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私は戯女
―――むなしさ―――
十七になりて戯女となる
心はあどけない少女のまま
体だけが成長した
夜の帳を降ろして
今夜の相手に素肌を見せる
この体は何人に捧げたものか
今となっては数え切れない
蜂が花を貪るように
男は乱暴に私を扱った
私の心は乾いていく
干からびた花のように
私の心は死んでいく
雨で消された火種のように
檻に入れられた子鹿は動けまい
ただ涎を撒き散らす飢えた獣共に
食う機会を窺われているだけ
あの時 子鹿を隠した母鹿は
子鹿を守ってきた群れはもういない
さよならもせず行ってしまった
今の私に残るは穢れた花
美しい花にはなれぬ
私は造花 造花は花にはなれぬ
馴れ初めなしに
こんな巷に根を下ろし
廃棄され乾いていくという運命なら
一思いに殺してしまえば良かったものを
未熟な蛹は絶頂を迎えて
蛹のまま真っ逆さまに堕ちる
暗き地面へ吸い込まれ
真っ逆さまに堕ちていく
そしてかつて幼き私が捕まえた
紋白蝶の羽のように
萎れて腐って消えていく...




