プロローグ
剣と魔法の世界。
そんな世界に憧れていた時期が俺にもありました。
てゆーか今も少しまだ憧れているのだが・・・そんなことは置いておいて。
俺の名前は上野空。
何処にでもいる普通の高校生だった。
『だった』というのは俺はもう普通の高校生ではなくなったからだ。
と言うと俺が普通じゃないように聞こえるので言い方を変えよう。
俺ではなく世界が普通ではなくなったのだ。
よーするに俺が何を言いたいかと言うと、
俺は異世界に来たらしい。
犬も歩けば棒に当たるということわざがある。
このことわざは何かをしようとすれば、何かと災難に遭うことも多いという意味と、出歩けば思わぬ幸運に出会うことという二つの意味があるが、今回は完全に前者だった。
学校から家に帰る途中、俺は明日発売のゲーム『DRAGON HUNTER』通称ゴンハンの情報をケータイで確認していた。
このゲームはいろんな種類のドラゴンを狩猟し、素材を集めて装備を作ったり、マルチプレイで友達とワイワイ楽しく遊べるゲームだ。
俺はこのゲームの大ファンで新作が出るのを楽しみにしていた、もっとも一緒に遊ぶ友達はいないんだが。
そんなことは些細なことだ、真のハンターは馴れ合わないのである。
とにかく俺は明日が待ち遠しいので、この行き場のない焦燥感をケータイで情報を確認することで、明日からのハンター生活をより良いものにしようとしていた。
「ん?」
そんな時、ふと何か違和感を覚えた。
そしてすぐにその違和感の原因に気づいた。
いつも一本道の通路に新しく狭い通路が一つ出来ているのだ。
登校した時はこんな道なかったはずだ。
今まで気づかなかっただけでずっと前からあったのかとも思ったが俺はこの道は毎日のように通っている、その線はなさそうだが・・・
「・・・よし。」
一度気になりだすと気になってしょうがなくなる性格な俺はこの道を進んでみることにした。
まぁ別に道を少し変えるだけだ、帰る方向が分からなくなったらここまで戻ってくればいい、そう考えていた。
そしてその道に一歩、足を踏み入れると、世界が『変わった』
「へぁ?」
思わず気の抜けた声を出してしまう。
しかし仕方がないだろう。
今まで見ていた風景とあまりにも差があるのだから。
地面はコンクリートではなく石畳、建物はビルやマンションではなく西洋のヨーロッパのような建物になっていた。
そしてなにより一番驚いたのはそこにいた『人』達、正確に言うなら空を飛んで追いかけっこをしている子供達だった。
とても現実とは思えない光景に俺は息を呑んだ。
そして同時に悟った、俺が関わってはいけない事だと。
「お、おじゃましました〜」と軽く会釈し、俺は踏み出した足を引っ込め引き返した。
しかし引き返しても風景が見慣れた俺の住む町並みに変わることはなかった。
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