勝者と敗者
歯医者はある女性に恋をした。
そして歯医者はその女性を食事に誘った。
しかし答えはノーだった。
そんな頃、歯医者の恋のライバルである商社マンはその女性と何度も食事を重ねていた。
歯医者は一度誘いを断られてから一歩踏み出せないでいた。
商社マンと女性の距離は次第に近づいてゆく。
女性は一ヶ月に一回、歯石取りなどのケアのために歯科医院を訪れる。
歯医者と女性が会えるのはそれくらいだ。
女性は歯に相当のこだわりがある。
ある日、歯科医院に商社マンが姿を現した。
訪れた理由は歯痛だった。
目や眉には表れなかったが、歯医者のマスクの下には優越感が溢れていた。