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謎のインド人

 学校ではさっそくなぞの踊りがはやっていた。


「インド人、今日もカレー。明日カレー。」

「先生、日本の学校ではなぜ女子の制服はスカートなんですか?」

「そう決まっているから。」

「実はね、トイレで座りやすいようにだよ。」

「インド人、びっくり。」


「インド人、今日もカレー。明日カレー。」

「先生、日本の学校ではなぜ携帯を持って来てはいけないんですか?」

「そう決まっているから。」

「実はね、通話料がかかるからだよ。自宅ならワイファイで無制限。」

「インド人、びっくり。」


「インド人、今日もカレー。明日カレー。」

「先生、日本の学校ではなぜ無断で休んじゃいけないんですか?」

「そう決まっているから。」

「実はね、残った給食を食べるみんなが太ってしまうからだよ。」

「インド人、びっくり。」


 インド人と先生と謎の老子の掛け合いが続く。

 やがて、それは独自に進化してバリエーションが増えながらじわじわと増殖をしていった。それにともない、僕の人気もうなぎのぼりになっていった。


 今の選挙では昔のようにポスターも貼らない。タブレットで検索できるからだ。だから大半の生徒は選挙がいつなのかすら気にも留めずに3年間をすごす。そのため、固定票を握ったものが圧倒的に有利だった。しかし、今回は違った。謎のインド人のお陰で、いままで選挙に興味の無かった連中まで、選挙を意識し始めたのだ。当初はおふざけかと思っていた連中も、次第に問題の本質を理解し始めた。抑圧的学校体制との戦いこそが生徒の自治権の回復だと気が付き始めたのだ。


 このことに気が付いた教師たちが、さらに抑圧を強めれば強めるほど反発の輪は大きくなった。そして歌と踊りを禁止された生徒たちは、ついにターバンを頭に巻いて登校しはじめた。


 ターバン運動。


 校則には授業中の脱帽については記載があるが、ターバンまでは想定していなかった。生徒たちは校則を逆手にターバン姿で授業を受け続けた。


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