雲よりもたかく、宇宙よりもちいさく
一匹の鳥が空を飛ぶ。
大地が小さくなっていく。
今日も限界まで飛ぶ。
上へ上へと目指し飛んでいくが途中で行けなくなる。
体力的にも精神的にも限界を感じる。
鳥は羽を大きく広げ下に降りる。
大地が大きくなって行く。
水辺に降りる。
一口水を喉にとおす。
水は簡単に鳥の全身に行き渡る。
なんだか生きている感じがする。
今日も鳥は空を越えることが叶わなかった。
辺りは暗くなる。
適当に餌をとり食べると眠気に襲われて木の上ある巣に行き寝る。
今日もいつもと同じように終わっていく。
***
朝日とともに目が覚める。
起きるとすぐに羽を広げた。
今日も餌を食べるために、獲物を探す。
腹八分目まで食べると今日もまた、空を越えるために飛び立つ。
大地が今日も小さくなっていく。
雲がどんどん自分よりも大きくなっていく。
雲の中に入るそこには激しい雨と激しい雷が待っている。
鳥は雨で濡れながらも上へと飛んでいくが途中雷に当たりそうになり下に落ちる。
それでも上に飛んだ。
鳥は夢がある。
雲を越えた先の世界いくと。
鳥はなぜこんな夢を持っているのか自分にもわからない。
だけどそれでも空を雲を越えたいのだ。
羽を広げる。
口を大きくあける。
鳥はなく。
そして進んむ。
雲よりも高い宇宙へと。
だか、それは成功とは行かない。
強い風が吹く。
それが原因でまっ逆さまに降下していってしまう。
(また、むりだったのか……)
そう思ってしまう。
静かに静かに降下していく。
頑張っても頑張っても越えられない壁。
努力しても行き着けないその先。
どうすればよいのかもうすでに鳥は分からなかった。
自分自身どうしたいのか分からなくなっていた。
***
次の日も無理だった。
***
その次の日も無理だった。
***
一週間後も無理だった。
***
一ヶ月後も無理だった。
***
一年後も無理だった。
***
鳥は思い知った。
このちっぽけなはかない夢は叶わないということに。
どんなにどんなに頑張ったところで無意味だったのだ。
自分という存在は一体なんだったのかと心底思ってしまう。
鳥は諦める。
自分の羽ではいけないのだ、あの雲よりも高い世界に。
涙はでない。
いや、枯れはてたと言うべきか。
そもそも鳥が雲よりも上へ飛ぼうとしたのは、ちっぽけな理由からだった。
ある夜の日、鳥は綺麗な星空を見た。
その景色を忘れることが出来なくて次の日の朝から目指し始めたのだ。
あのときはどんなに出来なくても諦めることを知らずに目指すことをやっていたような気がする。
鳥はもう疲れていた。
鳥はもう動かない。
鳥はもう口を動かすこともしない。
鳥はもう寝る。
***
鳥は気づくと寝ていた。もう、目ざることのない眠りについていたのだ。
鳥は不思議と体が力が抜け軽くなっていることを知る。
体はどんどん高く空中に上がっていく、抵抗のしようがない。
勝手に上がっていく。
あんなに到達することが出来なかった雲よりも高い世界に簡単にいけてしまった。
悔しさを越えて言葉にすることが出来ない。
枯れはてていたはずの涙が自然とこぼれ落ちてしまう。
雲の上は誰もが知っているようなものだった。
今、地上から見える世界とまるで変わらない。だが、鳥にはそれがかけが絵のないものに見える。
どうしてなのかだろうか?
それは鳥自身にももちろん誰にもわからない。
わからないなんて些細なことなのだ。
今大事なのはこの瞬間どう思うかということ。
だんだん雲すらも小さくなってきた。
鳥よりも小さくなっている。
鳥はどこまでも昇っていく。
鳥にはそれを止めることは出来ない。まず出来たとしてもそれを止める気はないだろう。
ついには宇宙まできてしまった。
宇宙はどこまでいっても"無"だけだった。
静寂がどこまでも続く。
それを止めるすべはない。が、構わない。
鳥は思う。
自分はどこまで行っても宇宙よりも小さいのだ。
そんな当たり前のことを今初めて知ったような気がする。
やはり遅いのだろうか。
誰も答えをくれないからわからなかった。
鳥のやろうとしていたことはただの夢物語だったのかもしれない。だが、それでもいいと鳥は思う。
この宇宙の大きさを前にはどうでもいいことだと思う。
鳥の姿がだんだんと見えなくなっていく。
宇宙では鳥はちっぽけな存在だと再確認できる。
鳥は"無"の宇宙へと姿を消していくのだった。
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こちらは今練習中の小説です。
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