90/170
ダルマさんが転んだ
子供の甲高い声が
半開きになった窓の
隙間から聞こえる
数人のぱたぱたっという足音が
進んでは止まってはを繰り返す
声の大きな男の子が言った
○○ちゃん見っけ
あぁ~と悔しがる女の子の小さな声
間違いない ダルマさんが転んだ だ
そういえばここに引っ越した頃は
近所の小さな子達と遊んだっけ
段ボールを運ぶ作業中も
親の目を盗んで遊びに行った
学年が一番上だった私を
彼らはお姉ちゃんと呼び慕ってくれた
かくれんぼも鬼ごっこも
ダルマさんが転んだも毎日やった
数人のぱたぱたという足音が
鬼の子の背中に近付いてくる
鬼の子は少しいじわるをして
ダルマさんが転んだを早口で言う
私とそっくりだ
半開きになった窓の隙間から
見つからないよう様子を見守る
あの頃より大きくなったお姉ちゃんは
外で遊ばず漫画を読んでいる
これが成長だとすると
ちょっとだけもの悲しい
もっといっぱい
遊んでおけば良かった




