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3話

3話を見てみようと思ってここまで来てくれた方ありがとうございます。今回はいつもより長くなってしまいましたがそれでも読んでいって貰えると嬉しいです。よろしくお願いします。

「不老不死?!」


 思わず叫んでしまった。


 しかし仕方がないだろう。


 なんと言っても不老不死なんて夢のまた夢の産物なのだから。


 それを作ったと聞いて冷静でいられる人なんてそうはいない。


 不老不死とは、どんなことが起きても決して死ぬことはなく、どれだけ時間が経っても老いることがないとゆう存在だ。


 そんな存在になれる薬をこの子が作ったってのか?本当に?


 俺が不老不死という言葉に動揺しているとグライドさんが切り出した。


「本当にお前が作ったというのなら証明してみせろ、今、この場で。」


「今は無理ね、使うには少し準備がいるの。そうね・・・一週間あれば、あなたを不老不死にしてあげるわ。」


「俺には不老不死は必要ない。」


 そう言うとグライドさんは俺と彼女に背を向ける。


「では一週間だ。一週間後の太陽が沈んだ頃にエデンフォードの中心にあるイヴの塔で落ち合おう。そこで結果を出せばお前の待遇も良いものになるだろう。」


 そう言うとグライドさんは人混みに消えていった。


 そうして残ったのは俺と彼女とグライドさんに通報したおじさんの3人になってしまった。


 どうやらおじさんも俺と同じで動揺が隠せないようだ。


「俺は何にも聞いてねぇからな!俺は関係ないからなぁ!!」


 そう言っておじさんも走って人混みに逃げてしまった。


 そして、俺と彼女の2人だけになってしまった。


 さっきまでとは打って代わり無言の空気が流れる。


 な、なにか話題!話題を!


「あーそう言えばさっきはすいませんでした。泣かせてしまって。」


 今度は空気が張り詰めた。


「いやっ、今のは違くてっ、ちょっと泣いた理由が分からないからとりあえず泣かせてしまった事に謝罪しようと思ってっ、それでっ。」


 今度は空気が弾けた。


 彼女が俺に近づく。


 ヤバい。


 本当に今回はヤバい。


 マジで余計な事言いすぎだ俺の口。


 なんであんなこと言っちゃったんだ俺このバカ!!


 彼女の手が伸びてくる。


 ああ、このまま殴り殺されるんだ俺。


 ありがとうお父さん。


 ありがとうお母さん。


 俺、2人の息子で、幸せでした・・・。


 しかし彼女の手は俺の顔面ではなく俺の肩においた。


「え?」


 予想と違う行動に戸惑う。


「話があるの。付いてきて。」


 そう言うと彼女は俺の肩を掴んで無理やり引きづりだした。


「いででででで!!!分かった!分かったから!!引っ張らないでぇーー!!!」











 彼女に半ば強制されてきたのはさっきの廃墟の地下だった。


 廃墟の中はおばけ屋敷の様で如何にも何かが出そうな雰囲気だった。


 灯りは彼女が持っている蝋燭一本で逆に蝋燭の灯りが恐怖感を強めていた。


 廃墟の中には何に使うんだ?と思うくらい意味不明なものがいっぱいあった。


 角、羽、人形、それと俺に投げた目、髪の毛、謎の液体、挙げればキリが無い。


 それと汚い。床には本や服、さっき上げた意味不明なもの、何かの部品なんかも落ちていた。


 しかし彼女はさして気にしてない様子でどんどん廃墟の中を進んでいく。


 そうしてやっと地下への階段へたどり着いた。


「これから見せたいものがあるの。けどここで見たものは他の人には話しちゃダメ。約束よ?」


 約束よ?って半ば強制でここまで来たのに約束もクソもなくないか?とも思ったが、もう余計なことは言わないとさっき固く誓ったので俺は黙って頷いた。


 すると彼女は少しだけ微笑んで、「ありがとう。」と小さい声で言った。


 階段を一段、一段とゆっくりと降りていく。


 階段は螺旋状になっており、かなり下まで続いている。


 このペースだと地下に着くまでかなり時間がかかるだろう。


 階段を降りている途中、まだ時間がかかりそうなので俺はずっと気になっていたことを聞いてみることにした。


「そもそも呪法ってなんなんですか?魔法とは違うんですよね?」


 そう聞くと彼女は少しだけ降りる足を止めた。


 そして俺の顔を見る。


 見つめる。


 彼女の瞳が蝋燭の灯りに照らされて、まるで宝石のルビーのような輝きを放っていた。俺はその瞳に吸い込まれそうになる。


 しかしこんなに顔を、しかも女の子に見つめられる事が今までなかったので、恥ずかしくて目を逸らしてしまう。


 彼女はふふっと笑った。


「純情なのね。」


 なんだこれは。


 俺は同い年か一つ下くらいの女の子に遊ばれているのか。


 悔しいと思う反面、少しだけいいと思ってしまったのがさらに悔しかった。


 そうして彼女はまた階段を降り始めた。


「呪法は忘れられた文明。」


「魔法に全てを奪われた、哀れな産物。」


「それでいて、魔法より優れた概念よ。」


 彼女は俺の質問に答えた。


 しかし、その答えを聞いても疑問はさらに増えていくばかりだった。


 忘れられた?奪われた?それでいて魔法より優れている?


 なぞなぞを答えろと言われた時のように俺は頭を悩ませた。


 そうしている内に地下室にたどり着いたらしい。


「まぁ私が答えるより、実際に見てもらえれば早いと思うから。」


 そう言って彼女は地下室の鍵を使って扉を開ける。


 扉の先には広い空間が広がっていた。


 薄暗いのは相変わらずだが、これ部屋には専用の照明があり、上の空間よりも見えやすかった。


 地下室の壁は本棚で囲われており、床には上の階とは違い、何も落ちてない。


 この空間は綺麗に掃除が行き届いているようだ。


 部屋の中央には台座のようなものがあり、その台座には棺桶が置かれていた。


「あれはなんですか?」


 俺は棺桶を指差して聞いた。


「開けてみれば?」


「開けていいんですか?」


「いいわよ」


 俺は棺桶に近づき棺桶の蓋に手を掛けた。


 結構重い、しかし開けられない程ではない。


 俺は意を決して蓋を開けた。


 中に入っていたのは俺より少し年上だろうか。


 一人の青年が眠っていた。


 とても整った容姿をしていて白い髪がクロエを彷彿とさせる。


 どうやら死んでいる訳では無さそうだ。


 頬に赤みがかかっていて呼吸もしているようだ。


 俺はミイラとかゾンビのようなものが入っていると思っていたので思っていたよりもびっくりしなかった。


「それはグロウ=フール、私の5000年前の先祖よ」


 その言葉を聞いて俺の体に寒気が走った。


「そう言えば自己紹介がまだだったわね。私の名前はクロエ=フール。呪われた一族の、最後の一人よ。」

ここまで見てくださってありがとうございます。次も出来次第すぐにあげますのでよければ読んでいって貰えると幸いです。

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