問わず許そう。

 それにしても、マリのお兄さんはよっぽどアンコ好きなんだな。ぼくはトースターで暖めなおした今川焼きをほおばった。

「やっぱり、出来立てより、こっちのパリパリの食感が最高だな。」

 僕は、この今川焼きを食べると何か懐かしい気持ちになるのだった。ネットでマリへの書き込みを眺めながら、真実を知るものが誰なのか気になった。彼女が親しくしていた人物には心当たりがない。ならば、相手のほうを詳しく知る人物なのだろうか。なんにしても、彼女が身を引くほど大切な人がいたということに気付かなかった自分にも少々腹がたった。


 翌日の放課後、再びマリを除いた全員が空になった教室に集まった。

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