俺と障害者と迷惑な客
途端になだれ込む今以上の瘴気、圧倒的な力だが、神の祝福の範囲内に入った以上、力は弱まった。そしてそこにいたのは、1人の少女だった。敵意は今のところ感じられないが、只者でないことだけは明白だった。
「....お前は誰で、なんのために来たんだ?」
「....」
「黙ってるんじゃねぇ、こんなどす黒い瘴気を放っといて何もなしとは言わせねぇぞ」
かなりの恐怖を感じたが、相手が敵対していない以上強気にでた。
「....」
「あ?」
「助けてです!」
『は?』
「で、なに?話が全く見えてこないんだが」
「だから、何回も言ってるです!」
「え、じゃあ次期魔王って本当なの?」
「本当です!」
あっ、この話ここで終わりだったんだ、そうかそうかすごい面倒くさいこといっぱい書いてるから、流石にもうちょっと続くと思ってたわ。
「なんでそんな死んだ顔してるんです!」
「え、だってこれからお前に蹂躙されてバッドエンドで終わりでしょ」
「違うです!たがら、助けてほしくてきたんです!」
「助けてほしいって言われてもねぇ....まずこの瘴気をどうにかしてくれよ」
「だからそれです!」
「え?どゆこと?」
「えっと、私の父、つまり先代の魔王が死んでそろそろ10年経つんですね」
これ自分の考えた世界だからなんか痛々しいな....
「それでですね、私恥ずかしながら体質が落ちこぼれでですね、この瘴気が抑えられないんです」
「はあ」
「それで五年くらい前ですかね、私の周りで体調を崩す子が出たんです、最初は気のせいだと思ったんですよ、でも明らかにみんな酷くなっていくんです、そんなわけでここ最近はずーっと1人でいたんですけど、そろそろ力が強すぎてですね、そろそろ誰か殺しちゃいそうなんです、というわけで助けて下さいです」
「え?どこをどうしろと?そもそもなんでここにきたんだ?」
「えっだってここ何でも屋じゃないんですか?」
「ああ、そういえばそうだった、ごめんごめん」
「なんか怪しいですね....まぁいいですとにかく助けてくださいです」
「助けるって言ってもねぇ、まぁ方法がないわけではないんだけども」
「何か策があるのか?」
「いや、普通に転職させていいんじゃないかと」
「転職?どういうことです?」
「えっと?今のお前の職業は?魔王ね、つまりこの職を替えたり、無くしたりできるんだよ、でもこの職変えてもいいのか?」
「そんなことができるなんて!半分諦めてたんですけど是非お願いしますです!」
「わかった、わかったがっつくなよ」
職をリセットする時にはただ望んでいる相手に、力を込めればいいだけだ。
「よいしょ、よしいくぞ」
俺はいつものように力を込めた。
「うわぁ!、なんか力が抜けていってます!」
それを聞いた瞬間、いきなり力の流れが逆流した。
「ぐっ、吸われてる!?」
「どうした!ライ!」
「ぐあっ!」
「大丈夫ですか!?」
「ぐっ....悪ぃ、力が強すぎて3割ぐらいしか取れなかったこれ以上干渉できねぇみたいだ」
「....そうですか、まぁ半分諦めてたので大丈夫です」
「と、すればあと方法は一つだな」
「え?まだ方法があるんです!?」
「あるにはあるが....かなり難しい、えっと、いやまず名前から教えてくれ」
「アシフです」
「よしわかったアシフ、レベルはなんぼだ?」
「えっと、30あったんですけど、いまは20になってます」
「それは3割俺にとられたからだな」
「で、それがどうしたんですか?」
「えっと、ちょっと待ってろよ、えっと確かここに、あ、あった」
「?それは地図ですか?」
「えっとこの前本見てたんだけど、その時に地図が挟まってる本があって色々文献を読んだんだよ、で、ここを見てくれ」
「えっと、神の?烙印?」
「そう、神の烙印だ、このダンジョンの最奥部に強力な封印があるんだ、多分何年もかけて作ったんだろうでだなこれを利用しようと思う」
「どういうことです?」
「ここは俺の神の祝福より遥かに強い力が働いてるからレベルがそれほど高くなく、3割ほど力がなくなってる魔王なら封印できるんじゃないかと思ってな」
「では早く行くです!」
「いやそれがなこの本見て貰えばわかると思うけど、ここ、モンスターのレベルが40もあるんだ、俺は覚悟できてるけどアシフは大丈夫か?」
「大丈夫です、それと....ありがとうございますです」
と言ってアシフが控えめに手を差し出してきた。
「こちらこそ、客というものは一度も見ずに廃業するかと思ってたよ」
「ふふ」
「いや笑い事じゃなくマジで、と、そんなことより善は急げだ早く行くか」
「ちょっと待て私は連れてかないのか?」
「え?行きたいの?」
「いや、ここまで話を聞いたからには私も着いていくしかないというか」
「危ないけど行きたいなら止めねーよ」
「危ないということは、多人数で行った方がいいということでもあるだろう」
「まぁそういう捉え方もできるか、よしわかった今から行けば夜前には着くな....すぐ準備するぞ」
「そこは何時間くらいで最奥部まで行けるんです?」
「う〜ん、多分一週間くらいかな」
「そ、そんな長いんですか!」
「まぁなるべく急ぐよ」
その後適当に食料や水をバッグに突っ込み、俺たちは8時間ほど歩いた、そして
「ここかぁ、意外とちっちぇな下に続いてるのか?」
「そんなことよりもうクタクタです!」
「俺もだな」
「アシフはともかくもっとライは体を鍛えた方がいいぞ」
「いや走んのだけは苦手なんだよ」
「今日はもう寝るです!」
「ああ、わかってる俺も限界だよ寝袋とかは持ってるか?」
「持ってないです」
「寝袋貸す?」
「あれで寝るの苦手なんですよねごめんなさいです」
「じゃあグラウンドシート持ってるからとりあえずこれだけ敷いてあとは....俺の上着でもかけとけ、あとアリシアは....いいや」
「なぜ私はスルーなのだ....」
「だって、四次元ポケットあんじゃんどうとでもなるだろ」
「はぁ、ライは全く私を女だと認識してないな」
「いや、してるけど口調的に女扱いして欲しくないのかと」
「そんなことはないのだがなぁ」
「そうか、とと、ふらついてきたな、俺はもう寝るわおやすみ〜」
アリシアが何かぐちぐちと言っていたがそんなことは耳に入らず、重労働に耐えかねた俺の体はすぐに眠りへと落ちていった。
「ふゎ〜あよく寝たです」
「ん、おお、おはよう朝飯できたぞ」
「おお、ライさんは料理できる系男子だったんですね」
「食料が勿体無いからただの軽いスープだけどな」
「味は....うん!美味しいです」
「いつも通り美味しいぞ」
「食い終わったら食器だけ洗って行くぞ」
俺たちは軽く談笑を楽しみ朝の静けさも味わった。
「よし、準備できたか?」
「はいです!」
「オーケーだ」
「よし入るぞ」
そして俺たちは緊張しつつもダンジョンの中に足を踏み入れたのだった。