公約
「談合坂君はどう思います。」
ヤマトが意見を求めた。
「歴代の会長が、教師と親睦を深め良い関係を築いています。秋には会長と共に月見の会、春には桜を見る会を盛大に催すことで生徒も教師も直接、和気藹々と自由に意見を述べ合っている。もし、みなさんが今の制服がダサいというのであれば、知り合いの一流デザイナに頼んでどこにも負けない制服をオーダーすることも私なら可能です。もし、修学旅行を海外にというのであれば交渉しよう。こんなことが可能なのは歴代会長を輩出した談合坂家だからこそだ。もし、中学3年間を満喫したいのであれば実力のある会長を選ぶことを切望する。」
これは、もう教師も牛耳っているという宣言に等しい。
「では、具体的な施策について他の候補者にも尋ねてみたいと思います。」
気まずい空気を払拭するように、ヤマトは話題を変えた。
「私、アスカレイは意味不明な校則は廃止し、生徒と教師が対等に議論しあえる場を設けることを提案します。今までは内申書をたてに教師が生徒を押さえ込み、生徒は教師の暴力動画の拡散という手段で対抗していました。しかし、恐怖や憎しみからは尊敬や理解は生まれせん。ですから対等に議論し、判定する公正な場が必要なのです。」
これも、事前の想定通りの質問だった。
「ハブ君は?」
「僕は、従来どおり生徒会が窓口となって教師と話し合う道をとります。最終判断はAIのアポロンやゼウスにまかせればよいと思います。将棋の世界では、すでに人間の判断能力を超えています。AIならばえこひいきすることもなく公正なジャッジを下してくれるでしょう。生徒会は生徒の意見を吸い上げるためアンケートや目安箱を設けます。そして、下された結果が履行されるよう指導していきたいと考えます。」
「では、最後に推薦人からも一言いただきたいと思います。」
予定には無い、いきなりの振りだった。ヤマトは考えていた。候補者本人は色々な質問に対応できるように準備万端、無難な答えを用意してくるに違いない。ならば、想定外の質問をすることで真実を引き出せるのではないかと。




