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討論会

 ヤマトの司会のもと、討論会が始まった。

「あのふざけた動画は何だ。」

 いきなり、カズが噛み付いてきた。

「ふざけてなどいない。日本のグローバル化において、日本人があたりまえだと思っていることも世界から見ると可笑しなことなんだと考え直すことが必要なんだ。それには、子供のうちから柔軟な思考を身につける。その大切さを訴えている。」

 僕は、言葉に気をつけながら反論した。

「インド人と連呼して、インド人の学の無さを物笑いにしているだけだ。」

 カズの発言に、イエローカードが出た。


「警告します。ただ今の発言に、人種差別表現がありました。」

 アポロンがカズの発言に反応したようだ。重大な不適切発言が二回あった場合、自動的に立候補が取り消しになる。

「インドは自由主義国家で人口第1位の国だ。世界的標準国として採用したにすぎない。」

 これは事前に想定した内容だ。

「日本が世界に通用する国になるには、一人ひとりが日常のことでも常に善悪を意識して行動することが大事なんだ。」

 ハチャメチャなエレンを相手にしていたおかげで、多少口は回る。

「君に、教師を説得できるだけの何か取り柄でもあるといのですか?」

 ハブが質問してきた。

「ない。逆に問うが、何か特別な能力が無いと、交渉できないのか?」

「おいおい、何の実力も示せないやつが大人たちに一目おかれると思うのかい?」


「発言に注意してください。」

 アポロンからの警告だ。イエローではないが、根拠のないデマとみなされたようだ。

「百歩譲って、資格は不要としよう。しかし将棋の対局のように、教師を説得するだけの根拠と緻密な攻防には僕のほうが相応しいと、後ろの推薦人は思わないかい?」

 直接攻撃では不利と見て、ハブは推薦人であるエレンに質問を投げかけた。普通、推薦人なんて適当に選んでるだけだったから、候補者のことについてはあまり知らないものだ。


「対話は勝ち負けではない。どれだけ相手のことを理解できるかが重要だ。そういう意味では誰でも可能だと思うがな。」

 談合坂は参戦してこない。口を開くほどその発言が不利になりやすいと知っているのだろう。

「誰でも?お前のような外国人でもいいのかい?大体、日本の中学の生徒会に外人がでしゃばりすぎなんだよ。」


「カズツバサ。二度目の差別発言で失格です。」

 アポロンが割り込んだ。

「バカめ。」

 談合坂はまわりに聞こえないようにボソッとつぶやいた。


「失格者には、途中ですが退場していただきます。その前に、最後に一言だけ発言できます。」

 ヤマトの言葉にカズは

「俺は、サッカーしかできない男だ。だが、日本という国を心から愛している。大和魂。これこそ日本人だけの美徳だと思う。志半ばでの退場となったのは残念だが、いままで応援してくれたサポータ諸君、ありがとう。これからは僕に足りない頭脳を持った、ハブ君を応援したい。」

 まさかの、ハブ応援宣言。これにより、彼の支持者は一気にハブ支持に回った。そして、僕は再び大きく差をつけられることになった。

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