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第0話【足音】

闇の中、重苦しい足音が響いた。彼、ないし彼女は寸分の迷いもなく進んでいく。迷いはなかった。その手いっぱいに抱えられたそれは月もないこの闇の中だと、遠目にはもはや何なのかもわからないだろう。

足音の主は目的の場所に辿り着くと、塞がれた両手に少し不機嫌そうな視線を向けるとつま先を使って器用にその引き戸を開ける。中には整然と並べられた三〇数個の机といす。明るい間はここにこの机の数と同じだけの子どもたちがいるわけだ。

足音は教室の中に入った後も迷わずに進む。そして、その両手に抱えた独特の臭気を放ち、形容しがたい湿気を放つ塊をお目当ての机の上にどさっと置く。着用しているゴム手袋を透過して匂いが移ってしまいそうな妄想をかき消すと、足早に教室から姿を消す。その後も何度か立ち止っては振り返りながらも、足音は去っていく。闇の中の凶行に気がつく者はいない。



記録

第一の事件

日付 十月二日(月)

発見時刻 午前六時五十分ごろ

発見場所 市内星の杜第一中学校 (以降、甲とす)二年二組学級内 丸山真弘(一三)の机上

第一発見者 福井 恭太郎(同中学校 教頭)(以降、乙とす)

発見時の状況 食用とみられる生肉が乙に高さ約一〇センチ、直径約二〇センチの円錐型に盛られていた。腐敗はなかったが表面は乾燥しており、置かれた後しばらく時間が経過した様子であった。発見後直ちに乙が処理、廃棄。甲の有する給食室用の生ゴミ置き場に廃棄したと乙自身が証言。生徒には目撃されずに処理から廃棄までできたため、生徒たちの間で大きな騒ぎになることはなかったが、被害にあった丸山少年にのみ聞き取り調査を乙が独自に行ったが、犯人に繋がる情報は手に入らなかった。また、この事件については乙自身が教職員に対して共有をしている。


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