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俺と障害者とシスターズ

これは1時間前の話である。

「俺が死んで悲しんでるやつとかいんのかな〜」

なんてそんなことを思いながらゴロゴロしていたら、何かがこちらに走ってくる音が聞こえた。

「......なんか夜中に走ってる奴がいるぞ」

なんてことを考えていたらグシャと何かにテントを踏まれた。急いでいるのかもしれないが、流石にテントを踏まれたことを無視できるほど寛大な人間ではないので、勇気を振り絞り外に出た。

「おい、何してくれてんだよ、こんなとこで寝てるおれも大概だが、だから無下にしていいってもんじゃねぇだろ」

暗闇でよく顔が見えないが声で女だとは分かった。

「すみません!急いでいたものでして、大事なものを返してもらわなきゃいけないんです!」

意外と常識はあるようだった。

「あぁ、今度は気をつけろよ怪我とかすんなよ、大事なものが手に入っても、自分が五体満足じゃねーと嬉しさも半減だぞ」

「ありがとうございます!では自分はこれで失礼します!寛大な処置痛み入ります!」

と言い残し去っていった。世の中、みんなやるべきことがあるようだ、俺もやるべきことに備えるため、テントが破損していないか確認してから、また寝転がった。




俺は失敗した。目の前にはシルヴィアとアリシアがいる。そもそもよく考えたら、シルヴィアは俺のことを16年もの間見てきたのだ、行動くらい簡単に読まれることに気づくべきだったが、自分が心を読むことは常時行なっているが読まれるというのは初体験でそこまで考えが及ばなかった。

「おやすみなさい」

「.......おやすみ」



何故かわからないがうまく寝付けず、ぼっ〜としていた、だが流石にウトウトし始めた1時頃、また何かの気配を感じた。そっと外を覗くと、そこにいたのは暗闇で見え辛かったが彼女達だった。俺はそっと近づき

「.......何してんだよ」

ビクッと彼女達が驚きこちらを向いた。

「.....ライ、相変わらず視線や気配には異様なほど鋭いわね」

「だから、何をしてんだよ」

「さっき、部屋に戻ってすぐお風呂に浸かったのだけど、ホールが騒がしくて、部屋に戻ったら部屋が荒らされていて、あらかたのものが盗まれていたのよ」

「だから?」

「決まってるじゃない取り返しに行くのよ」

「生まれてこのかた16年モブ人間では湧かない発想だな」

「だから、何かが走っていった痕跡とかを探しているのだけれど、そこを自称モブ人間に見つかってしまったというわけよ」

「ほ〜ん、なるほど、だからさっきの奴は追いかけてたってわけか」

「さっきの奴?」

「11時頃だっけかな、猛スピードで走ってきた奴がいてよ、つまりおまえらと同じ目的だったってわけだ」

「11時頃?まずいわね速く追わないと、じゃあライありがとう、さようなら」

「えっ?ここまで話して、置いて行く気なのか?」

「そうだけれど、何か問題が?」

「あ〜わかったわかった俺を置いてくんだったら、拗ねるからな!もう激おこぷんぷん丸だからな!」

「わかったわ、じゃあさようなら」

「いやいや、頼むから連れて行ってください.....」

「ライもここまで言ってることだし、連れて行ってもいいんじゃないのか?」

「おぉ!慈愛の女神リサ...じゃなくてアリシア様!」

「でも、これは私達で解決すべきことでしょう?」

「ぐっ、まぁそうだが、あぁじゃあもういいや勝手について行くってスタンスでオーケー?」

「英語のテストで20点以下を取る連続記録を中1から中3まで更新し続けたあなたが横文字を多用するのは不快だけれど、そういうことなら、好きにすれば?」

「おけおけ、よし行くか〜!」

「いや、どこによ」

「俺とあった奴はこっちに走ってったから、とりあえずこっちに行こうぜ」

「一週間連続で傘を学校に忘れていき、持ってきたら次の日が雨なのに家に置いていったあなたの記憶は信用できないけれどとりあえずそれでいいわ」

「俺の思い出話のレパートリーここぞとばかりにだしてんじゃねぇよ!」

「?じゃあどこで使えばいいの?」

「思い出って使うもんじゃねぇぇぇ〜!!」

「冗談よ冗談さぁ行きましょう」

「はぁまぁいいやほんじゃ転職!付与術師!」

この職業は俗に言うエンチャンターというものである

加速(ブースト)レベル5!」

「加速?早くなるということか?」

「まぁ簡単に言えば身体能力を強化したんだ、これで移動速度も速くなるし疲れにくくなるぞ」

「なるほど、ん?ちょっと待てなぜレベル5なのだ?普通1から始まるのでは?」

「あー言ってなかったけど俺全部の職業、なんかマスターしてんだわ、この世界だと職業をマスターしている人が他の人に教えて伝授して転職できるらしいから、その理屈から言えばマスターしてて当然だな」

「つまり、君が持ってる職業の技は全部使えるということか?」

「まぁそういうことになるな、もっとも俺はどんな攻撃をしても多分1しかダメージ出ないけど」

「難儀なものだな.....」

「まぁさっさと行こうぜ」




3分後

「あぁもう無理だ、キツイっすもう走れんわ」

「疲れにくくなるんじゃなかったのか!?」

「いや0に何をかけても0ですしぃ〜、元からスタミナない奴には効かなかったわ」

「なぜ、そのことを忘れているんだ!」

「脳みそクランブルエッグだからだろ」

「まだ、その設定生きてたのか!?」

「何はともあれ、他の方法を考えないといけないわね」

「ほんじゃま、転職!追跡者(スニーカー)!」

「ついに今度は犬まで成り下がったのね」

「まぁそういうことだ、完全に犬だな」

「犬?どういうことだ?」

「ああ、字と一緒で人が通った道筋や匂いから追跡できるスキルっぽいな、完全に犬系の職業だよ、匂い的には....こっから1キロぐらいでお前たちの匂いが止まってるからそっちに迎えばオッケーだな」

「じゃあ、あとは歩いても大丈夫だな」

「まぁゆっくり行こうぜ、それにしても鼻が良すぎるのも考えものだな、人間の脳には向いてないな」

「あまり無理をするなよ」

「ああ、わかってる」

「歩きながら、聞いてもいいか?」

「いいけど何をだ?」

「なんでついて来たんだ?」

「暇だったから」

「なるほど、眠そうだったのは、気のせいだったわけか」

「そうそう、気のせいだ」

「はっ、はは、ははははは」

「?なにがおかしいんだ」

「な、何もおかしくなどない、ただ変な意地をはっているから笑ってしまっただけだ」

「そうねあなたは、意地で3割構成されているといっても過言じゃないわね」

「いや7割はなんなんだ!?水であってくれ!せめて水であってくれよ!?いや、そんなことより今から強盗と会うんだぞ、気を引き締めとけよ」

「ああ、分かっている」

「そういえば、シルヴィアさっき戦ったって言ってたよな?」

「ええ、そうね」

「でも、おまえコントロールうまくできなかったんじゃないのか?」

「いえ、いい練習台があったから」

「ほ〜ん、練習台ねぇ」

なんかすげぇ悪寒がしたが、そんなことを話してるうちに、目的地に着いた。

「これは、以外と広そうだな」

強盗のアジトと思わしき場所は、古城であり所々壊れていたが、中心部に三階建ての石造りの建物があり、

予想以上に広かった。

「二手に分かれるか?」

「いやこれだけ広いと何人いてどれぐらいのレベルかもわからん、お前らは、多少は上がってるけど、俺は1だから.....一緒に行ってください!お願いします!」

「わかった、じゃあ入るぞ」

とアリシアがゆっくりドアを開け中を覗き込んだ。

「どんな感じだ?」

「......女が1人いるな」

「わかった、とりあえず俺が入って、敵だったら秒で逃げるし、さっき会ったやつだったら、事情を話して4人で行く、それでいいな?」

「わかった」

「わかったわ」

俺はドアに手をかけゆっくりと入った。

「名を名乗れ」

俺が部屋に入ったのは秒でバレた。おそらく空間感知系のスキルだろう。ただ俺はその声に聞き覚えがあったので、普通に近づいた。

「よぉおまえもここまで来てたのか」

「.....なんの話だ」

「さっき俺のテントを荒らしてっただろ、忘れたのか?」

「私を追いかけてきたのか?」

「おまえというか、俺の知り合いの荷物だ、おまえも何か取り返しに来たんだろ」

「ということは.....排除する」

「ちょ、ちょっと待ておまえも何か盗まれたんだろ?」

「ああ、そうだが?」

「なら、なんで俺が敵なんだよ」

「......お前にはどうでもいいだろう!」

と彼女は、驚異的な踏み込みで俺を刀で切りつけて来たが。かろうじてかわし俺は外に飛び出した。

「敵か!?」

外にいたシルヴィア達が、いきなり飛び出して来た俺を見て、そう言った。

「......味方じゃない、でも.....敵でもない、だから俺が止める、下がってろ!」

見ると既に彼女は部屋から飛び出して来て、次のスキルを発動させている、ステータスを見るところレベルは7、一般人の四倍といったところである。とすればさっきのスキルはおそらくレベル7では再使用時間が数秒存在するはずだと推測した。とすれば、

「転職!魔法使い(ソーサラー)魔法の盾(マジックシールド)!」

「ちぃ!」

マジックシールドは、遠距離攻撃を防ぐ技なのだが、

魔力がそのまま耐久値になるため、俺には最強の盾になるので、再使用時間の隙を埋めるために出された斬撃のスキルを見事にガードした。そしておそらく今の間に先ほどの突進系のスキルは使用できるようになっている。魔法の盾(マジックシールド)は接近されてしまうと効果を発揮できない、とすればさっきのスキルを必ず使ってくるだろう、つまり()()()()()だ。

「転職!罠師(トラッパー)!トラップボックス!」

と言い俺は彼女が突っ込んでくるのに合わせ、前にでた。

「なにぃ!」

俺は彼女の刀の間合いの中に入った、その時に剣に体がかすり7割ほどヒットポイントが削れたが、そのまま俺は彼女にふれ、そして彼女の動きは止まった、というより動かせなくなった。

「な、なんだこれは?」

「罠師のスキルだよ、今回は突っ込んでくんのがバレバレだったから、()()()に罠を仕掛けさせてもらって、刀の間合いより中に、入って罠にかけさせてもらった。あ、安心しろよ麻痺系の罠だから後遺症とかはない」

考えたくないが、正直読みが外れて、普通のスキル使われてたら死んでた。

「さて、おまえはなんでここにいるか、話してもらおうか」

「.......私のものを返してもらいに来たんだ」

「ふ〜ん.....じゃまぁいいや、じゃーな、行くぞ」

「え、えぇ」

「このまま、放っておいていいのか?ライ」

「めんどくせーからいいや、それより二階に上がるぞ」

幸いにも二階の部屋のどこにも誰もいなかったが、三階には一つの部屋から明かりが漏れており、中から2人ほどの気配がした。そっとドアの隙間から覗くと、床に転がされ手を壁に手錠で繋がれている無気力な1人の少女と椅子に座っている小太りな男が1人いた。男は机の上に多くのものを広げていて、それはおそらく盗品だと考えられた。そして男はしばらく盗品を物色したのち、

「はぁ〜」とため息をつき少女の手首を掴んだ。

「死ね」

と突然それを見たシルヴィアが氷のように冷たい声で言い放ち、

煙滅の炎(アシビティファイア)

を唱えた。

「やめろっ!」

俺が間一髪とめに入らなければ彼女は男を殺していた

「な、なんだお前たちは、こいつがどうなってもいいのか!?」

男は、少女の首に腕を回しナイフを当てた。

「トラップボックス」

俺がこう言い放つと、少女に触れていた男が痺れ体の自由が効かなくなった。

「がっ!な、なんだ?く、クソが俺がこんなところで!なんでこんなことに!クソがぁぁぁ!」

すごい定番の悪役のセリフをおっしゃっているので、俺から一つ人生で大切なことを教えてやった。

「1つ教えてやるよ、人間はフラグ立て始めたら負けだぜ特にこいつがどうなってもいいのか!?だけは完全に負けフラグだぞ」

「な、何言ってんだこいつ!なんでこんなふざけた奴に、クソがぁぁ!」

「おいおまえ大丈夫か?」

「え、あ、ゔゔ」

少女は状況が飲み込めていないようで、うまく言葉を発せていなかったが、最後の言葉だけは確実に聞き取れた。

「え、あ、あり、がとう」

「おう」

俺が笑うと少女も笑った、まるで俺が善人になったみたいな気分で不思議だ。

少女を連れて外に出ると、すでに目覚めた女が切り掛かってきて、こちらを見て途中で止まり、目に涙を浮かべ始めた。

「あ、あ、リリーなの?」

「お、おべぇちゃん!」

そのまま2人は近づいて朝日が昇る中抱き合った.....?ちょっと待て待て、えっと?トラップボックスの効果時間は?あと10秒?うん、ヤバイ!

「ちよっ、ちょっと待ったぁぁぁぁ〜!」

俺以外の全員が唖然とした。アリシアとシルヴィアからは軽蔑の目まで向けられたかもしれない。

「10秒だけ待て!話はそれからだ!」

「え、ええ?」

2人はとても困惑していた。

「よしもういいぞ!どうぞごゆっくり」

「ライ、空気を読むって言葉知ってる?」

お二人はとてもお怒りです。

「ちょま!トラップボックスの効果時間が残ってたの!仕方ないの!許してちょ!」

「「死ねぇぇぇぇぇぇ!!!」」

「うぎゃっ!ちょっ、真面目に死ぬ!死ぬから!」

いやまじで死ぬかと思った。

「いやでも実は私は安心したぞ」

「私もよ」

「え?何に?」

「いや、なんというかわからないが、う〜ん、あっ!そうだ!つまりキャラがブレてたんだ!」

「妙にかっこいいからすごい気持ち悪かったわ、おれが止める!とか言っちゃってねぇ」

「ああ!そうだね!まったくですわ!」

「うん、そこは流石ライというか、やっぱりライがかっこいいと変だなぁ」

「そうだね!万年モブがかっこいいのは変だね!」

俺のランク付けは相当低いらしい。

「あの、本当にありがとうございました」

「ああ、ごめん忘れてた、ついでだ、ついで」

「何かお礼をしたいのですが、住んでるとこだけでも教えていただけませんか?」

「住んではないけど、今はオリビアってとこにいるぞ」

「...オリビアですか、私達も連れて行ってもらえませんか、あと図々しいですが一つ頼みが...」

「ん?まぁとりあえず戻ろうぜ、おっとあいつを忘れてたな、この世界って警察ってあるのか?」

「警察はないですが、エルトバン王国の軍がいますよ」

「へぇ〜国って概念があったのか」

「だから、あなたが基本の世界だから、あなたが異世界ってこういうものだと想像したものがここに再現されているのよ」

「あっそういうことね、なんかスキルとかが妙に使いやすいな〜とか思ったけど俺が使いやすいものになっているわけだな、で、だなあいつをとりあえず軍のとこまで連れてかないといけんな」

「....正直あまり見たくないですね、あの男に一年も妹を人質にされていたので」

「あっそれは知ってる」

「えっ?なんでですか?」

「いやなんかこう言っちゃ悪いけどありがちだから」

「ははは、ありがちですか」

「いやこれは不謹慎だなすまん、んじゃ俺が後ろから引っ張ってくわ」

男は彼女らで相当儲けていたようで盗まれていたものを含めると相当あり街まで戻るのには、2時間近くかかり、戻った頃には朝日が完全に空に昇っていた。

「申し訳ございません!申し訳ございません!」

宿では先程の少女が延々と謝っていた。

「えっと、これ〜どうぞ」

「えっ何ですかこれは?」

「あの〜盗まれたもんなんだけど」

「えっ!?えっと、ありがとうございます!」

少女は色々思ったのかもしれないが、とりあえずお礼を言って客に盗品を返し始めた。

「さてこのゴミを駐屯所に持ってくか」

彼女に案内され、俺たちはついた。

「ずいぶん詳しいな」

「....何回もここに来ようと思ったんです」

「....まぁいーやこのゴミを、ぶち込んでとっとと行こーぜ」

「....私もここに入ります」

「へ?なんで?」

「お姉ちゃん、なんで....?」

「仕方ないとはいえ、人に迷惑をかけてしまったんですよ、罪は償わないといけません、だがら、ごのごをリリーを預かっててぐれまぜんが?」

彼女は息も絶え絶えになりながらそう言った。

「お姉ちゃん、やだよ....」

「ごべんね、うっ、リリー行がなきゃ行げないの」

「....わかった、俺らが預かるよ」

「お姉ちゃん、待っ、でるがらね、ずっど、まってるがらね」

2人は泣きながら最後の言葉を交わした。アリシアを見ると、彼女もつられて泣いていた。

「じゃあね....よろしくお願いします」

「おう、任せとけ、よし俺、今からリリー捨ててくるわ」

「「「!!!!?!?!??????」」」

その場にいるシルヴィアと俺以外が凍りついた。

「何言ってるんですか、あなたに言いましたよね!リリーを頼んだと」

「ああ、言ったよ?」

「なのに、何を言ってるんですか!?」

「えっ?そっちこそ何言ってんの?えっとリリーだよな、だってこの娘今、俺が所有してんだよな?つまり何したっていいんじゃないの?」

「何を言ってるんですか!?ふざけないでください!あなたが信用できる人だと思ったから、頼んだんですよ!?なのにその気持ちも無下にするっていうんですか!?」

「じゃあ、俺は信用できねぇよなぁ?つまりおまえが守るしかねぇってことなんじゃないの?」

「あなたはクズなのですか!」

「おっ素晴らしいねぇ、よく気づいた流石だよ、そうどうしようもないクズなんだよ俺は、だから困ってる人間にぜぇーーーーてぇ手を貸したりしないんだわ、

ゴメンなぁぁ、そもそも俺、感動の別れ!とか感動のキスシーン!とか胸糞嫌いなんだよ、なぜかって?話がそこで終わっちまうことと同じ意味だからだよ!」

「っ!」

「俺はな、そういうエンディングで終わる話が好きじゃねぇ、それはただ一方的に終わらせただけだろ、その後、どうなった?何をした?全部知りてんだよ!だからな一方的に自分の都合を押し付けて人をかき乱す人間が俺は大嫌いだ!」

「わ、わかりました、私が悪かったです。だから..」

「はぁ!?まだわかんねぇのか!?おまえとのその先を見たいって、一緒にいたいって、望んだやつは俺じゃねぇだろ!」

「あうぅ、.....リリーは私といたい?」

「うん!」

「一緒にいても、いいの?」

「一緒にいてよ!」

「私、悪いことしてたんだよ?それでもいいの?」

「いいの!」

「ありがとう...ありがとうね!リリー!」





「これで正解だったのか?」

「正解?俺は間違った事しかないぜ」

「彼女には償いたいという気持ちもあったじゃないか

君がそれを止めてしまって良かったのか?」

「償う?俺が最も信用してない言葉の一つだぜ、やったことは、変わらないし、戻らない、だから、それから、どうするかそれが大事だと思うんだ」

「...なるほど、君はそう考えるんだな....それはそうとして、今日、キャラがブレすぎだろう!」

「いや、知らねーよっ!んなこと言われても!」

「あのう、」

「あ、ごめん、え〜と?宿の受付をしてた人か」

あ、そういえば、金払ってなかった。

「ごめん!今払うから」

「払う?ああ、お金はいらないですよ」

「へ?じゃなんで来たの?」

「えっと、さっきのって、取り返してくれたんですよね?」

「一応」

「えっと、もしかしてこの街に住んだりします?」

「逆に行くとこがないよ」

「じゃあ、お礼に、私の持ってる家に住んでくれませんか?」

「え?いいの!?」

「もちろんです!そこも客室にするつもりだったんですけど、お客さんが減っちゃってボツになっちゃって良ければ住んでくれないかな〜と」

「お願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いしますお願いします」

「うわっ!わ、わかりましたから土下座しないでください!」

「ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう」

これがこの世界で2回目の土下座だった。

ほらな、キャラなんてブレてないだろ?




















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